9月22日、23日に東京芸術センター・天空劇場で開催された「INBA/PNBA INTERNATIONAL GRAND PRIX OF ASIA NATURAL CHAMPIONSHIPS TOKYO」。ビキニディーバ(※)で存在感を示したのが、佐藤亜沙紀(さとう・あさき/38)さんだ。22日のアマチュア戦ではBikini Divas Openを制し、翌23日のプロ戦でもBikini Diva Openで優勝。さらに女性MVPにも選ばれた。本大会はNatural Olympia クオリファイとして開催されている。
※過度な筋肉量ではなく、シェイプアップされて引き締まった、スポーティーな腹筋や殿部(お尻)、ハムストリングが求められるカテゴリー。
半年で25kg減。「痩せたのに、なぜこんな身体に」
現在は会社員として働く佐藤さんが筋トレを始めたのは2019年。もともとは「ぽっちゃり」した体型で、食べることも好きだったという。痩せたい一心で取り組んだのは、運動ではなく厳しい食事制限だった。
「25kgとかを一気に半年で落としちゃったんですよね。運動ゼロでそこまでやったので、まだ20代半ばなのに、お年寄りみたいにすごくたるんでしまって。せっかく痩せたのに、『なんでこんな歳を取ったような身体になってしまったんだ』って」
体重は落ちた。しかし、自分が思い描いていた身体とは違った。
「これは絶対に運動してリカバリーしないとダメなんだと思って、人生で初めて筋トレを始めました」
筋トレを始めたからといって、すぐに身体が変わったわけでもない。
「かなり時間はかかりました。たるんでいる部分を筋肉で埋められるようになったのは、2年ぐらいかかったかなと思っています」
体重を落とすだけでは得られなかった身体の張りを、時間をかけて筋肉でつくっていった。
5年間の筋トレを経て、初めてコンテストへ
筋トレを続けながら、SNSでコンテスト選手の姿を見ては「かっこいい」と憧れていたという佐藤さん。なかでも目を奪われたのが、キラキラと輝くビキニをまとってステージに立つ選手たちだった。それでも、なかなかステージに立つ一歩を踏み出せなかった。
転機が訪れたのは2025年。通っていたパーソナルジムの大会への出場を決め、ポージングを習い始めた。数ある講師のなかから足立理予さんのもとを訪ねたのは、PNBAでプロ資格を獲得した足立さんの姿をSNSで見て、心を動かされたからだった。指導を受けるなかで、APFの大会に挑戦することになった。
エントリー予定はビキニモデルとフィットウェアモデル。憧れのキラキラビキニのカテゴリーに比べれば、筋量や絞りの求められ方が穏やかな部門だった。当初の予定を前倒しして10月のAPF大阪大会に出場することになり、さらに9月上旬のセミナーでAPF代表の足立健氏と初めて顔を合わせた。「本当はいつかキラキラビキニを着たいんです」と本音を伝えると、「グリッターモデルに出た方がいいよ」と背中を押された。
筋トレを始めてから約5年。昨年10月、ついに人生初のボディコンテストへ出場すると、フィットウェアモデル、ビキニモデル、そして憧れだったグリッターモデルの3カテゴリーで表彰台に。フィットウェアモデルとグリッターモデルで優勝、ビキニモデルでも3位入賞を果たした。
そもそもの目標だった11月のビヨンドカップでは、フィットウェアモデル・ビキニモデルともにクラス優勝。さらに両部門でオーバーオール優勝という結果を収めた。その直後のAPF Another Grand Championshipでは、フィットウェアモデルで初代日本一に。大阪大会で得た出場権で臨んだAPF GRAND CHAMPIONSHIPS 2025では、デビューから約1か月で、憧れのグリッターモデルで日本6位入賞を果たした。その後はキラキラビキニ一本に絞り、次の目標に据えたのが、憧れた人がプロになった舞台だった。
そして競技開始から約1年で迎えた今回のINBA/PNBA INTERNATIONAL GRAND PRIX OF ASIA NATURAL CHAMPIONSHIPS TOKYO。
初日のアマチュアビキニディーバでは7名が出場するなか優勝。プロ資格を手にすると、翌日のプロ戦にもそのまま出場し優勝を重ねた。
「人と比べてもしょうがない」積み重ねがプロ戦優勝へ
国際大会への挑戦には、不安もあったという。
「最初は怖かった部分もあるんですけど、一歩始めてみないと分からないかなという挑戦心でやってみました。でも、まさかプロを獲得して、プロ戦でも勝つことができるとは。いろいろな人に支えてもらってここに立てたなと思います」
一方、ここまで順調だったわけではない。
「途中、腐りそうになるんですよね。周りはすごく成長しているのに、自分の成長ってすごく遅いなって思いながらやっていました」
そんなときに意識したのが、周囲ではなく過去の自分を見ることだった。
「結局は人と比べてもしょうがない。自分が成長できたことを感じて、その成長を自分で感じることを自信にして立ちました。それが結果になったので、もう『うれしい』に尽きますね」
半年間で25kgを落としたものの、理想とは異なる身体になったことから始まった筋トレ。そこから約7年かけて身体をつくり、38歳でナチュラルボディビルのプロステージを制した。
急激に体重を落とすことから、時間をかけて身体をつくることへ。佐藤さんが積み重ねてきた年月が、2日間のステージで一つの結果となって表れた。即効性を求めたり、ただ食事制限をして体重を減らすことが重要ではないということを佐藤さんの挑戦が教えてくれる。
【INBA/PNBAアンチドーピング活動】
INBA/PNBAはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)のアンチ・ドーピングコードおよび禁止表に準拠し、WADA認定ラボによるドーピング検査を実施しているナチュラルボディビル団体である。大会では尿検査を行う。
文・撮影:FITNESS LOVE編集部











