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スクワットで脳の海馬が大きくなる!? 筋力が高い人ほど死亡率が低い理由と「老化防止」のトレーニング術|米フィットネス誌が伝える

当たり前のことではあるが、私たちは生まれたその時から加齢が始まっている。しかし、若い時には、何十年も後の自分の姿はイメージしにくいだろう。

近年、数多くの研究で、若い頃の生活習慣が老化現象に大きく影響を与える可能性があることが示唆されている。

そこで、本記事では米フィットネス誌がまとめた老化に関するメカニズムと、そのコンディショニング方法についてのトピックを詳しく解説する。

本記事は、海外のフィットネス事情やトレーニング文化に関する情報をもとに構成された翻訳・編集記事です。日本国内の事情や環境とは異なる部分も含まれます。

(IRONMAN2026年9月号「from IRONMAN USA」より転載)

 

死因の背景にある老化

ガンや糖尿病、高血圧などヒトの主要な死因の背景には老化という現象がある。この老化は、私たちが想像するよりもずっと早く、10代の頃から静かに進行している。

近年の研究では、老化は単なる時間の経過ではなく、慢性炎症やミトコンドリアの機能低下、DNA損傷の蓄積など、複数の要因が絡み合って進むことがわかってきた。本稿では「老化」という現象について解説してみたい。

老化の特徴

老化は単一の原因ではなく、以下の要素が絡み合って進行することが知られている。

  • 慢性炎症
  • ミトコンドリアの機能低下
  • 細胞の老化
  • DNA損傷の蓄積
  • テロメアの長さの短縮
  • タンパク質の品質管理不足

 

加齢に伴う疾患

加齢に伴って体内の細胞や成分が変性することで、さまざまな病気に悩まされる。実際、老化は多くの疾患の発症リスクを高める生物学的プロセスであると専門家たちも認めている。

例えば、若年層で関節炎で悩んでいる人はほとんどいないが、高齢になるにつれ膝や肘、肩、股関節など関節がある部位に痛みを訴える人が急増する。老いによって、体内のあちこちで炎症が見られるようになることが原因である。

このような老いによる炎症は、関節痛以外にも、高血圧、動脈硬化性心疾患などを発症するリスクを高めると考えられている。

 

老化こそが全ての元凶?

加齢に関連した疾患には多くの共通点がある。それは、中高年以降に見られる病気の多くが炎症、活性酸素、酸化ストレス、そしてインスリン抵抗性に起因しているということだ。これらの要素が積み重なると、細胞レベルで甚大な被害がもたらされる。

そのため、炎症や活性酸素など老化の原因になる要素を少しでも抑えることができれば、病気で悩むリスクを低減し、健康寿命を延ばしていくことが可能になると言える。とはいえ、私たちは誰であれ、呼吸をして酸素を体内に取り込む必要がある。

その過程で活性酸素が生じるわけだが、それが過剰になると体内には炎症やインスリン抵抗性(糖を処理するインスリンの効き目が悪くなった状態)がもたらされてしまう。それを改善せずに放置してしまうと、やがて脳の変性を招き、アルツハイマー病などの発症リスクを高める可能性などになり得る。

さらには、血管の内皮にも異常が起き、動脈硬化が起きやすくなる。そこから心臓発作や脳卒中、さらにはDNAへの累積的な損傷が制御不能な細胞増殖を引き起こし、ガンが発症するリスク因子となるのだ。

 

老化は10代から始まる

老化は一夜にして起きるわけでなく何十年もの時間をかけて細胞を変性させ緩やかに進行する。もし、若いときから老化に抗う手段を見つけて対策を打てば、老化が原因の病気が発生するリスクを減少させることができるはずだ。

しかし、残念ながら多くの人は、10 代から細胞の老化が始まっているという実感を持てないために、その努力を始めようとしない。ここでは、老化予防のために若年のときから取り組むべき対策について解説してみたい。

運動

運動を行い除脂肪筋量を増やすことで基礎代謝が高まり、老化の要因となる体内で起きる炎症からの病気発症は抑制されると考えられている。

例えば、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』誌に掲載された研究によると、筋力テストで高い値を出した男性は、低い値を出した男性に比べ、ガンを含む多くの疾患による死亡率が有意に低い傾向があると報告されている。

また、この結果は心肺機能の優劣とは無関係であることも指摘されており、中高年においても筋力向上が老化防止において重要であることが再認識できる。特にウエイトトレーニングは、筋量を増やす・維持するために最適な手段だ。

その中でもスクワットをはじめとした大筋群を刺激する多関節運動の種目は、全身の代謝やコンディショニングに関わるホルモン分泌にも好影響を与えると考えられる。

加えて、心血管系や脳神経系にも良い影響があることもわかっており、ウエイトトレーニングによって記憶領域である海馬の体積が増加したという研究結果が複数報告されていることから、認知症予防などへの効果も期待されているのだ。

栄養

老化予防には食事も重要だ。高タンパク質、低グリセミック指数の炭水化物、必須脂肪酸を含む食事を意識した食事は筋発達を促すだけでなく、健康寿命を延ばす上でも役立つ。必ず栄養バランスの取れた食事でトレーニングによる筋の損傷や疲労の回復を促すようにしよう。

今日の若者世代の健康状態の悪化や、加齢に伴う疾患への罹患リスクの高まりは、幼少期から思春期にかけての食生活にも原因があると考えられている。栄養バランスの崩れた食生活を続けると、10代の思春期にある若者でも動脈硬化性疾患の兆候が見られるという研究結果も報告されている。

食事を急に健全なものに変えようと思ってもそう簡単にはいかないので、若い頃から栄養に関心を持ち、健全な食事内容を習慣づけることが有用だと言える。

栄養バランスを適正化するとともに、慢性炎症を促す食品を控え、ビタミンC・Eなどの抗酸化物質や必須脂肪酸、ポリフェノールといった、日々のコンディショニングを支える栄養素を積極的に補給していくことも意識しておきたい。

睡眠

健康な老後を送るうえでも睡眠は重要である。睡眠は「免疫システムを調節し、コルチゾール値を適正なレベルへコントロールする」「記憶の定着を助ける」「激しい運動からの回復を促す」といった効果をもたらす。

また、睡眠中に筋肥大に必要な成長ホルモンが多く分泌されることも忘れてはいけない。良質の睡眠を取ることは、肥満や生活習慣、脳の健康維持にも深く関わっていると考えられている。

 

 

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