フィットネス HYROX

“HYROX名物”ゴールハイジャンプ──WATARUのジャンプが示すもの【HYROX WARRIORS no.21】

世界的に話題のフィットネスレース「HYROX(※)」で活躍する選手に迫るコーナー。第21回は、日本のHYROX界を牽引するWATARU(わたる/34)さんを紹介する。

※「HYROX(ハイロックス)」とは、ランニングとフィットネス種目を組み合わせた新しいスタイルの競技。1kmのランニングと、8種目のファンクショナルトレーニング(機能的全身運動)を交互に繰り返すことで、筋力や持久力だけではなく、さまざまなフィットネスに関する能力が問われる。

【写真】見事なハイジャンプでゴールを駆け抜けるWATARUさん

WATARUさん

ゴールでのハイジャンプ−−それが自分の「9種目目」

「ゴールで高く跳ぶのが、自分にとっての“9種目目”なんです。もうHYROX名物みたいになってきているのが嬉しいですね。カメラマンさんもいつもゴールで待ち構えてくれています(笑)」

WATARUさんにとって、フィニッシュラインは終着点ではない。8種目を終え、全身が限界に近づいた状態でも、なお空高く跳ぶ。その一瞬に、自分が積み重ねてきたすべてを込める。

タイムや順位のためだけではない。やり切った証を、自分自身に刻むためのジャンプであり、観客や仲間へのメッセージでもある。「ここまでやりきった」という宣言だ。

「最後のウォールボールはもちろんめちゃくちゃキツいです。でも、あの最後の粘りが僕の強みでもあると思っています。何度も逆転で表彰台に上がってきたので、その興奮が一気に爆発してしまうんです」

表彰台の先へ−−広がり続けるコミュニティ

HYROXデビューから国内外のレースで9戦連続表彰台(2026年2月時点)という快挙を続けているWATARUさん。しかし、その視線は自分の結果だけに向けられているわけではない。

「どれだけ多くの人が挑戦を楽しめるか。それも、競技を人気にしていく上で大切なことだと思っています。その先頭で背中を見せるためにも、自分の結果は譲れません。僕を追いかけてくれている人も出てきましたし、競技全体を底上げするチャンスだと思っています」

現在は定期的に練習会を開催し、レースの魅力広く発信している。完走を目標にする人、自己ベストを狙う人、初出場で緊張する人…それぞれが安心して挑戦できるトレーニング内容とコミュニティづくりを大切にしている。

WATARUさんは、HYROXのトップアスリートであると同時に、多くの人にとっての“目標”であり競技の“入り口”にもなっている。

勝ち続けることと、広げること。その両立こそが、WATARUさんの存在価値を際立たせている。

毎週レースに出場したい!

「毎週レースでもいいくらい楽しいんです。ゴール後の高揚感はもちろんですが、レースに向けた準備から、練習会で一緒に汗を流した仲間の存在も、HYROXに関わるすべてが好きなんです」

好きだから続けられる、好きだから語りたくなる。

レースに出場する人も、応援する人も、その熱量を共有するすべての人が主役になれるフィットネス文化—それがHYROXだ。

「HYROXは一種の“推し活”要素も含んだ競技だと思っています。走る姿を応援して、次はワークアウトステーションで最高のポジションから声援を送る。そしてまた走りだしたら、次のステーションに移動して応援する。その追いかける感覚は、選手としても本当に嬉しいですし、見る側もより力が入ると思います」

マラソンだと一瞬で通り過ぎてしまう声援が、HYROXでは最初から最後までついてくる。まさに応援が大きな力になる競技だ。

「選手は一瞬一瞬が必死で、正直、ペース配分を考える余裕すらないくらいです。でも、周りの声援が大きな後押しになって、見えない力が湧いてくるんです。HYROXは応援してくれる人がいるからこそ成り立つ競技。絶対に選手一人ではあそこまでの力は出せません」

ゴールでのハイジャンプは勝利の誇示ではない。走っている人も見ている人も、そして“走ってみたくなった人”も「一緒に楽しもう!」という合図だ。

今日もまた、WATARUさんのハイジャンプは、大きな声援に包まれながら、さらに高く跳び上がる。

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文:林健太 写真提供:WATARU

執筆者:林健太

パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。HYROX横浜はシングルプロ、大阪はミックスダブルスで出場。

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