JBBF選手 コンテスト

世界最高峰のフィットモデル大会で3位の安井友梨が“10年かけて”作り上げた身体 25歳差ある世界の若手トップ選手に食らいつく【筋トレ】

「できるかできないかではなく、やるかやらないか。私はまだ選手として道半ばです。これからも挑戦を続けます」

10月17日(金)〜19日(日)(現地時間)に開催された、世界最高峰のフィットモデル選手権大会である『IFBB WORLD FIT MODEL CHAMPIONSHIPS(ワールド・フィットモデル・チャンピオンシップス)』。ウーマンズフィットモデルマスターズ35歳以上級で銅メダルを獲得し、さらにウーマンズフィットモデル172cm以下級でも5位入賞を果たした安井友梨(やすい・ゆり/41)選手には、勝敗だけでは語れない時間の重みが宿っている。

【写真】安井友梨選手の“サラブレッドのように発達した”下半身の筋肉

安井友梨選手

フィットモデルとは、バランスの取れた健康的で優雅な女性らしさが評価され、イブニングドレスとスイムスーツの2種類のコスチュームで審査を行うカテゴリーだ。今年はロシアと中国が参戦し、ロシア勢が18回、中国勢が17回入賞するという世界の厚い壁が立ちはだかっていた。

「正直言って、このメンバーでは予選通過すら難しいと思っていました。どうしたら決勝に残ることができるのか、そればかり考えていました。なのでマスターズも172cm以下級も、両方でファーストコールに呼ばれるとは……。そしてメダルを獲得できるとは……!」

才能に恵まれなくても、続けることで景色は変わる

「マスターズでは、トップ6に世界フィットモデル選手権で総合優勝経験のあるスペインの選手、そして3名が強豪のロシア勢と昨年までとは比べ物にならないほどハイレベルな大会でした。そんな中、川口(知子)選手と共に日本人が2人とも入賞できて、日本の凄さを感じています。172cm以下級では、年齢差を感じるステージでした。私以外は、10代20代の選手が多く、20歳前後の選手がトップを占めていました。チャンピオンはなんと2008年生まれのポーランド人の17歳!私と25歳という年齢の差がありました。さらに高身長クラスは選手層が厚くて、人数も多くそこでトップを目指すのは本当に熾烈なんです。だからこそ、年齢差も乗り越えて同じステージに立てたことが本当にうれしかったです」

安井選手は31歳で世界選手権に初出場したが、あまりに高い世界のレベルに絶望すら感じていたという。しかし、今では10年間という長い歳月の積み重ねがあり、世界と渡り合えるようになった。

「ヨーロッパの10代の選手がわずか1、2年で世界選手権のステージに立つ。その同じ場所に立つまでに、私は10年以上かかりました。それも30歳を過ぎてからの挑戦です。素質や才能、環境は人それぞれ。でも、諦めずに続けてきたからこそ、今の景色が見えるようになりました。身体や才能に恵まれなくても、諦めないで挑戦を続けること。それがどんなに辛く、困難で、周りから非難されても、自分を信じてやり続ける力を伝えたい。そして、感じたことを応援してくれる皆に届けて、モチベーションになりたい。『できるかできないかではなく、やるかやらないか』。私はまだ選手として道半ばです。これからも挑戦を続けていきます」

安井選手の言葉には、静かな覚悟が感じられた。それは「勝つため」ではなく、「信じる力を証明するため」の挑戦だ。

【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

次ページ:安井友梨選手の“サラブレッドのように発達した”下半身の筋肉

文:柳瀬康宏 撮影:Igor&Jakub

執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。

-JBBF選手, コンテスト
-, ,

次のページへ >

おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手