スポーツジムのなかでもスタジオレッスン専門だった会社員が、今は「下半身をバルクアップして、大きく、大きくしていく」ことに夢中――。そんな田野仁子(でんの・さとこ/41)さんのトレーニングヒストリーを紹介する。
田野さんが筋トレを始めたきっかけは「引っ越し」だった。
「もともとスポーツジムには通っていたのですが、そこではスタジオのプログラムに出ていました。2019年に引っ越しをし、一時期ジム通いをやめていたのですが、じつは家のすぐ近くにトレーニングジムがあることに気づき、何も考えず入会しました。通いだして初めて、そこはガチ勢のマッチョがたくさんいるジムなのだと知りました」
健康面は気にしているほうだったが、服を買いに行って試着したときに以前とはサイズが変わり、体型が変わってしまったのだと気づいて「自分自身にがっかりしてしまった」ことがあった。
「体型を変えるには筋トレが一番だと聞いていたので、ジムが変わったのを機に自分も筋トレを始めてみることにしたんです」
新たにジムの会員になってからは一度もスタジオには参加せず、週3日から4日、ジムでの時間を筋トレのみに費やした。大会を目指すようになると、「今まで一人でひっそり、黙々とジムで筋トレするだけだった私が、大会を通して同じくトレーニングしている方たちとも知り合うことができて」、続ける意味がさらに増えた。
昨年2023年には複数のボディコンテストに挑戦。『JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)千葉大会』ビギナーズフィットネスと『マッスルゲート千葉大会』レギンスフィットネス、両部門で優勝といきなり結果を残し、トレーニングのモチベーションはさらに高まっている。
そんな田野さんのトレーニングに対するこだわりは、狙った筋肉への「意識の向け方」にあるそう。
「得意部位は肩ですが、今年は脚がしっかりしてきたと言われます。どちらも対象筋に負荷を乗せることを一番意識していて、負荷が別の部位に逃げていないかを必ず確認します。そのためスピードをゆっくりにしたり、一度止めてやってみたりしています。今年、注力しているのは下半身の強化。特にお尻に関しては、今まで意識しづらく何となくやってしまっていましたので、やり方を変えて上中下部で分けてトレーニングしています。その成果か、職場のかなり若い後輩からもお尻の形を褒められました」
トレーニングを継続するコツについて尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「今日ジムに行かなければいけないとか、この種目をやらなければいけないなど、『〜しなければいけない』という意識を持たないようにしています。気持ちが乗らなければジムにも行きませんし、やりたい種目だけやって帰る日もあります。楽しく、ある意味気楽な気持ちでいることが継続できている秘訣だと思います。
仕事が大好きで、トレーニングはあくまで趣味の一部。だからこそ楽しめるし、メリハリをつけているからこそ仕事もトレーニングも集中して頑張れる。それが田野さんのスタンスだ。コンテスト出場についても、この“一点集中主義”が貫かれている。
2023シーズンが終了した昨年12月には、自身のSNSで周囲にこんな宣言をした。
「私はやっぱり筋量がしっかりある身体が好きなので、来年は大会には出ずに欠点をバルクアップして、大きく、大きくしていきます。次はキラキラビキニで、そのときの自分に合ったカテゴリーで大会に出れたらいいな。
1年でどこまで変われるかな? 2025年は別人レベルに成長して、圧倒的に勝てる身体でまたステージに立ちたいと思います」
現在はパーソナルトレーナーの指導のもと、目指すカテゴリーに合った身体づくりの真っ最中。「今はどこまで自分が成長できるか楽しんでやっています」。田野さんの2025年シーズンを、楽しみに待ちたい。
取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:北岡一浩 写真提供:田野仁子