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90歳のボディビルダー・金澤利翼が“年齢差39歳ペア”でのコンテスト出場で話題 90代でも衰えぬバイタリティの源泉は「新しい歴史をつくる」

9月23日(水・祝)、愛知県名古屋市で第37回『JBBFジャパンオープン選手権大会』が開催された。日本ボディビル界のレジェンド・金澤利翼(かなざわ・としすけ/90)選手と、女子フィジークの宮前亜寿香(みやまえ・あすか/51)選手がミックスドペアボディビルカテゴリーへ出場したことが大きな話題を呼んだ。39歳差ペア結成の理由や、90歳ボディビルダー金澤選手が見出した「年齢を重ねることの価値」とは?

【写真】90歳ボディビルダー金澤利翼選手の「スゴイ!」筋肉

39歳差ペア息ぴったり共闘の秘訣は「相手を思いやる」

結成のきっかけは、金澤選手が経営する「広島トレーニングセンター」によく通っている宮前選手からの提案だ。

「私自身もJBBFでビキニフィットネスやフィットモデルの選手として競技を続けてきました。金澤さんは現在、『95歳まで競技を続けたい』とおっしゃっていますが、少し前までは『90歳まで』と話されていました。それなら90歳という節目に、『記念としてミックスドペアに出てみませんか?』と私からお誘いしたのが始まりです」(宮前)

ステージで表現したかったのは、「人生にはこんな挑戦の仕方があるんだ」という“生き方そのもの”だという。

「もちろん競技ですから勝ち負けもありますが、それ以上に、90歳と51歳、39歳差の二人が同じステージに立ち、一つのものを作ること自体に意味があると思いました」(宮前)

共にステージを作り上げる上で心がけたこととは。

「僕が一番気をつけたのは、二人の動きとタイミングを合わせることです。規定ポーズでは、宮前さんと同じペースで動いて、二人のポーズを合わせなければいけません。僕はこれまでずっと一人でステージに立ってきました。一人なら多少タイミングがずれても自分のペースでできますが、今回は二人で一つの演技をするので、絶対に間違えてはいけないと思いました。だから、とにかくルーティンを覚えようと。もう、持っている脳みそを全部使って覚えました(笑)」(金澤)

金澤選手にとっては、年齢差よりも「二人でひとつの作品を作り上げること」が最も難関で、かつ新鮮だったと語る。

「私が一番大切にしたのは、金澤さんに合わせることです。金澤さんには、長年続けてこられたご自身のポージングのリズムやルーティンがあります。それを変えてもらうのではなく、私が合わせながら二人の形を作っていくようにしました。曲も金澤さんが動きやすいように、なるべくテンポが速すぎないものを選びました。ほぼ毎日のようにお会いしていますが、最近はありがたいことに取材なども非常に多く、二人でまとまった練習時間を取ることがなかなかできませんでした。だからこそ、長時間練習するのではなく、無理のない範囲で短時間に集中して練習してきました」(宮前)

お互いが相手の事情を慮り、気遣い合うことを最優先にした結果、自然とパフォーマンスの練度も上がっていったようだ。

「大変でしたが、楽しかったです!宮前さんさえよければ、来年もまた一緒に出るぞと言っています(笑)」(金澤)

金澤選手の生き方に感化され前を向く人々

金澤選手と宮前選手は、YouTubeチャンネル『生涯現役・金澤利翼とあすか【公式】』でも発信活動をしている。活動に至った背景を聞いた。

「私はパーソナルトレーナー、健康運動指導士として多くの方と接していますが、お客様から『もう歳だから』という言葉を耳にすることは少なくありません。でも、金澤さんはまったく逆です。89歳のときには、『早く90歳になりたい。90歳になって、まだ人がやっていないことに挑戦したり、記録を残したりしたい』と話されていました。『あと1年でやっと90歳になれる』と、歳を重ねることそのものに価値を見出していたんです」(宮前)

その言葉を聞いたとき、「これは私だけが聞いていてはいけない。もっとたくさんの人に伝えたい」と思ったという。そして実際に、発信によって変化が生まれたエピソードを話してくれた。

「普段から『広島トレーニングセンター(金澤選手が経営するジム)』によく足を運んでいますが、ときどき、金澤さんに会うためだけに遠方から訪ねて来られる方がいらっしゃいます。今回も、私たちのミックスドペアを応援してくださっている方が、福岡から来られました」(宮前)

その来訪者は、競技から離れてしまった経歴を持つ男性。ジムには通っているものの、目標を見失い惰性でトレーニングを続けているなか、「なぜ金澤さんは90歳になってもボディビルを続けられるのかを聞いてみたい」と思い立ち訪れたのだという。

「130歳まで生きていろんな記録を打ち立てる目標がある、という話を聞いたあと『すごくパワーをもらいました。自分も少し視点を変えて、もう一度目標を持って何かにチャレンジしてみようと思います』と帰られました。こういう変化こそが私たちの活動で一番大切なことだと思っています」(宮前)

金澤選手はこれからも、ボディビルの世界で記録に挑戦していくという。

「僕はこれまで、マスターズ(※40歳以上の年齢別で競う日本大会)で17回日本一になりました。25歳・27歳での『日本選手権』で2回の優勝と合わせると、19回、日本一になっています。まだまだ、この記録を更新していきます」(金澤)

金澤選手は年齢別大会だけでなく、85歳から全階級無差別の国内最高峰ステージ『日本選手権大会』にも再度挑戦を続けている。

「日本選手権は日本のトップ選手が集まる大会ですから、今から優勝を目標にということではありません。私が挑戦したいのは、この大会に最年長選手として何歳まで出場し続けられるかということです。90歳を過ぎても日本選手権の舞台に立ち続けることで、ボディビル界に新しい歴史を作っていきたいと思っています」(金澤)

来たる10月11日(日)、『第72回日本選手権大会』が大阪の吹田市文化会館で開催される。御年90歳のボディビルダー・金澤選手の勇姿を目に焼き付けたい。

【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

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取材・文:にしかわ花 撮影:中原義史

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