9月22日(火・祝)に愛知県名古屋市で開催された第37回『ジャパンオープンフィットネス選手権大会』において、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)では初となる新カテゴリー「メンズフィットモデル」が実施された。
鍛えた肉体にジャケットをまとうファッション誌の表紙のようなスタイルは、これまでのボディビルパンツやビキニとは一線を画し、会場の観客に大きな衝撃と新鮮な驚きを与えた。
【写真】モデルライクな肉体美でジャケットを着こなす初代王者・谷崎淳之選手

記念すべき初代王者に輝いたのは、千葉県庁総務部に勤務する、谷崎淳之(たにざき・あつゆき/35)選手。谷崎選手に出場の経緯やカテゴリーの魅力などを深掘りするとともに、同大会(22、23日の2日間開催された内の1日目に)審査委員長を務めたJBBF専務理事・木下美弥子(きのした・みやこ)氏に本カテゴリー導入の経緯と今後の展望を聞いた。
JBBF初開催「メンズフィットモデル」誕生の背景と海外の動向
木下美弥子氏は導入の経緯について次のように語る。
「今回は公開競技ということで小規模人数(3名)の開催となりましたが、メンズフィットモデルはヨーロッパなどを中心に数年前から国際大会で導入され、海外では既に他カテゴリーに匹敵する人気を誇っています。そのため、日本国内でも『いつ導入されるのか』と期待と議論が重ねられてきました」
IFBB中国連盟では、フィジークのように身長別でクラス分けされるほどの盛り上がりを見せている。日本では、2024年に東京で開催された『IFBB男子ワールドカップ』で、中村宗人選手が優勝を飾り、高田巌選手が4位に入賞。この世界大会での日本選手の活躍や海外の盛り上がりに触れ、本大会の初代王者・谷崎選手もカテゴリーを知るきっかけとなったという。
「フィジークなどで活躍する選手たちにとっても、新しい挑戦の場を提供したいという目的がありました。今回の反響や結果を踏まえ、来年以降の本格的な継続開催も前向きに検討していきます」
初代王者が語る、“ジャケット×筋肉”競技の魅力
「完全に想定外の優勝で、まだチャンピオンの実感が湧きません。(メンズフィットモデル参入のきっかけは)職場の目の前にある会場で開催された大会があり、同僚から『見てみたい』という声があったことです」
実際にステージに立ってみて感じたカテゴリーの魅力について、谷崎選手はこう語る。
「1stラウンドでは、クラシックフィジークのパンツで全身の筋肉を比較し、2ndラウンドでジャケットを着用した着こなしや振る舞いなどを比較されます。競技性にかなり奥行きがあるのが魅力ですね。新たな自分に出会えたり、挑戦することの楽しさを味わえるので、誰でも挑戦してほしいカテゴリーだと思います」
生活と競技の両立「筋トレを通じて人生の夢は充分過ぎるほど叶っている」
谷崎選手はステージを降りると、公務員として多忙な日々を送っている。日常と大会の両立のリアルな様子を聞いた。
「大会前は、ご飯やお酒のイベントに参加できないもどかしさを感じることもありますが、要所では必ず参加したり、他の社内交流を工夫したりと日常生活との折り合いをつけてきました。職場では、仲の良い人以外には筋肉関連のことは言わないようにしています。気を遣われたり、仕事面で変なバイアスを与えたくないので」
大会出場をするためには、どうしても食事管理やトレーニングなど仕事外での活動が増える。
「フィットネスに関連の薄い職種の場合は職場の雰囲気にもよりますが、あまり話さない方が吉なケースもあるのかなと思います」
冷静に世間と自身の競技への温度感を俯瞰しつつ、それでも谷崎選手は、例年、非常に多くの大会に出場を続ける。
「今年は7大会11カテゴリーに出場しました。2023年が9大会10カテゴリーなので、そこにほぼ並ぶロングシーズンでした」
その理由は、「筋トレや筋肉がとても好きなので、好きなことで競い合いたいという気持ちがあるから」。
「筋トレを通じて妻と出会い、多くの切磋琢磨する友人に恵まれました。人生の夢は、(トレーニングを通じて)充分すぎるほど叶えさせてもらっています。今後の目標は、妻や家族、友人たちに喜んでもらえるような、世界大会での結果を出すことができればこの上なくうれしいです」
このカテゴリーの登場は、谷崎選手のように多忙な環境にある選手や年齢などのバックグラウンドを問わず、男性フィットネス愛好者にとって新たな選択肢となりそうだ。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピング講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材:にしかわ花 撮影:中原義史
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。記者・ライター、メディアプランナー、エッセイスト。










