立ち上がる、歩く、外に出かける。年齢を重ねても、日々の暮らしを自分の身体で送り続けるために、運動を学び、続けられる環境をどうつくるか。高齢化が進む地域で、その課題に長年向き合ってきたジムがある。

「健康体操」の様子
1977年にオープンした、東京・御徒町の老舗ボディビルジム「トレーニングセンター・サンプレイ」だ。ボディビルダーやアスリートの育成とともに、高齢者の健康づくりにも力を注いできた。
9月27日(日)、御徒町駅南口のパンダ広場で開催された『サンプレイ マッスルフェスティバル』。ボディコンテストをメインとする同イベントで、午前11時から行われたのが「誰でもできる健康体操」。高齢者を中心に40人近くが参加し、自宅でも実践できる運動に30分間取り組んだ。
この健康体操は、「サンプレイ生涯元気塾」として1998年に埼玉県三郷市で始まった。創業者の故・宮畑豊氏が伝えてきた運動は現在も受け継がれ、自治体や民間団体を通じて各地に広がっている。
大切にしているのは、一人ひとりの身体の状態に合わせ、自宅でも続けられる運動を伝えること。椅子に座る、立つ、脚を伸ばして座る、寝転がるという4つの姿勢で行う運動を指導している。この日は椅子に座っての腹式呼吸から始まり、椅子から立ち上がる運動やしゃがむ運動へ。指導員の元気な掛け声に合わせ、参加者たちが身体を動かした。
体操を終えた86歳の女性は、日頃から運動を続ける手応えを語った。
「普段から別の体操教室に通っていて、今回知り合いに誘われて来てみました。去年は腰を痛めて車いすに乗っていたのですが、健康体操を続けたおかげで今はちゃんと自分の脚で歩けます。これからも運動を続けたいと思います」
インターネットで運動の動画を手軽に見られる時代になった。ただ、その動きを自分の身体の状態に合わせて実践するには、難しさもある。サンプレイで指導に当たり、高齢者体力つくり支援士の資格をもつ真鍋宏光トレーナーは、対面で教える意義をこう話す。
「映像では、関節の角度など分かりにくいこともあります。高齢者の方は一人ひとり身体の状態が違うので、その人に合わせて、家でもできる運動を伝えていきたい。機械が発達しても、対面で伝える人の存在は大事だと思っています」
現在、サンプレイでは地元の高齢者に向けて、月1回、元気塾を開催している。定員15人ほどの教室は満員になることも多いという。今後は町会への働きかけなどを通じて活動を広げ、より多くの地域住民に運動を届けていく考えだ。
日本では、65歳以上が総人口の約30%を占める。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(2023年推計、出生中位・死亡中位)によれば、その割合は2040年に34.8%に達する見通しだ。
運動の必要性を知るだけでなく、身近な場所で自分に合った方法を教わり、日々の暮らしのなかで続けられること。高齢化が進む社会では、そうした機会を地域に根づかせることがますます大切になる。「サンプレイ生涯元気塾」は、人から人へ運動を伝えることで、高齢者が身体を動かし続けるための場をつくっている。
取材:FITNESS LOVE編集部










