誰もが参加できる間口の広さから“筋肉コンテストの登竜門”として話題の『マッスルゲート』。今年は全国各地で11大会を予定しているが、その開幕戦となる『マッスルゲート神奈川』が2月14日(日)、川崎市のカルッツかわさきで開催され、フレッシュな“明日のスター候補”たちが誕生した。
その一人が、ビキニ部門で優勝した堀田(ほりた)ひろみ選手(34)。競技歴3年ながら、昨年11月に行われたマッスルゲート石川大会でのパーフェクトスコア優勝に続きカテゴリー優勝を果たした。「母親になっても、自分の好きなことを思い切り楽しんでいい」。悩みながらもその考えにたどり着いた堀田選手は、6歳の娘をもつシングルマザーだ。
「オリンピック出場」の夢を抱き、幼少期から水泳に打ち込んだ。インターハイや国体にも出場したが、大学卒業後、就職を機に競技者生活にピリオドを打つ。結婚後、28歳で出産。ほどなくシングルマザーに。目まぐるしい歳月のなか、転機はさりげなく訪れた。
「出産してから『体がたるんできたな、トレーニングでもしようかな』とジムに通い始めたら、最初は全然持ち上がらなかった重量が少しずつ挙がるようになって。続けるうちに心の底から『楽しい!』と」
生来のアスリート魂に再び火がつくまで、時間はかからなかった。ジムに通ううちにボディコンテストの存在を知り、トレーニング継続の新たな目標として挑戦を決めた。
朝食づくりに始まる家事全般を終え、娘を保育所に送ると職場へ。夕方、保育所にお迎えに行き、夕飯のしたく後にジムへと駆けつけトレーニング。帰宅後、残りの家事を済ませる。このルーティンを週6日。両親や周囲のサポートに助けられているが、ビジネスパーソン、母親、コンテスタントという“3足のわらじ”を履き疾走する日々は、想像以上に過酷だった。「じつは去年、『競技はもうムリかな』と心が折れかけたこともありました」
奮起のきっかけは、マッスルゲートの優勝者を集めて開催された昨年の『ゴールドジムジャパンカップ』。優勝を目指したが2位に終わった。
「すごく悔しかった。小さい頃からスポーツをやり込んできたせいか、やっぱり負けず嫌いなんですよね(笑)。これだけ悔しい思いをしたのだから結果を残したいと、気持ちが吹っ切れました」
競技と真剣に向き合うようになって思ったことがある。シンプルだが、経験してみて初めて実感できた思いだ。
「子育ては本当に大変。でも、それを理由に何かをあきらめたくはないというか、女性でも、母親になっても好きなことを楽しんでいいんだなと、自分のなかで再確認できました。ビキニ競技で日本一になりたいという気持ちと、幼い頃に抱いた『オリンピックに出たい』という夢がシンクロして、今はトレーニングが私にとって人生のモチベーションになっています」
今回の優勝で、『ゴールドジムジャパンカップ』への出場権を獲得。昨年の雪辱を果たすチャンスも得た。
「娘はすごく、しっかり者。去年も『2位だっていいんじゃない?』と励まされました。でも、私に似て負けず嫌いなので(苦笑)、私の悔しさもよく分かっているはず。あきらめずに頑張る姿を、同じ女性として娘にも見せていきたいなと思っています」
取材・文_藤村幸代
写真_北岡一浩
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