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「背骨が正しく動く」ことは若々しさを保つ鍵!スパインコレクターを使って背骨の可動性を上げよう【補助器具『プロップス』で整えるピラティス⑤】

必修:補助器具『プロップス』で整えるピラティス
若々しさを保つ鍵!
スパインコレクターで背骨の可動性を上げよう

そのユニークな形状で背骨の可動性を引き出し、骨盤の安定や股関節の分離を促す「スパインコレクター」。身体の左右差を整え、全身のバランスを改善するための活用術を、ピラティスインストラクターの高橋なぎさんに教えていただきました。

[初出:Yoga&Fitness vol.16]

取材・文:藤村幸代 撮影:田中郁衣 Web構成:中村聡美

背骨を正せば、身体は若返る0からマイナスへ導く伸展運動

━━今回教えていただくのはスパインコレクター。形も名前もちょっとユニークですよね。

高橋 「背骨(スパイン)を正す(コレクト)」が由来で、その名のとおり背骨を整えることが本来の目的です。収集家という意味のコレクターではないです(笑)。最大の特徴はこのクジラのようなユニークな形状。樽を半分に切ったような「バレル(樽)」のパーツがあり、平面ではなくカーブになっているのがポイントです。このカーブがあることで、自分の背骨が今どのような状態にあるのか、明確なフィードバックをくれるのが魅力ですね。

━━使用することで、どのようなメリットが得られますか?

高橋 一番は背骨の可動性を上げることですね。ピラティスの創始者、ジョセフ・ピラティス氏が「本当の年齢は生涯を通じて脊柱の自然な柔軟性の程度で決まる(要約)」と語っているように、背骨が正しく動くことは若々しさを保つ鍵です。背骨は首から腰まで長いものですが、特にこのスパインコレクターは「胸椎(きょうつい)」の可動性を出すのが非常に得意です。

━━胸椎は、自分ではなかなか動かしづらい部位ですよね。

高橋 現代人には最も固まりやすく、動かしにくいパーツですよね。その傾向が強い人ほど、これを使った後は胸や肩が開き、姿勢がシャキッとする感覚を得られると思います。

━━リフォーマーなど他のマシンとの違い、またマットとの違いは?

高橋 スプリングがないこと、そしてやはりカーブの形状です。マットでの自重エクササイズは、身体が床についている「0度」の状態から始まりますよね。対して、スパインコレクターはこの形状によって「0からマイナス」の方向、つまり身体を反らせるような伸展まで入れることができます。しかも仰向けの状態では重力をより感じられるのも大きな特徴ですね。

━━重力を味方につけて、より深い伸展ができる?

高橋 そうです。ただ、仰向けで伸展するときは、お腹をだらっと脱力させないように使うのがとても大事。筋肉を伸ばしながらも収縮した状態を保つ「伸張性収縮」を意識し、ある程度腹部も使って伸展させる必要があります。

━━その意味ではコアの使い方の学習にもなりますね。

高橋 たとえば、今回ご紹介する「アームシリーズ(36ページ)」という種目では、スパインコレクターの上で仰向けになり、両手にダンベルや重さのあるボールなどの重りを持って腕を動かします。このときもお腹がゆるんで肋骨がパカンと開かないよう、息を吐きながらコントロールすることが重要です。これができれば、ボールの重みをうまく利用して、胸から下の前側を心地よく伸ばしていくことができます。

自分の身体を「面」で知り左右差を埋める

━━「背骨へのフィードバックが魅力」とのことですが、自宅でできる背骨へのアプローチにはストレッチポールなどもありますね。

高橋 ストレッチポールも使いやすいアイテムの一つですよね。ポールの場合、背中との接地面積が限られていて、そこが大きな違いになります。スパインコレクターはカーブの形状に自分の背骨をぴたっと合わせて寝かせていけるので、自分の今の背骨がどういう状態になっているのかがわかりやすいんです。

━━わずかなゆがみなども感じ取れやすそうですね。

高橋 一番顕著に分かるのは左右差ですね。側弯症までいかなくても、誰にでも「こっちの肋骨はコレクターにつきやすいけれど、反対側はつきにくい」という癖は必ずあります。たとえば、いつも片側でお子さんを抱っこしているお母さんなどは、腰部をずらして安定させるのが習慣になっていて、肋骨がどちらかにずれているケースもよく見かけます。また、胸郭が回旋していると仰向けになる時に背骨の左右どちらかがアークにより触れるように感じるかもしれませんので、そこも注意して動きたいですね。

━━そのような日常の「ずれ」を、どのように修正していくのでしょうか。

高橋 たとえば「サイドシットアップ」で言えば、身体の左右差によって2つのワークを使い分けます。一つは身体のサイドをスパインコレクターにべったり沿わせるようにして、上半身を横にずらしていく動き。もう一つは、逆にあえてコレクターと体側との間に空間を残して降りていく動きです。

━━同じ側屈でも「沿わせる」のと「空間を残す」のを使い分けるのですね。

高橋 ずれている側は「空間を作って」降りることで、骨盤と肋骨の並びが整った状態で側屈していきます。逆に反対側は「あえてずらして」バレルに沿わせながら降りる。そうやって左右で異なるアプローチをすることで、少しずつ身体のずれを埋めていくイメージです。

━━自分の身体の癖に合わせて、動きを細かく変えられるのですね。

高橋 その通りです。リフォーマーなどの大きなマシンは置けなくても、スパインコレクターは小さいのに非常に多様性がある。自分の状態に合わせて使い分けられるので、私はスパインコレクター、ラブですね(笑)。

自分の身体にフィットする角度を見つけて習慣に

━━スパインコレクターには独特のくぼみがありますが、ここにも何か意味があるのでしょうか。

高橋 このくぼみがあることで、平面に座る状態よりも坐骨が立ち上がりやすく、ニュートラルの骨盤のポジションから動きやすくなります。骨盤が後傾しやすい人は坐骨をくぼみに差し込む意識でしっかり立たせ、反り腰が気になる方の場合は、腹筋と背筋の両方を使って、背骨を前後からサンドイッチするような感覚を掴むのに最適です。

━━背骨をしっかりサンドイッチすれば、反り腰やぽっこりお腹が改善できる?

高橋 そう、どちらか一方が強すぎるのではなく、前後から挟み込んで過度に反る・丸まるをなくすイメージです。今回ご紹介する「アッパーアブス」というワークでは、このくぼみに座ってから背中をカーブに沿わせて後方に倒していきますが、その際もただ反るのではなく、背骨を長くする意識で腹部をスパインコレクターに埋めて沈めていくような意識を持つことで、より深くコアに効かせることができます。

━━骨盤が安定することで、下半身の動きにも変化は出ますか。

高橋 もちろんです。土台となる骨盤が安定すると、股関節の独立した動きが出やすくなります。「レッグシリーズ」などはその代表ですね。スパインコレクターの上で骨盤を固定したまま、脚をシザース(前後)や、プロペラ(回旋)のように動かします。

━━マットで行うよりも、動きの質が上がりそうですね。

高橋 マットだと骨盤がグラグラ動いてしまいがちな動作も、スパインコレクターのフィードバックがあることで、正しい位置をキープしやすくなります。骨盤から下を固定し、股関節だけを動かす分離の動きを習得できれば、詰まりの解消や脚のラインを整えることにもつながりますよ。

━━背骨へのアプローチだけでなく、他にも期待できる効果はありますか。

高橋 レッグシリーズは股関節の可動性を引き出しますし、バレルの上に腹部を乗せてバランスを取る「スイミング」のようなうつ伏せのワークでは、背面全体はもちろん、全身のバランスやラインを強化することもできます。

━━うつ伏せでバランスを取る。難易度が高そうです。

高橋 そうですね。ただ、座る向きを逆にするだけでも、使い勝手や難易度の質をガラッと変えることができるんです。持ち運べる手軽さだけでなく、仰向け、横向き、うつ伏せと、これ一台でいろいろな使い方ができるのもこの器具の良さですね。

━━これから自分用を購入したいという方へ、アドバイスはありますか。

高橋 日本人の背骨には、バレルの角度が浅いタイプがフィットしやすい傾向にあるようですが、できれば実際に試して、ご自身の身体にフィットするものを見つけてほしいと思います。一度使うと「背骨が伸びて気持ちいい!」とその良さを実感しやすいツールです。ぜひ、毎日の習慣にしてみてくださいね。

実践ワーク編はこちら>>>

高橋なぎ(たかはし・なぎ)
NAGIPILATESACADEMYディレクター、PilatesStudioRebirth代表。2006年ラスベガスにてDKBodyPilates(ネバダ州立大学公認ピラティス資格)を取得。BASIピラティススタジオで6年間インストラクター、養成コース講師の経験を積み、2013年独立。自身のスタジオ『PilatesStudioRebirth』をメインに活動している。2011年アメリカで人気のピラティスレッスン動画配信サイト『PilatesAnytime』に初のアジア人として出演。得意の英語力を生かして、アメリカのピラティス事情を日本に伝える活動も行っている。動きの美しさに定評がある日本のインストラクターとしてアジアを始め、アメリカとヨーロッパでも知られている。

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