激戦の東京ボディビル選手権で、初出場ながら見事2位に輝いた小池優真選手。極太で深く刻まれたカットの脚、そして身長176㎝で仕上がり体重87㎏という凄まじいバルクは強烈なインパクトを与えた。中学校教員から海外生活やメディア出演など、多方面に挑戦を続ける小池選手の今後の展望、そしてバルクアップの秘密に迫る。
取材・文:柳瀬康宏 大会写真:中原義史 トレーニング写真:宮下祐介 Web構成:中村聡美
- 2025年ジュラシックカップオープンクラス出場時
- 2026年東京ボディビル選手権時
━━東京選手権では初挑戦で見事2位となりましたね。
小池 ここまで来ると「どうせなら優勝したかった」と悔しい気持ちはあります。ただ、2年前の大阪選手権では5位だったことを考えると、東京選手権で2位になれたことはうれしいですね。
━━鮮明な脚のカットが目立っていましたね。脚は昔から強かったのですか?
小池 そうですね。高校3年生の頃に、自宅の近くに、ボディビルダーの方が運営するジムができたんです。先に両親が通っていて、僕も誘われて入会しました。そこで脚をオーナーさんに徹底的に教えてもらったんです。
━━なるほど。そこで脚の土台がつくられたのですね。
小池 そうだと思います。当時はレッグプレスをよく行っていて、その頃から脚は大きかったです。

4種目目に行ったレッグエクステンション。フルスタック(113.4㎏)で攣る寸前まで追い込む。井上浩さんのIH式(一人ネガティブトレーニング)で追い込んでいく
━━そこからなぜボディビルに?
小池 競技に挑戦したのは社会人2年目のときです。前職は中学校の教員で、1年目から担任を持たせてもらいました。ただ、生徒がなかなか話を聞いてくれず、学級崩壊みたいな状態でした。
━━学級崩壊……。
小池 それで生徒に「部活動や勉強を頑張ろう」と伝える立場の自分が、目に見える形で何かに挑戦するべきじゃないのかと考えたんです。それでボディビル大会に出場してみようと決めました。
━━生徒たちの反応は?
小池 すごく応援してくれました!僕が挑戦することを伝えてから、生徒も心を開いてくれるようになり、クラスの雰囲気もすごく良くなっていったんです。
━━現在も恋愛バラエティ番組やミュージカルなどさまざまなことへ挑戦しています。その原点がこの教員時代にあるのでしょうか。
小池 そうです。生徒に挑戦する姿を見せていると、生徒以外の方からも「小池さんの投稿を見て一歩踏み出せました」と言っていただけるようになったんです。
━━挑戦を発信することで、誰かの背中を押せるようになった。
小池 仕事が忙しい方や、何かに踏み出そうとしている方にも、少しでも勇気を与えられたらと思って活動しています。ボディビル大会に出場し、オーストラリアでワーキングホリデーをしてみたりと、挑戦すること自体が誰かの応援になっているんです。
1日白米7〜8合!?105㎏まで増やした4カ月
━━今回の東京ボディビル選手権では、昨年10月に出場したジュラシックカップからかなりサイズアップしましたね。

2026年7月19日(日)に開催された東京ボディビル選手権で初出場ながら2位入賞。今年は日本クラス別90㎏以下級、日本選手権、ジュラシックカップに出場予定
小池 ありがとうございます。昨年のジュラシックカップは、身体がカリカリになってしまい、状態があまり良くありませんでした。なのでその後、11月にオーストラリアへ戻り、3月に帰国するまでの約4カ月間で、身体を大きくする取り組みをしました。
━━体重の変化はどのくらい?
小池 オーストラリアへ戻った頃は約95㎏。そこから約10㎏増やし、105㎏まで増えました。
━━どのようにして体重を増やしたのですか?
小池 白米を1日7~8合、鶏胸肉やささみを1㎏は必ず食べていました。さらにプロテインを1日3杯ほど飲み、それに加えて好きなものや、お菓子、クッキーなども食べていました。
━━……すごい量ですね。カロリーはどれくらいですか?
小池 分かりません(笑)。カロリー計算をするというよりは、とにかく、たくさん食べることだけを考えていました。
━━白米を選んだ理由は?
小池 オーストラリアでは米を安く買えたからです。スーパーマーケットで大幅なセールが行われることがあり、そのタイミングなら白米5㎏を日本円で約990円で購入できました。安く買えたので、たくさん食べられました。
米をしっかり食べ、力が十分に出る状態で、毎回フルパワーでトレーニングすること。そして、先週の自分に勝つことをかなり意識していました。

4種目目に行ったレッグエクステンション。フルスタック(113.4㎏)で攣る寸前まで追い込む。井上浩さんのIH式(一人ネガティブトレーニング)で追い込んでいく
各部位で〝伸ばす種目〞を決める
━━先週の自分に勝つ?
小池 はい。実は最近になってトレーニングノートをつけるようになったんです。各部位に、重量を伸ばしたいメイン種目を設定して、その重量や回数をひたすら伸ばしていくようにしています。
オーストラリアへ戻った11月ごろから記録を始めて、前回の重量と回数を必ず確認するようになりました。
━━特にこだわりがある種目などはありますか?
小池 スクワットです。高重量を扱う週と、10回10セットを行う週に分けているんです。
━━10回10セット……それは何㎏でやっているんですか?
小池 145㎏ですね。
━━とてつもないボリュームですね……なぜそのやり方を取り入れようと思ったのですか?
小池 単純にきついからです。極端な考え方なのかもしれませんが、100㎏のスクワットを1回行うより、自重スクワットを100回行う方がきつくないですか?
━━確かに。
小池 ですよね?僕はきついことをしなければ筋肉はつかないと思ってます。とはいえ、重量も間違いなく大切なので、高重量を扱う週と回数を重ねる週に分けています。
━━なるほど。ちなみに10回10セットでは、どのように重量を設定しているんですか?
小池 1セット目で、12回できそうな重量を設定しています。その重量を基本的には変えず、最後までやり切ります。
━━重量を更新する目安はありますか。
小池 同じ重量で2週続けてクリアできたら上げます。10セットあるので、一気に5㎏上げるとかなりきつい。基本的には2.5㎏ずつ上げています。今でこそ145㎏になってますが、初めは100㎏からやり始めました。

スクワットは145㎏×10回×10セットという苦闘。この日は7セット目から135㎏に下げてやり切った。「限界でしたね。自分に負けちゃいました(苦笑)」(小池)

190㎏のデッドリフトで背中を強化
━━印象的な脚の秘密が分かった気がします。部位で言うと背中もデカくなった印象です。
小池 ありがとうございます。背中はデッドリフトをやり込むようにしました。
━━きっかけは?
小池 昨年10月、大阪で結婚式の余興に参加し、藤井貫太朗選手たちと一緒になる機会がありました。そこで見た藤井選手の背中が、あまりにも衝撃的だったんです。藤井選手はデッドリフトを徹底して行っているので、「あの背中になるには、デッドリフトしかない」と考え、この期間はひたすら取り組みました。
━━どのようにセットを?
小池 メインは5回を3セット。例えば190㎏で5回3セットを終えたら、170㎏まで下げ、限界まで行うセットを2セット加えます。7~8回ほどになることが多いですね。

━━このデッドリフトが背中の成長につながった。
小池 そうですね。ただそれだけではなく、オーストラリアではハンマーストレングスのマシンが充実していたので、フロントプルやロウ系のマシンを多く使いました。実はそれまで、ハンマーストレングスはあまり使った経験がなかったんです。
━━なるほど。それまで使っていなかったマシンで新たな刺激が入ったと。
小池 そうです。しっかり可動域を取り、広背筋を収縮させる丁寧なフォームも意識しています。
━━ここまで伺うと、短期間での大幅なバルクアップ成功は、白米を7~8合食べてトレーニングの出力を高め、スクワットやデッドリフトなどの軸となる種目を各部位で決め、記録を更新し続けた結果なのですね。
小池 そうですね。まずはしっかり食べて、毎回フルパワーでトレーニングできる状態をつくる。その上で各部位で伸ばす種目を決め、前回の重量や回数を必ず超えていく。特別なことをしたというより、その基本的な積み重ねが今回のサイズアップにつながったと思います。

脚トレ後のサイドポーズショット。大腿四頭筋、ハムストリングともに大きく筋肥大しており脚の幅がもの凄い。この脚を武器に、東京選手権初出場ながら2位まで駆け上がった
━━それでは最後に、直近の目標を教えてください。
小池 8月23日に行われる日本クラス別選手権の90㎏以下級で確実に優勝したいです。あと、2年前に出場した日本選手権では一次ピックアップで敗退したので、今年は必ず二次ピックアップ以上に進出したいです。
そして僕が挑戦する姿を見せることで、一歩を踏み出せずにいる方へ、少しでも勇気を与えられたらと思っています。
こいけ・ゆうま
1998年11月5日生まれの27歳。静岡県出身。身長176㎝、体重87㎏(オン)、105㎏(オフ)。中学校教員を経てオーストラリアにワーキングホリデー、帰国後は恋愛リアリティーショー「シャッフルアイランド」や堀江貴文プロデュースのミュージカル「CRAZYMUSCLESHOW(クレイジーマッスルショー)」に出演で話題を集めている。2023年大阪クラス別75㎏超級優勝。2024年大阪ボディビル選手権5位。2025年ジュラシックカップオープンクラス11位。2026年東京ボディビル選手権2位












