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お尻の筋肉を本気で鍛える筋トレ種目6選「最強の殿筋強化法」

完璧な肉体を目指すなら、力強い殿筋は不可欠だ。いや、むしろ殿筋づくりから先にはじめるべきかもしれない。殿筋の発達具合を見れば、他の部位の発達の程度もおおよそ見当がつく。そのことは、本格的なアスリートと趣味でトレーニングをしている人の「尻の状態」を比較すれば明らかだ。どうしたら理想的な殿部を作ることができるか。今回はかっこいい殿筋をつくるためのトレーニングについて解説していく。

文:Raphael Konforti MS, CPT 翻訳:ゴンズプロダクション

殿筋は高強度でのデッドリフトやスクワット、ランジなどによって強い刺激を受け、発達する。では、この3種目だけで理想的な殿筋を完成させることができるのだろうか?求める完成度のレベルによって答えは変わるが、可能な限りかっこいい尻をつくりたいというのであれば、この3種目だけでは十分ではないかもしれない。殿筋を研磨するための種目は他にもたくさんあるので、理想から言えばそれらの種目を織り交ぜた殿筋のためのワークアウトを行うのがいいだろう。

殿筋の解剖学

殿筋はひとつの筋肉の塊ではなく、3つの筋肉が組み合わさって構成されている部位だ。3つの筋肉とは大殿筋、中殿筋、そして小殿筋だ。3つに分かれているとはいっても、これらは相乗的に働く。それでも、完成度の高い殿部をつくるには、3つの筋肉を個々に意識して、それぞれが特に強い刺激を受ける種目を選択して発達させていくことが必要だ。
①大殿筋:3つの筋肉のうち最も表層部に近いところにある。この筋肉は面積が大きいため、発達させることで尻のシルエットは変わってくる。たとえばルーマニアン・デッドリフトでは大殿筋が主動筋となる。
②小殿筋:大殿筋の深部にあるのが小殿筋だ。その名のとおり殿筋の中では最も小さな筋肉である。それでも、小殿筋が発達すると深部から大殿筋を押し上げてくれるため、シルエットの改善のためには疎かにはできない。
③中殿筋:大殿筋の上部、骨盤の外側に位置するのが中殿筋だ。骨盤の外側に張り付いたような状態にあるため、骨盤を安定させる役割がある。さらに、大腿骨を外旋、内旋させることも中殿筋の役割のひとつである。

3つの筋肉からなる殿部の筋肉は、全体を見ると扇形を構成している。また、3つの筋肉が重なる部分もあり、その部分にはぎっしりと筋線維が詰まっている。扇形の筋肉といえば胸筋が代表的だが、胸筋がそうであるように、殿筋もまた様々な角度から刺激を受ける。これは言い換えると、様々な角度からの刺激が得られなければ、全体を限りなく発達させることが難しい部位であるとも言えるのだ。

殿筋の機能

殿筋の主な機能としては、デッドリフトで腰を前に押し出すときに、殿筋がギュッと収縮することで骨盤を前傾させることが挙げられる。また、骨盤を外転させるのも殿筋の機能のひとつである。

これらの機能は選択する種目によって強化されていくので、殿筋を最大限に発達させるために筋肉の機能を知り、その機能を最大限に用いた種目を選択することが重要になる。

殿筋のワークアウトの多くは垂直に動作する種目で構成されているが、それだけでは縦方向に殿筋を伸展&収縮させるばかりである。たとえばそのような種目にはスクワットやデッドリフトなどがあるが、垂直方向の動作だけでなく、水平動作の種目もぜひ組み込んでいきたい。たとえば水平面で殿筋を伸展&収縮させる種目としてはヒップスラストなどがある。もちろん、大腿骨を内旋&外旋させる運動も殿筋の機能を使うので有用だ。これらの種目は特に殿筋を持ち上げるのに役立ち、骨盤を健康な状態に保つ効果もあるので軽い重量をかけながら行ってほしい。

最近発行された『ジャーナル・オブ・コンパラティブ・ヒューマン・バイオロジー』誌によると、伝統的なパワーリフティングの種目だけを行った場合と、複数の競技を行った場合とで殿部の筋肉のサイズを比較すると、両者がもたらす効果に大差はないのだそうだ。つまり、スクワットやデッドリフトなどの垂直動作によってもたらされる殿筋への刺激も、バレーボール、スカッシュ、サッカーなどを行った場合に得られる刺激も、殿部の筋肉を同様に発達させることができるということだ。

ちなみに、複数の競技種目で行われる動作は、異なる方向に反動を使った運動だったり、水平面での動作だったり、柔軟性を高めるような動きで構成されている。ならば、パワーリフティング種目だけでもいいではないかと思うかもしれないが、様々な方向に動作する競技種目を行った場合でもパワー系種目を行ったときと同じように筋肥大するのであれば、殿筋の機能をフルに使った運動のほうがサイズ以外の機能面の向上も得られるわけだから、そのほうが得だとは思わないか?

また、様々な方向に動作する種目を新たに取り入れれば、パワー系種目だけを行ってきたトレーニーにとっては新たな刺激になるはずだ。つまり、より効率よく殿部の筋肉を発達させることができるようになると考えられるのである。

結論としてはこうだ。サイズをつくりながら、なおかつ機能を向上させるワークアウトを行えば、私たちはかっこいい殿部だけでなく健康な骨盤と腰を保つことができる。そのようなワークアウトにはパワー系種目だけでなく、様々な方向に動作を行う競技的種目も盛り込まれている必要があるのだ。

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