今年で4年目を迎える『マッスルゲート四国』に、ウーマンズウェルネスのカテゴリーが初登場。ウェルネスは全身の程よい筋肉発達に加えて、腰・殿部・大腿部の筋肉量が特に重視されるカテゴリーだ。
「太ももが太く、足首にいくにつれて細くなっていく。この形がずっとコンプレックスでした。でも、ウェルネスだと自分のコンプレックスが強みになるかもれないと思ったんです」
そう話すのは枋谷恵莉子(とちたに・えりこ/34)さん。2022年からJBBFの大会に出場し始め、今年で3年目となる。昨年はビキニフィットネスのカテゴリーのみにエントリー。ビキニで求められる下半身は、程よい筋肉がついてモデルのようにスラリと伸びた脚だ。
減量してもビキニの理想とする体型に近づかず「スクワットをしても何しても、なかなか落ちないことに気づいた」という。昨年の終わりごろから、インスタグラムでウェルネスの競技をしている選手を見て「自分も挑戦してみたい」と興味をもった枋谷さん。四国でもウェルネスの大会があればいいのに、と思っていたところに見つけた同大会。迷わず応募し3位入賞を収めた。
もともと脚が強かったのかを伺ってみると、「自転車通勤で脚のベースが作られたんだと思います」と、枋谷さんは笑顔で答える。自宅から勤務先まで、なんと片道40分かけて自転車通勤していたというのだ。
「車が必須だと言われる徳島県に住みながら、車を持っていない時期があって。雨の日も風の日も半年以上、自転車で通勤し続けました。平坦な道だと楽なんですが、結構アップダウンの激しい道だったんですよ(笑)」
枋谷さんの職業はスポーツクラブのインストラクターで、主に水泳のクラスを担当している。仕事で体力を使った後に、高低差のある道を自転車で40分かけて帰っていた。「今は車通勤ですが、あのときの生活で、競輪選手のような立派な脚が育ちました」と枋谷さんは朗らかに話す。
自転車通勤をしながらトレーニングも行っていたそうで、大会出場を意識し始めた2022年からは週1日パーソナルに通うように。パーソナルで教わったことを復習するために、4日ほどは会社のトレーニングルームや町営ジムでトレーニングを行っている。
ウェルネス選手として目指すのは、全体的により大きく発達した脚。扱う重量を増やし、控えていた前太もも用の種目もするようになった。フリーのスクワットよりも部位ごとに細かく効くように、さまざまなバリエーションのスクワットを行っているという。
脚の日は一気に全部を鍛えるそうで、種目はレッグプレス、シシースクワット、ブルガリアンスクワット、ルーマニアンデッドリフト。そしてレッグエクステンションとレッグカールを最後に行う。
「パーソナル中は必死すぎて、何セット何回やっているのか覚えていません(笑)。あまり記録を細かくつけていなくて、自分でトレーニングする日も、とにかく疲れるまでやりきります」と、枋谷さん。
「今大会の結果は3位でしたが、ウェルネスの道は始まったばかり。来年は優勝を目指し、今後は徳島県のウェルネス選手といえば枋谷恵莉子、となるように邁進していきます」と力強く語ってくれた。彼女の物語は始まったばかりである。
取材:小笠拡子 撮影:北岡一浩