マッスルゲート選手 コンテスト

「5年生存率15%の胃がん」を経てコンテスト優勝 「元気になったよとステージで見せたかった」

2026年8月1日、神戸芸術劇場にて『マッスルゲート神戸大会』が開催され、ウーマンズフィジークでは、衣笠朋(きぬがさ・とも/54)さんが優勝した。2025年には関西女子フィジーク選手権大会で優勝するほどの実績を持つ衣笠さんが、5年ぶりにマッスルゲートに出場したのは理由がある。

【写真】衣装はマイケル・ジャクソン!衣笠朋さんの逆三角形の背中

衣笠朋さん

偶然の再会から始まった大会への挑戦

運動経験もなく、本人曰く「生まれたときからぽっちゃり」していた体型から、筋トレと食事管理で1年に17kgのダイエットを成功させた衣笠さん。2020年に筋トレを始めたジムでは思わぬ再会があった。

「トレーナーとして勤務されていた岩尾佳毅さんです。小学校以来の再会で、ジムに通い始めてからよくおしゃべりしていたのですが、半年経ったときに『大会に出よう』と声をかけられました。岩尾さんがボディビルダーだとも知らなくて、『大会って何の大会?』という状態でした」

2021年4月。気づいたときには、岩尾さんとポージングを教えてくれるジムで待ち合わせをし、大会に出場する流れになっていたそうだ。そんなとき、アクシデントがあった。

「私はぽっちゃりしていたので力持ちで、技術がなくても重い重量でトレーニングしていました。その日はデッドリフト130kg上げてから、お腹が痛くなり冷や汗が出てきました。大げさにしたくなくて自宅近くの内科まで何とか歩き、『歩けないくらいお腹が痛くて治らない』と言うと救急車で大きな病院へ運ばれました」

原因は腹圧のかけすぎによる胃痙攣。それ自体はすぐ治るものだったが、検査で胃癌が見つかった。

「5年生存率が15%という癌でした。周りが『大会出場はやめよう』という雰囲気になったことが申し訳なくて、『癌を切って出ます』と宣言し、5月に胃の5分の4を取る手術をしました」

有言実行、衣笠さんは手術から3カ月後の8月、JBBF大阪選手権大会と、マッスルゲート神戸大会に出場した。手術後3カ月で立っているだけの状態だったが、JBBFの大会はたまたま出場者が少なくて出場権を獲得でき、翌年からは全国レベルの大会に出場するようになった。

「5年生存率15%の癌になって、ちょうど今年で5年経ちました。地元神戸で、5年前に出場した同じ大会で、友だちや両親に『元気になったよ』と見せたくて出場しました。癌から卒業の舞台でした」

主治医の先生からは、「癌は胃壁の元から剥がれて無くなっている状態まで自力で治っていた」と言われ、今残っている胃には完全に癌がなくなり完治したという。

衣装のテーマはマイケル・ジャクソン。マイケルがイギリスのパンクロックに憧れていたことから、イギリスの国旗のデザインになっている。近所の銭湯友だちに作ってもらったものだそうだ。

「元気になった姿を見せたかった」という思いから選んだ5年ぶりのマッスルゲート神戸大会は、衣笠さんにとって一つの区切りとなった。衣笠さんの姿は、誰にとっても明日への一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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取材:あまのともこ 撮影:岡暁

執筆者:あまのともこ
主に『FITNESS LOVE』で執筆中。2021年~2025年JBBF登録選手。JBBF京都府オープン大会ビキニフィットネス(身長別)3位。マッスルゲート四国大会ビキニフィットネス2位。

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