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「”骨格”の違いで尻トレ種目も変わる」!? 尻トレ第一人者・岡部友に聞く骨格診断の本当の意味と活かし方【コンプレックスは筋トレで解消できる:お尻編】

自分の体型を正しく理解
岡部友

「骨格ストレート」「骨格ウェーブ」「骨格ナチュラル」といった言葉を聞いたことはありませんか?これらはいずれも自分に合ったファッションアイテムを選ぶ際に用いられる、骨格診断と言われるもので、近年一般女性の間に広く浸透している印象です。

しかし、身体づくりの現場で見る・考えるべき骨格は、それとはまったく関係ありません。生まれ持った骨格を知ることは、無駄のないトレーニングとストレスの少ないダイエットへの第一歩。
骨格診断の本当の意味と活かし方を、岡部友さんに伺いました。

[初出:Woman'sSHAPE vol.32]

取材・文_宮部史 撮影_山本千代、写真提供_岡部友 Web構成:中村聡美

ファッションの骨格診断とは別物

━━最近、洋服を選ぶときに「骨格診断」という言葉がよく使われています。岡部さんはいわゆる「ストレート」「ウェーブ」「ナチュラル」の3タイプをご存知でしたか?

岡部 いえ、初めて知りました。(3タイプのイラストを見ながら)これは私がSPICE UP FITNESSで使っているものとはまったく違いますね。この分類は「服」を選ぶためのもので色けど。私たちが行うのは「身体をつくる」ための診断です。お客様が目指す体型のために、最短距離で結果を出すには骨格を見ることは非常に重要で、これができるようにならないと、うちではトレーナーとしてデビューできません。

━━具体的には何を見ていますか。診断には特別な機械などを使うんでしょうか。

岡部 骨の位置を触ってチェックします。トレーナーとして研鑽を積んでいれば、分かるようになります。
SPICE UP FITNESSでは女性の体型を5タイプに分けています(画像参照)。見ているポイントは大きく2つ。ひとつは全身の脂肪のつき方・落ち方です。もうひとつはお尻(骨盤まわり)です。全身の診断で確認しているのは「変えられないもの(コントロールできない部位)」ですね。持って生まれた骨格と脂肪のつき方は変えられませんから、身体づくりを始める前に知っておく必要があるんですよ。

━━落ちる順番がわかると何が良いのですか。

岡部 ダイエットのストレスが格段に減ります。痩せ方は人によってまったく違って、下半身から脂肪が落ちる人もいれば(逆V体系)、下半身が最後まで残る人もいる(骨盤だけ南米系)。自分の体質を知らないと他人とくらべたときに「あの人は下半身から痩せたのに、私は胸からしか痩せない……」と悩んでしまう。そこで最初に「あなたは上半身から脂肪が落ちるタイプで、下半身は後からですよ」と伝えておくことで、自分に集中してもらうようにしています。

━━脂肪の落ち方って最初からわかるものなんでしょうか。

岡部 ある程度は予測できます。ダイエットしていない状態ですでに脂肪が少ない部分は、脂肪細胞そのものが少ないということ。逆に脂肪がある部分は最後まで残る、というふうに傾向が読めます。ですから「お腹の脂肪は最後に落ちますよ」と先に言っておけば、「お腹の肉がなかなか減らない」と途中で不安になることもなくなります。

タイプによって〝正解〞は真逆になる

━━体型のタイプによって、やることは変わりますか。

岡部 真逆になることもあります。たとえば、いわゆるモデル体型の細い方(スレンダーボディ系)。脚が長くて、あばらと骨盤の位置が近いので、そもそもくびれができにくい骨格です。この方たちは痩せること自体がゴールではなく、上半身やお尻、背中に筋肉をつけて、相対的にウエストを細く見せていく。「もっと食べてください」とお願いするくらいです。

━━「痩せればよい」ではないんですね。

岡部 そこが大きな誤解で。痩せたら理想の身体(グラマラス・ラテン系)になると思い込んでいる人って多いんですけど、タイプによっては逆効果です。細いことがコンプレックスの人にとっては、太っている人と同じくらい身体を変えるのって難しい。反対に、骨盤がしっかりある方は痩せるほどウエストが出て女性らしくなるので、いちばんポテンシャルがあります。

━━痩せたほうがいい方の場合は、どう進めるんですか。

岡部 食事管理を一緒に行います。きつく追い込めば確かに体重は落ちますが、生理が止まってしまうような無理はさせたくない。だから「ただ痩せる」のではなく、必要な筋肉を残しながら脂肪を落とす、という内容にします。反対に痩せなくていい人は、むしろ食べる量を増やしてもらいながら、トレーニングの回数を重ねてしっかり負荷をかけていく。同じ「身体を変えたい」でも入り口がまったく違うんです。

━━自分の体型タイプを把握しつつ、どうなりたいかとセットで考えるべきですね。

岡部 そのとおりです。SPICE UP FITNESSは尻トレに自信がありますが「お尻は小さいほうがいい」という好みもあっていい。全員が同じゴールを目指す必要はなくて、痩せたほうがいい人もいれば、痩せないほうがいい人もいる。診断と同時に認識のズレも埋めていくのが大事ですね。

お尻の形こそ「骨格」で決まる

━━本題のお尻だけを見る診断では何を見ていますか。

岡部 骨盤まわりですね。まず腸骨の長さ。腸骨が長い人はお尻が平らになりやすい。なぜなら腸骨から大腿骨にかけてくっついてるのが大殿筋だからです。大殿筋が広く長く張りついているので鍛えても丸く出にくい。逆に腸骨が短い人はコンパクトな分、同じだけ鍛えてもお尻が丸く出やすい。だから「腸骨が短いほうがポテンシャルがある」という言い方をします。ちなみに背が高い人ほど腸骨は長い傾向ですが、大腿骨の長さによって、向き不向きのトレーニングが決まってくるので、大腿骨の長さに対して腸骨の長さを見てエクササイズの種類を決めることもします。

━━骨格でそこまで決まるとは驚きです。

岡部 大転子の出方もポイントです。大転子が外に出ていると、お尻が台形に見えやすいので、いわゆる〝桃尻〞になりやすいです。中に入っている人は、また別の形になります。さらに仙骨の立ち方も関係します。欧米やアフリカの方は仙骨が生まれつき立っているので、何もしていなくてもプリっとしたお尻に見えます。日本人は立っていない人が多いので、お尻を4つに分けて考えて、骨に頼れない分をしっかり筋肉でコントロールしていきます。

━━骨格を踏まえると、トレーニングも変わってきますね。岡部種目選びが変わります。大転子が出ていない人が、外転系や中殿筋ばかり狙う種目をやると、かえって形が崩れてしまう。脚が長い人はスクワットだと重心がずれてお尻に効きにくいので、ブルガリアンスクワットやバックランジのような片足種目に切り替えます。ヒップスラストも重さで勝負するより股関節の最大伸展まで上げきることが大事。骨格を無視して種目を間違えると、効果がでないどころか、まったく望んでいないお尻の形になってしまうこともありますね。

━━お尻の上のほうを出したい、というときは?

岡部 収縮系とストレッチ系を組み合わせます。45度のハイパーエクステンションや、骨盤を曲げて行うツイストルーマニアンデッドリフトは、お尻の上の繊維にしっかり入る種目。いっぽうで股関節が硬い人は別のところに効いてしまうので、そこは見極めが必要です。細い方なら前ももに筋肉をつけてウエストとの差を出すこともあります。骨格を読んでから種目を組む━━順番がとても大事なんです。

━━そもそもお尻のトレーニングというのは、どういう動きなんでしょう。

岡部 ひと言でいうと「本当に股関節だけを動かせていますか?」という問いですね。お尻が伸び縮みするのは股関節が動くから。けれど骨盤や膝まで一緒に動いてしまうとお尻には効かない。骨盤は背中やお腹の筋肉で固定し、股関節を作用点として動かす。それができてはじめてお尻の筋肉が使えるんです。だから私は関節が可動しているときに「膝関節と骨盤、腰椎がしっかり安定しているか」をフォームの確認で見ています。骨盤が一緒に動くクセがあると、どれだけ回数をこなしても違うところが痛かったり腰痛になったりする。重さを上げることより、ここを意識できているかの方が重要ですよ。

自分のお尻の特徴を知るには骨盤周りを見る!

大転子の出方
外に出ていると台形に、中に入っていると丸みが出にくい。種目選びに直結。

大腿骨の長さ
この長さによって、向き不向きのトレーニングが決まってくるので、大腿骨の長さに対して腸骨の長さを見てエクササイズの種類を決める。

仙骨の立ち方
立っているとお尻が出やすい。立っていない人はインナーマッスルが弱い傾向にあるので、アウターだけでなくインナーも鍛える。

腸骨の長さ
短いほどお尻が出やすく、長いほど平らになりやすい。なぜなら腸骨から大腿骨にかけてくっついてるのが大殿筋だから。

骨格別・尻トレのアプローチや注意点

「腸骨が長い」「仙骨が寝ている」平らになりやすいタイプ
「筋肉で立体感を作る」特に上部中心狙いの種目がオススメ。(ヒップスラスト、45度ハイパーエクステンション、ツイストルーマニアンデッドリフト)

「大転子が中に入っている」丸みが出にくいタイプ
外転系(アブダクション)や中殿筋ばかり狙う種目をやりすぎると、かえって形が崩れてしまうので要注意。

「大腿骨(脚)が長い」タイプ
両足スクワットは重心がずれてお尻に効きにくいため、ブルガリアンスクワットやバックランジなどの「片足種目」がオススメ。

骨格は変えられない。だから知っておく

━━自分自身のポテンシャルを最大限に引き出すために、骨格診断が役立つということですね。

岡部 骨格は持って生まれたもので変わりません。O脚もX脚も、筋肉のつき方で1mm、2mmは変えられても、骨そのものを大きく変えることはできない。骨の形はDNAで決まっていて、親と似るのもそのためです。だからこそ、自分がどの骨格なのかを知っておくことが大事。知っていれば、自分にぴったりのアプローチで理想の身体へ近づけますし、骨格を活かすこともできますから。

━━自分の骨格やタイプは、自分でもわかるものですか。

岡部 骨格(骨盤まわり)を正確に自分で把握するのは難しいと思いますが、脂肪については簡単な目安があります。「こおは太っても脂肪がつかないな」という部分は、裏を返せば真っ先に脂肪が落ちる部分。逆にお肉がつまめるとこは最後まで残ります。自分の「(脂肪が)つく・つかない」部分を知っておくだけでも、精神的にはいいんじゃないでしょうか。

━━無駄な努力をしないために、と。

岡部 そうです。痩せなくていい人はトレーニング中心で、痩せたほうがいい人は食事管理と一緒に進める。スタートが正反対なんです。骨格は一生付き合っていく土台です。変えられないものを受け入れたうえで、変えられる筋肉をどう足していくか。それがわかるとトレーニングもダイエットも楽になりますよ。

 

お尻の形Before&After骨格診断で理想の形へ!

SPICE UP FITNESSで必ず行う骨格診断。骨格を踏まえてトレーニングしたビフォーアフターを岡部さんの解説とともに厳選して紹介します。

細いタイプなので痩せないように、トレーニングにしっかり集中!脂肪が少ない分、お尻の筋肉をしっかりつけること、骨盤と大転子の台形もあまりないのでお尻の外側を鍛えないように気をつけるタイプ。

腸骨は短めタイプ。脂肪もあるので作りやすいお尻だが、骨盤だけ南米系なので、上半身とのバランスを作ることを心がける。

骨盤台形型で大転子もわりと幅があるので後ろからはきれい!脂肪が割とお尻全体にあるので、筋肉を上部中心につけていくことで丸みを立体的にさらに出す。

 

おかべ・とも
1985年12月6日生まれ、神奈川県出身。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。分子整合栄養アドバイザー。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持する資格NSCA-CSCSを取得。女性専門ジム「SPICEUPFITNESS」を東京、大阪、名古屋の5店舗で運営。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演し大きな反響を呼んだ。
IG:@tomo_fitness

 

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