8月にHYROX千葉大会に出場予定で、一般競技者からトップアスリートまで、さまざまな選手の栄養サポートを行う管理栄養士・健康運動指導士のTejinが、「HYROX レース前の栄養補給」について解説します。

HYROXは「ランニング」と「高強度ワークアウト」を組み合わせた競技であり、約60〜90分前後にわたり高強度運動を繰り返します。
そのため、
・筋グリコーゲンを十分に蓄える
・脱水を防ぐ
・胃腸トラブルを防ぐ
など、レース前の栄養戦略がパフォーマンスへ大きく影響します。
特にHYROXは、「ランニング競技」「筋力系競技」の両方の特徴を持つため、一般的な筋トレやマラソンと同じ栄養戦略では後半の失速につながることがあります。
今回はHYROXアスリートが意識したい、
・前日
・当日
・レース前~レース中
の栄養補給について解説します。
前日の食事
前日は「エネルギーをしっかり蓄える」ことが重要です。特に意識したいのが炭水化物です。
HYROXではランニングやスレッド、ウォールボールなどによって体内の糖質が大量に消費されます。
炭水化物不足になると、
・後半の失速
・集中力低下
・パフォーマンス低下
につながる可能性があります。
一般的には、
・通常時:体重×5〜7g
・レース前日:体重×7〜10g
程度の炭水化物の摂取が目安になります。
参考:・Guidelines for daily carbohydrate intake: do athletes achieve them? - PubMed
例えば体重70kgの場合、490〜700g程度の炭水化物摂取が目安となります。
白米で換算すると約1300〜1900g程度となるため、1食だけでなく補食も活用しながら分けて摂取することが重要です。

おすすめの炭水化物は
・白米
・おにぎり
・うどん
・餅
・パスタ
など低脂質で消化しやすい食品です。
特に白米は、
・脂質が少ない
・消化しやすい
・量を調整しやすい
という点から、レース前の主食として非常に優秀です。
一方で、
バームクーヘン
菓子パン
デニッシュ
などは糖質が多い反面、「隠れ脂質」も多いため注意が必要です。また、
❌焼肉
❌ラーメン
❌揚げ物
など脂質が多い食事も控えたいところです。

脂質は消化に時間がかかるため、
・胃もたれ
・腹痛
・消化不良
などにつながる可能性があります。
また、前日は
・味噌汁
・スープ
など汁物も活用し、水分と電解質を補給することも重要です。
当日の朝食
朝食はレース開始3〜4時間前を目安に摂取します。
おすすめは、
・おにぎり
・うどん
・バナナ
・あんぱん
・カステラ
など、炭水化物中心で消化しやすい食品です。
たんぱく質を取る場合は、
・ヨーグルト
・卵
・プロテイン
など消化負担が少ないものを選びます。
レース前は緊張によって交感神経が優位になりやすく、消化機能も低下しやすい状態です。
そのため、「普段食べ慣れているもの」を選ぶことが重要です。
レース前〜レース中の補給
レース1〜2時間前には、
・スポーツドリンク
・エネルギーゼリー
・バナナ
・ラムネ
などで軽く糖質補給を行います。
また、HYROXは発汗量が多いため、水分だけでなく電解質補給も重要です。
特にナトリウム不足は、
・脚攣り
・集中力低下
・脱水
につながります。そのため、
・スポーツドリンク
・経口補水液
・塩分タブレット
などを活用する選手もいます。
また、レース中にエネルギージェルを活用する選手もいます。
特に、
・後半で失速しやすい
・汗量が多い
・暑さに弱い
選手は途中補給も重要になります。
レース中は、1時間あたり30〜60g程度の炭水化物補給を目安に、エネルギージェルなどを活用する方法もあります。
ただし、HYROXは上下動が大きい競技のため、補給しすぎると胃腸トラブルにつながる可能性があります。
そのため、「どのくらい取ると動きやすいか」を事前練習で確認しておくことが大切です。
カフェイン戦略

カフェインには、
・集中力向上
・覚醒作用
・主観的疲労感軽減
などが期待されています。そのため、
・コーヒー
・エナジードリンク
・カフェイン入りジェル
などを活用する選手もいます。
カフェインを活用する場合は、体重1kgあたり3〜6mg程度が目安とされています。
一般的なドリップコーヒーは1杯(150ml)で90~120㎎、レッドブル・エナジードリンク1本(250ml)には80㎎のカフェインが入っています。
ただし、取りすぎると、
・心拍数上昇
・動悸
・胃腸トラブル
などにつながる可能性があります。
特にHYROXは高心拍状態が長時間続くため、複数の製品を組み合わせる際は、カフェイン量の合計に注意が必要です。
まとめ
HYROXでは、「走れる身体」と「高出力を維持できる身体」の両方が求められます。
そのため、
・十分な糖質補給
・水分と電解質補給
・消化に優しい食事
を意識することが重要です。
また、レース当日に初めて補給を試すのではなく、普段のトレーニングから、「何をどれくらい取ると動きやすいか」を確認しておくことが、パフォーマンス向上につながります。
■参考文献
・Guidelines for daily carbohydrate intake: do athletes achieve them? - PubMed
・Effects of caffeine intake on muscle strength and power: a systematic review and meta-analysis | Journal of the International Society of Sports Nutrition | Springer Nature Link
・レッドブル・エナジードリンク1本のカフェイン量は?|レッドブル Q&A
■著者プロフィール
申泰鎮(シン・テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・身体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。










