コンテスト

トップフィジーク選手のコラボセミナー 伊吹主税×奇埈成のセミナーに潜入! ウエストを太くしない種目選定などをレクチャー【筋トレ】

伊吹主税選手(左)、奇埈成選手(右)7月12日(土)に新大阪にて、『伊吹主税×奇埈成 スペシャルコラボセミナー』が開催された。本イベントはグランドチャンピオンシップス3連覇王者の伊吹主税(いぶき・ちから)選手が運営するオンラインサロン『PHYSIQUE TOWN』を中心に一般参加も含めて総勢14名が参加した。コラボ相手はオールジャパン2連覇王者の奇埈成(きい・しゅんせい)選手だ。内容は『フィジーク競技に特化した戦略的トレーニング設計術』とあり、ボディコンテストの中でも特にメンズフィジーク競技者に向けた内容だった。

トップフィジーク選手のコラボセミナー

トップフィジーク選手の両名が登場し、Tシャツの上からでも分かる筋肉の盛り上がりを目の当たりにした参加者は、思わず「でかぁ……」という声が漏れていた。

【写真】スペシャルコラボセミナーの様子

フィジークで評価されるためのメニュー設定

セミナーはフィジーク競技において、評価される身体づくりやメニューの組み方から始まった。

トップフィジーク選手のコラボセミナー

「まずは自分の骨格に合わせたトレーニング、メニューを作ることが大切です。私のように鎖骨の短いタイプだと特に肩のボリュームが必要になります。なので私は、肩の日以外にも、胸のトレーニングの後にも肩のサイドをやっています。肩のサイドは多羽状筋といって筋線維が多く、神経伝達を良くするためにも刺激を入れる頻度を増やしたいんです」と奇さんは言う。

「肩の前側ばかり筋肉がついている人はサイドレイズを肘を曲げて高重量で行っていることが多い印象があります。そういった方は、上体を倒して前傾姿勢ですることで、肩のサイド部分やリア部分の発達につながり、見た目のワイド感が出ます。特にサイドポーズのときに肩のリアと胸の筋肉量があると、厚みを演出することができます」と伊吹さん。

トップフィジーク選手のコラボセミナートップ選手の考えられたメニュー作りや解剖学からのアプローチを聞き、言葉一つひとつを聞き逃すまいと、終始真剣な眼差しで参加者はノートにメモを取っていた。

ボディビルとフィジークはボディコンテストの括りでは共通だが、トレーニングメニューやプログラムにはどのような違いがあるのだろうか?

「フィジークにおいては重量選択が重要だと思います。『その部位で扱える最大重量』って感じです。例えば僕はサイドレイズはやろうと思ったら25kgとかでもできます。ただ肩の筋肉だけでコントロールしようと思ったら、14kgが限界です。あとは可動域も上げ過ぎれば僧帽筋に負荷が逃げてしまうので、自分にとっての最適な可動域を見つけることも大切です。『あの選手が20kgだから、自分も20kgでやろう』ではなくて、自分にとっての最大重量を探しましょう」と伊吹さん。

伊吹選手のフィジーク競技としてのトレーニングは、「フィジークで必要ないことはしない」ということだという。ただマシンをメインするわけではなく、フリーウエイトの重要性にも言及した。「ベンチプレスが強い人はマシンのチェストプレスも強いです。でもマシンのチェストプレスで重量を扱えるのに、ベンチプレスが弱い人っていますよね。そういう方は身体の使い方や連動性が上手くない可能性が高いです。なので、フリーウエイトで上手く身体を使うということも大切です」

奇選手はどちらかというと「身体が強い人に憧れる」という。特にフリーウエイトを中心とした身体づくりに魅力を感じていて、運動機能が整っており、フリーウエイトもきれいなフォームでできていることに憧れがあるようだ。

ウエストを太くしない種目選定

フィジークといえば広い肩幅に引き締まったウエストから生み出される逆三角形のラインが特徴だ。そのラインを生み出すためにウエストが細い方がより逆三角形が際立つのだが、ウエストを太くしないためのトレーニング方法はあるのだろうか?

トップフィジーク選手のコラボセミナー「底引きのデッドリフトは2020年あたりからやってないですね。フリーウエイトは大切なのですが、底引きのデッドリフトは自分が鍛えたい部位以外のダメージが大きいので。あとはどの種目でも、肋骨を閉じることもウエストを太くしないために注意しているポイントです。例えばワンハンドのサイドレイズなんかでは、空いている方の手で肋骨に触れながら行っています。これはちゃんと肋骨が閉じているか自分で確認するためです。これくらい肋骨の閉じを気にしています」と伊吹選手。

奇選手は解剖学の視点からウエストを説明する。

「腹筋は外腹斜筋、内腹斜筋、腹直筋、腹横筋の順番になっています。ウエストの太さに一番関与しているのが一番奥にある腹横筋で、過剰に使われて肥大することでウエストが太くなります。なぜ肥大するかというと、やはり肋骨が開いているからです。体幹に力が入るときに外側の筋肉が稼働して肋骨を閉じていないから、腹横筋が使われて肥大につながります。こう考えるとワイドスタンスのスクワットやデッドリフトはそもそも肋骨が開きやすいので、ウエストの肥大につながるのではないかと思います。なのでおすすめは足幅は狭めのスタンスが良いと思います」

トップ選手が語る内容は、どれも実践に落とし込める具体的な情報ばかりだった。ただトレーニングをこなすのではなく、「フィジークで評価される身体をつくる」ために、何をどう鍛えるのかを考えること。骨格に合わせた種目選定、見せ方を意識した可動域調整、そして肋骨の開きにまで意識を向けた解剖学的アプローチ。フィジーク競技の奥深さと、そこにかける選手のこだわりを知ることができた。参加者それぞれのフィジーク競技への意識が変わるきっかけとなったのではないだろうか。

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取材・文・撮影:柳瀬康宏

執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBFやマッスルゲートを中心に、毎年ボディコンテストに挑戦中。

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