「鈴木雅 トレーニングメニューの落とし穴」では、メニュー構築の理論を紹介した。
本稿では、「それでもまずはベースとなるメニューを知りたい」という方のために、相澤隼人トレーナーが自身の経験と指導実績に基づいた基本メニューを公開。運動歴や経験に応じてカスタマイズ可能な構成になっている。
取材・文:舟橋位於 トレーニング写真:舟橋賢 Web構成:中村聡美

分 割
トレーニングの分割は、その人のトレーニング目的、1週間のうちのジムに通える日数、弱点部位などで大きく変わります。今回はその中の一つの例として、5分割を紹介します。部位ごとの疲労がなるべく重ならないようにするため、胸、背中、肩、腕、脚の順番がおすすめです。私の場合は、オフは肩の翌日と脚の翌日に入れていましたが、これについても、疲労の度合いやスケジュールに合わせて臨機応変に組めると良いでしょう。
メンズフィジークの考え方
筋肉を大きくするという観点では、ボディビルとメンズフィジークでトレーニング内容が大きく変わることはないです。あるとするならば、体幹周りを太くしない工夫だと思います。脊柱に強い負担がかかる種目を続けると、ウエストが少なからず太くなることがあるでしょう。そのため、フィジーク選手はスクワット等の重量を軽くする分、回数を増やしたり、メニューの中でスクワットを配置する位置を変えたりしてみると良いと思います。
腹筋へのアプローチ
腹筋で大事なのは、パックのきれいさや溝の深さです。この点においては、ボディビルダーよりも優れていると思わせるフィジーク選手も見られます。腹筋のトレーニングでは、「上からたたむ種目」、「下から持ち上げる種目」、「エキセントリック収縮の種目」を織り交ぜることを意識しましょう。クランチ、レッグレイズ、アブローラーなどの種目を、他の部位の後に、10回前後で限界になるような負荷で行うのがおすすめです。
【胸】

青色:初心者マスト種目 赤色:追加種目
胸の種目で基本となるのは、ベンチプレス、インクラインプレス、ディップスの3種目です。これらは高い筋出力が期待できる種目なので、トレーニングの最初で身体がフレッシュな状態で行います。続いてダンベルフライを行いますが、ここまでを胸のトレーニングの基本種目とします。体力や集中力が十分残っていて、さらに弱点改善を狙うのならば、マシンを使った種目を追加しましょう。マシンは軌道が安定している分、身体機能の要求度が低いです。疲れている状態でもコントロールしやすく、最後の追い込みを狙っていくのには最適だと言えます。その他の部位にも言えることですが、要求度の大きい種目から小さい種目へ移るような構成が良いですね。
【背中】

青色:初心者マスト種目 赤色:追加種目
背中のトレーニングでは、広背筋を第一に狙っていきます。そのため、基本的には腕が上がったり下がったり(内転・外転、屈曲・伸展)する種目がメインです。まずはラットプルダウンやチンニングなどの、上から下に向かって引く種目を行い、続いて、ベントオーバロウやシーテッドロウのように、違う方向から引く種目も取り入れると良いでしょう。デッドリフトは非常に良い種目ですが、身体への負担は考える必要があります。大きい動作になることに加え、扱う重量も重くなります。またデッドリフトでは、先に述べたような腕の上げ下げ動作がありません。そのため、広背筋への刺激はアイソメトリックによるものが主となる点にも注意が必要です。
【肩】

青色:初心者マスト種目
肩は前・横・後で動きが違うので、全ての方向を刺激できるようなメニュー構成です。その中でも、やはり出力の高いプレス種目から始めます。バーベルプレスは腰が反りやすい種目なので、体幹の力が不十分な場合は、重量を下げる代わりに回数を増やす工夫をしても良いでしょう。バーベルを下ろしすぎると肩甲骨が動いて不安定になりやすく、刺激が三角筋から逃げる可能性があります。上腕が床と平行になるくらいまで下ろします。アップライトロウは三角筋だけでなく身体全体を使って動作できると良いですね。リアレイズはダンベルを使うやり方もありますが、マシンの方が安定感があるので、今回はこちらを選んでみました。
【腕】

青色:初心者マスト種目 赤色:追加種目
ナローベンチプレスとライイングエクステンションは出力が高いことに加え、肘関節と肩関節が関与する自由度の高い種目です。そのため、第1種目、第2種目に配置します。続くフレンチプレスは、垂直に近い軌道を意識して、エクステンション動作にならないように注意します。ここまでで刺激が不足しているなら、プレスダウンを追加してみても良いですね。二頭に関しても、出力の大きいバーベルカールから始めるのは同じです。今回EZバーを選んだのは、チーティングすることを考慮したためです。身体を後ろに倒してチーティングすると身体が開きがちになるのですが、EZバーのグリップだと、開きすぎることを防止できます。
【脚】

青色:初心者マスト種目 赤色:追加種目
脚も他の部位と考え方は同じです。まずは、出力が大きく動作が複合的なものをフレッシュな状態で行います。そして、出力が小さく身体のタスクも少ないものへ移行します。外したくないのはブルガリアンスクワットです。膝関節に比べて股関節は自由度の大きい関節であるため、ここをうまく使えると身体の機能が向上します。そうすると、脚だけでなく他の部位にも良い影響が現れてきます。大腿四頭筋の種目であるレッグエクステンションは、膝関節の動きがメインのフォームを行ってから、最後の追い込みで股関節の動きも使うと良いですね。インナーサイとアウターサイは後半に配置しましたが、スクワットの前にアップとして行うやり方もあります。
あいざわ・はやと
1999年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。身長164㎝。アイデンティティの筋肉を携えて唯一無二の俳優道を歩み出す。ゴールドジムアドバンストレーナー&パーソナルトレーナー。JBBF(公益財団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)の審査員としても活動中。JBBF日本男子ボディビル選手権2021~2023年優勝。『PHIピラティスジャパン』のマットⅠ/Ⅱインストラクター資格取得。
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-相澤隼人











