スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目で、それぞれが設定した重量に挑戦するパワーリフティング。
男性選手のイメージを持つ人も少なくない競技だが、7月12日(日)、神奈川県横須賀市のMF CLUB田浦店には、10代から幅広い世代の女性が集まった。開催されたのは、女性限定のパワーリフティング大会「第6回ストロングガールズストレングスフェスティバル」。
日本パワーリフティング協会の公式ルールをベースとしながら、シングレットの着用を必須とせず、Tシャツや身体にフィットしたショーツ、レギンスでも参加できる非公式大会だ。
階級は設けず、順位は合計重量の体重比率によって決められる。
会場ではDJが音楽を流し、休憩時間にはBINGOゲームやバーベルの重量を予想する「重量当てゲーム」も実施された。
競技会特有の緊張感はありながらも、初めてパワーリフティング大会に出場する人が参加しやすい雰囲気づくりが行われていた。

第6回ストロングガールズストレングスフェスティバル
「重いものを持ち上げる=男性のもの」

主催の河西香南さん(中央)
女性限定の大会を開催した理由について、主催するStrongirls Japanの河西香南さんはこう話す。
「パワーリフティングは男性が多いスポーツです。社会的にも『重いものを持ち上げる=男性のもの』と見られているところがあると感じています」
女性だけの大会にすることで、競技経験のない人にも参加してもらいたいという。
「大会に出たことがなく、選手ではない方でも気軽に参加できる。そこがストロングガールズをやりたいと思ったきっかけです」
パワーリフティングの公式大会では、競技用のシングレットをはじめ、ルールに沿った服装や用具が必要となる。
ストロングガールズでは、そうした競技参加へのハードルを一部取り除いた。
一方、試技にはELEIKOのパワーリフティング用ラックやバーベルを使用。本格的な競技環境を用意している。
「まずは『やるまで』のハードルを低くしてあげたい。一回試してもらって、『こんなに楽しいものなんだ』と気づいていただきたいんです」
一般のジム会員が大会に挑戦
第6回大会の開催地となったMF CLUB田浦店は、パワーリフティング専門ジムではない。
一般のトレーニング利用者も通うジムで、今大会には同施設の会員も複数出場した。
「今までパワーリフティングとは全く関係なく、一からトレーニングを始めた会員さんもいます。本当に最初はバーベルを持てない状態から、バーを担げるようになって、今は大会で重量にチャレンジしている。それは個人的にすごく感動します」
大会を観戦する人の中にも、出場するジム会員を応援するために訪れた人がいたという。
競技経験者だけを対象にするのではなく、普段のトレーニングの延長線上に「大会への出場」という選択肢を作る。それも同大会の狙いの一つだ。
母の大会を見て競技を始めた13歳

13歳のオールド・リリアンさん
今大会には10代の選手も出場した。
13歳のオールド・リリアンさんは、パワーリフティング競技を行う母親の姿を見たことが競技を始めるきっかけになったという。
「母が大会に出ているのを見て、自分も挑戦してみたいと思いました」
好きな種目はスクワット。競技について「楽しいし、挑戦することにワクワクします」と話す。
■女子部員一人、日本記録を目指す17歳

17歳の岡田理来さんは、埼玉県立草加高校のパワーリフティング部に所属している。高校進学先を探していた際、「パワーリフティング部」という部活動を見つけた。
「面白そうだなと思って、高校に入学した時に部活で始めました」
現在、同部の女子部員は岡田さん一人だという。
以前は一学年上に女子の先輩がいた。
「先輩は『日本記録を取りたい』と言っていたんですけど、途中で学校を辞めてしまって。その先輩の意志を継ごうと思って、今まで頑張ってきました」
得意種目はベンチプレスで、自己ベストは67.5kg。
69kg級で日本記録の更新を目標としている。
学校では大会成績によって表彰される機会もある。
「壇上に上がるたびに、友達が『すごいね』と言ってくれます。Instagramに試技の動画を上げても、みんな『すごい』と言ってくれて。すごくうれしいです」
高校卒業後について尋ねると、「大学もパワーリフティングで選ぼうかなと思っています」と答えた。
開催地域で女性選手が増えた例も

野村優さん
ストロングガールズはこれまで、横浜、東京、関西、九州など各地で開催されてきた。
開催地を固定していない理由について、河西さんは「その地域で開催すると、そこの出場者が増えていく」と説明する。
兵庫県で大会を開催した際には、その後、県大会に出場する女性選手が数人程度から20人ほどに増えたという。
「一回試してもらって、楽しいと気づいていただく。それで本格的にパワーリフティングを始める方も多いです」
大会運営に携わるパワーリフターの野村優さんも、競技への広がりを感じている。
「『ストロングガールズに出て、もっとパワーリフティングをやってみたくなった』と言って、私のところへパーソナルを受けに来てくれる人がいます」
ストロングガールズへの出場後、全日本選手権に出場するまで競技を続けた選手もいるという。
「そういう姿を見ると、パワーリフティングの輪が広がっているなと感じます」
自己ベスト更新が一つの成功体験に
野村さんは、パワーリフティングの特徴について「成功体験を積み重ねやすいこと」を挙げる。
「自分に自信がない人でも、強くなることや自己ベストを更新するという成功体験を重ねることで、自信が出てくることがあると思います」
パワーリフティングでは、挙上重量が数字として記録される。
これまで挙げられなかった重量に成功すれば、自身の変化を明確に確認できる。
また、野村さんは「何歳になっても続けられる競技」とも話す。
「マスターズになってもできる競技です。何歳になっても動ける身体になるために必要な筋力を、パワーリフティングというスポーツを通じて鍛えられる。それも良いところだと思います」
取材:FITNESS LOVE編集部










