8月23日(日)、石川県・金沢市文化ホールで開催された「第30回日本クラス別男子ボディビル選手権大会」。75kg以下級で2位に入ったのが、2025年神奈川選手権を制した小坂元雄斗(こさかもと・ゆうと)選手だ。この日のハイライトとして欠かせないのが小坂元選手がバックポーズを取ったときのどよめきだった。元競輪選手が魅せた驚異の殿筋、ハムストリング、背中。黒やブルーのボディビルパンツが多い中で、個性的な緑のポージングパンツ。客席からはとあるCMソングになぞり、その巨大で丸みのある筋肉を形容し「まあるい緑の小坂元」という応援が聞こえた。
【写真】衝撃を与えた小坂元雄斗選手の驚異の殿筋、ハムストリング、背中で魅せるバックポーズ

優勝したのは、今年の東京選手権を制した四十物悠弥選手。ファーストコールでは両者が中央に並び、最後まで激しい優勝争いを繰り広げた。公開された採点結果では、四十物選手が決勝合計30点、小坂元選手と3位の椎名拓也選手がともに32点。上位3選手がわずか2点差にひしめく接戦だった。

75kg以下級比較審査。左から3番目が小坂元選手、その右隣が四十物選手
惜しくも頂点には届かなかった小坂元選手だが、昨年から仕上がり体重を約2.5kg増やし、減量中の摂取カロリーも大幅に増やしてきた。元競輪選手という異色の経歴を持つボディビルダーは、どのようにして身体を進化させたのか。
結果発表後、小坂元選手は悔しさをにじませながら、今シーズンの手応えを語った。
「結果としては悔しいなというのは正直込み上げてきます。ただ、去年と比べて自分の身体は結構変わったので、それを残りのシーズンでどんどん上げていければいいかなと思います」
減量中でも「5000kcal近く」
小坂元選手が今シーズン、特に変えたのは食事量だった。
昨年の減量期は1日約2400kcalだったが、今年は5000kcal近くまで摂取。食事量を確保しながら身体を絞り、ステージに立った。
「去年が2400kcalくらいだったので、今年は5000kcal近くまで増えました」
減量中の摂取カロリーを増やしたことで、仕上がり体重も昨年から約2.5kg増加した。
「そこも今回、大きくなった要因になっているのかなと思います」
筋量を維持するだけでなく、身体を大きくした状態でコンディションを整えたことが、今回の仕上がりにつながった。
トレーニング面でも、昨年から使用重量が伸びた。昨年の減量期はスクワットが160kg、デッドリフトが180kg程度だったのに対し、今年はスクワットで200kg、デッドリフトで240kgを扱ったという。
減量が進むとトレーニング強度を維持することが難しくなる選手も少なくない。その中で小坂元選手は、食事量を確保しながら高重量を扱い続けた。
オフには「8000kcalちょっと」
減量期だけでなく、シーズン前のオフの過ごし方も小坂元選手の身体づくりを支えた。
オフ期には、1日の摂取カロリーが8000kcalを超えることもあったという。ただし、大食いなわけではない。
それでも必要な量を取るため、米や米粉などを活用した。ジャンクフードだけでカロリーを増やすのではなく、パーソナルトレーナーとして働く合間にも食事を持参し、計画的に摂取してきた。
「米ドーン、米粉ドーンみたいな感じで持ち込んで、それを一気に食べていました」
仕事の合間に食事の時間を細かく確保するのではなく、持ち込んだ食事をまとめて食べる。そうしてオフには身体を大きくし、減量期には約5000kcalを取りながら仕上げていった。
元競輪選手、怪我を機にボディビルへ

小坂元選手は、もともと競輪選手として活躍していた。現役生活は約2年半。怪我を理由に引退した後、以前から興味を持っていたボディビルの世界に進んだ。
「いつか自分も大会に出たい」というのは当時から考えていたという。
競輪選手を引退した後は、フリーランスのパーソナルトレーナーとしても活動を開始。現在は東京と神奈川で、コンテストを目指す選手から、一般のトレーニング愛好者まで幅広く指導している。
自身のトレーニングで重視しているのは、身体の状態を細かく把握することだ。
「自分の身体のコンディションや数字の進み具合を見て、しっかり早めに察知して対策するところは結構こだわっています」
その日の体調や身体の動きを確認し、違和感があればトレーニング内容を調整する。単純に高重量を追い続けるのではなく、コンディションを見極めながら強度を維持してきた。
今回の日本クラス別75kg以下級では、優勝まであと一歩に迫った。
「結果としては悔しい」
そう振り返る一方で、昨年より約2.5kg増した仕上がりはステージで大きなインパクトを与えた。特にバックポーズに関しては驚きの声が上がるほど。2024年にボディビル競技デビュー、3年目で日本のトップ戦線で活躍し、急成長を感じさせる存在は今後さらにボディビル界の話題を浴びていくことだろう。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
文・撮影:FITNESS LOVE編集部










