サマスタ選手 コンテスト

27歳の訪問看護師が「彫刻のような肉体」でボディコンテストのプロ戦日本2位 「昨日より少しだけ前に進むことが大切」

「大きな壁を壊すことじゃなくて、昨日より少しだけ前に進むことが大切だと思っています」

そう語るのは大阪府で精神科訪問看護師として働きながら、サマースタイルアワードのフィジーク競技で国内トップクラスの成績を重ねてきた三好翔大(みよし・しょうだい/27)さん。

【写真】三好翔大さんの彫刻のような引き締まった逆三角形ボディ

三好翔大さん

朝5時に起きてジムに行く

「トレーニングのきっかけは、野球部時代の補強でした。もともと運動が好きで、大学に入ってから本格的に筋トレに取り組むようになったんです。自分では日々の変化に気づきにくいんですけど、周りから『身体変わった?』って聞かれるようになって。それがすごくうれしかったですね。大学生のころには周りの人から『一度出てみたら?』って背中を押してもらったんです。ここまで続けてきたトレーニングを、一回ちゃんと形にしてみたいなと思ってボディコンテストにエントリーしました」

2019年から毎年コンテストに出場し、競技歴は7年目になる三好さん。『サマースタイルアワード』ではプロの舞台まで駆け上がり、2025年には『サマースタイルアワード JAPAN PRO GRAND PRIX』フィジーク部門で2位となった。

三好さんが勤務するのは、大阪府の精神科訪問看護に特化した『訪問看護ステーションくるみ』。フレックスタイム制のため、日によって生活リズムは変わる。

「仕事が夜まである日は、朝5時に起きてジムに行きますし、朝から夕方までの勤務の日は仕事終わりにトレーニングします。無理をしないように、体調と相談しながら決めています。忙しい日は、あらかじめオフにすることもありますし、今日は無理だなって思ったら、潔く休みます。競技を7年続けてきて、休むこと=悪じゃないって分かりました。むしろ、オフこそ成長につながると思っています。2〜3日トレーニングが空いても気にしない。その場合は、5分割を3分割に変えたりして、できる範囲で回します。やらなきゃじゃなくて、続けられる形を作ることを大事にしています」

トレーニングを通じて最も意外だったのは、心の変化だった。

「毎日の小さな積み重ねが身体の変化を生んで、自信につながり、考え方が前向きになったことに驚きました」

ボディメイクは仕事にも好影響

小さな変化に気づくという感覚は仕事でも生きているという。

「利用者さんのペースに合わせて、その人の小さな変化に気づきやすくなったと思います。例えば、以前は会話がほとんどなかった方が、自分から今日の出来事を一言だけ話してくれたことなどですね。フィジーク競技でも劇的に身体は変わらずに、『昨日より1回多く挙げられた。食事管理をしっかりできた』などの小さな積み重ねが、やがて大きな変化を生みます」

ペースを大事にすることも重要だという。

「筋トレでは限界を超えるとよく言いますが、それは大きな壁を壊すことじゃなくて、昨日より少しだけ前に進むことだと思っています。訪問看護の現場でも、限界って言葉は使いません。その人のペースがありますから」

小さな一歩が、確かな力になる。

「できなかったことができたときの表情を見ると、積み重ねって本当に意味があるなって感じます。訪問看護師としての自分と、フィジーク競技者としての自分、どちらも大切にしていきたいです。そして競技では、日本一を目標に挑戦を続けます。『ちょっとやってみようかな』って思ってくれる人がいたら、それが一番うれしいですね」

【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。

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取材・文:柳瀬康宏 写真提供:三好翔大

執筆者:柳瀬康宏
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。

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