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絶対王者、危機一髪!?メンズフィジークチャンピオンが大会約1カ月前に感じた異変【マッスル】

9月27日、メルパルクホール大阪にて開催された筋肉美の無差別級日本一決定戦「JBBF FITNESS JAPAN GRAND CHAMPIONSHIPS 2021」(以下、グラチャン)。メンズフィジークで優勝を決めたのが同競技で連勝中の絶対王者・寺島遼選手だった。これで世界選手権2連覇、アジア選手権2連覇、そしてこのグラチャンでも2連覇を達成。9月21日に行われたオールジャパン選手権では3連覇をマーク。まさにメンズフィジークのラスボス的な存在となった。

【写真】メンズフィジーク絶対王者・寺島遼選手のバックポーズ含む筋肉美

「(昨年はコロナ禍で大会がなくなり試合出場が)2年ぶりということがあり、今年は僕にとってはリセットの年でした。連覇しているなどの過去の実績は関係ない、あくまで挑戦者という気持ちで臨みました。その結果、2連覇ができたので嬉しいです」

こうしたボディコンテストは筋肉量だけではなく、筋肉の張り方や皮膚に含まれる水分の量など、細かい要素が勝敗に直結する非常にデリケートな競技。試合近くになると炭水化物の摂取量や体内の水分量のコントロールなど、細かい微調整が要求される。昨年は国内大会が軒並み中止に。丸2年のブランクは、他の追随を許さないコンディション調整力を持つ寺島選手の感覚をも鈍らせた。

「(減量初期は)なんかうまく落ちないという感覚はありました。なんか皮膚感が違うなあ、とか。そして(オールジャパン選手権の)1カ月ほど前になって『これはヤバイ』ということに気づきました。僕は月ごとの(減量の目標)体重を設定してるんですが、その数値が2kgほどずれていたんです。これは初めての感覚でした。『あれ? 減量失敗したかも?』と思ったのは今回が初めてです。そして2日間で1.5kgほど(落として目標体重に)合わせていきました。でも、そこからこんどは(減量が)早く進みすぎて、(体重を目標値に)合わせていったり、そこからまた落としたりの繰り返しになってしまって。結果的にオールジャパン選手権では1位を取れたんですが、90%強くらいのコンディションだったと思います」

それでもグラチャンにはコンディションをバッチリと合わせてくるところが絶対王者の絶対王者たるゆえん。今回は2019年に日本代表メンバーとしてともに世界選手権で闘った直野賀優選手(2位)、佐藤綾選手(3位)とともに表彰台に。戦友たちと喜びを分かち合った。

「一緒に日本代表として世界選手権に行った中で、代表選手としていった選手たちには仲間意識を持っています。(決勝審査で)この3人で並んだときは普通に嬉しかったです。そこで泣きそうになりました。ライバル心を持ってガツガツやりあうも大事ですが、内輪でガツガツやり合うだけではこの競技がニッチなスポーツと思われてしまいます。決して仲良しこよしでやっているわけではないのですが、ときには仲がいいところを見せることもいいのかなと思います。共感してもらえるものがないと、見る人の心に響かないと思うんです。見ている人に『僕もあの輪に入りたい』と思ってもらえる舞台を作っていきたいです」

国内ではまさに敵なしの寺島選手。メンズフィジークのエースは、「優勝」や「連覇」の向こう側の世界にも視野を広げている。

「僕にはこのメンズフィジークという競技がもっと世の中に触れるために頑張りたいという気持ちがあります。僕が出場しているのは(JOC参加の)JBBFの大会です。だからこそ、スポーツ選手として舞台上で失礼な態度は取ってはいけないと思っています。その上で、涙あり、笑顔ありの、みんなに共感してもらえる舞台を作っていきたいと思っています。出場した選手たちが、この団体はやっぱりいいなと、メンズフィジークという競技をやっていてよかったと思えるステージを作ってきたい。そして、こういったことを声に出して発言できるのはチャンピオンだけなんです。(発言権を得るためには)今後も勝ち続けていく必要があるのかなと思います」

目指すはメンズフィジークのメジャー化。絶対王者と呼ばれる男、闘い続けなければならない理由はまだ存在する。

取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介

【写真】メンズフィジーク絶対王者・寺島遼選手のバックポーズ含む筋肉美


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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