「双子の妊娠中に17週で破水してしまい、緊急入院。約3カ月寝たきりの入院生活でした」
11月9日(日)大阪市ドーンセンターで行われた『サマースタイルアワード(以下サマスタ)関西予選』のドレス部門(※)で優勝、ルーキービューティーフィットネスモデル部門(※)では4位入賞をした八王地奈菜(はちおうじ・なな/33)さんは語る。
※1 全体的に艶やかでフィットネスコンテストの中では引き締まるというより、ハリのある身体が評価されるカテゴリー
※2 元々のスタイルバランスとトレーニングで、全体的に脂肪は少なく引き締まっている身体が評価されるカテゴリー

現在は5歳と、3歳の双子の男の子の母であり、秘書として働く八王地さん。子育てと仕事で忙しい中で、なぜボディコンテストへ挑戦しようと思ったのだろうか。
寝たきりからの再出発。「健康になりたい」がすべての始まりだった
「双子の妊娠中に17週で破水してしまい、緊急入院し、そこから約3カ月間は寝たきりの入院生活を送りました。その影響からか、体力も筋力も失ってしまい、双子を出産してからも、年中風邪をひいていたり、インフルエンザなどの感染症にすぐ感染したりを繰り返していました」
数々の医療機関で検査するも、どこも『異常なし』。だが明らかに身体は弱っている。そこで体調不良の原因は体力や筋力の衰えではないかと考えた八王地さんは、スポーツジムに入会を決めた。
「『健康になりたい、元気に毎日を過ごしたい……!』そんな気持ちでジムに行くことを決めました。初めは宅トレにしようかと思ったのですが、サボってしまいそうだったので、お金を払えば嫌でも行くと思ってジムに入会したんです(笑)」
トレーニングを始めて少しづつ変化を感じ始めたという八王地さん。
「最初に変わったのはお尻でした。ズボンやレギンスが少しずつきつくなってきて、『あれ?』と思って。しょんぼりしていたお尻が、元気を取り戻してきたんです(笑)。また、『健康的な体型になってきた』『最近、元気になっている』など言われるようになってきて、すごくうれしかったです」
次第にSNSで筋トレ情報を検索するようになり、そこで見ていたボディコンテストの出場者に憧れ、自分でも出場したいと思うようになった。
「ボディコンテストに出場している人たちが、みなさん美ボディでキラキラしていて、とても憧れたんです。今までの人生で自分から何かに全力で挑戦したことがなく、『子どもたちが自慢できるママになりたい!』と思ったことも出場を決めたきっかけです」
ボディコンテスト初出場は2025年6月の『サマスタ関西新人類』だったが、入賞ならず。8月の『サマスタ京都予選』ではビューティーフィットネスモデル部門トールクラスで2位に。そして迎えた今回の『サマスタ関西予選』ドレス部門で初優勝を飾った。
「今回の優勝は自分でも信じられない結果でした。予想を遥かに上回る成績をいただけて驚いています!緊張で手足がガクガク震えたりしましたが、それでもこれまでで一番落ち着いてステージに立てました。ステージを終えたあと、子どもたちから褒められたのもとてもうれしかったです」
3人の男の子を育てながら、日中は仕事、そこに自身のトレーニングと八王地さんの1日は大忙しだった。
「早朝にトレーニングを行って、昼は育児と仕事、夜は有酸素運動。1日24時間じゃ足りないって思います(笑)。夫の助けがなければ成り立たなかったですね。家事も育児も何でもできる夫なので本当に感謝です。子どもたちもポージング練習に付き合ってくれたり、応援してくれたり。家族みんなで戦っているような気持ちでした」
3人の男の子を育てながら仕事もこなし、さらに大会準備を進める。その日々の積み重ねが、今回の優勝を勝ち取ったのだろう。気がつくとトレーニングを始めたきっかけは忘れ去っていたようだ。
「気がついたら、あれだけ体調を崩していた毎日が嘘のように風邪を引かなくなったんです。今は毎日元気。しかも精神的にも強くなった気がします。育児で落ち込むこともありますが、『なんとでもなる!』と思えることが増えました」
「ママだから、忙しいから、という理由であきらめてしまうことって多いですよね。でも、少しのチャレンジでも人生は変えられると思います。私も、トレーニングを通して健康になり、前向きになれました。何かに挑戦したいと思ったそのときが、一番若い!だからこれからも元気にいろんなことへ挑戦していこうと思います」
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材・文:柳瀬康宏 撮影:岡 暁
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。
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