進むべき道が、見えた。
ダイエット目的でトレーニングに取り組むようになった土屋貴美恵(つちや・きみえ/36)選手は2019年、ビキニフィットネスの選手としてコンテストデビュー。初戦のキングオブフィジーク・大阪府ビキニフィットネス・オープン大会158㎝以下級で2位、兵庫県ビキニフィットネス・オープン大会35歳未満158㎝以下級では優勝、そして国内最高峰の舞台であるオールジャパン選手権35歳未満158cm以下級で9位と、幸先のいいスタートを切った。
「でも、そのころはトレーニングを抑え気味に行っていました。(大会に向けて)減量をするときも、あえて筋量を落とすようなことをやっていました」
全身のトータルバランスの美しさが求められるビキニフィットネスという競技。筋肉が過度に発達していると、審査においてはそれがマイナス要因になることもある。そのため、土屋選手は筋肉をつけすぎないために「抑え気味に」トレーニングしていたものの、そこにある種のフラストレーションを感じていた。
「私はスクワットもデッドリフトもベンチプレスも、重たいものをガツガツと持って、自分が納得のいくまでやっちゃうんです。3時間ほどトレーニングしてしまうことも普通にあります。そもそも私はトレーニングが大好きで、その延長でコンテストに出るという感覚でした」
女子のコンテスト競技には、より筋量が求められる「ボディフィットネス」というものがある。周囲の勧めもあり、土屋選手はボディフィットネスに転向。選手にとって競技の転向は大きな決断を要するものであるが、本人はこれを「トレーニングをもっと頑張りたかったので、すんなりと受け入れられた」という。
そして今年、東日本選手権でボディフィットネスの選手で再デビューし、158cm以下級で2位。さらには、8月6日に大分で開催された全国大会・ジャパンオープン選手権では優勝。転向2戦目にして大きな勲章を手中に収めた。
「今は楽しく、思いっきりトレーニングできているのが本当に幸せです。ジャパンオープンで優勝できて、もっと頑張りたいと思いました」
進むべき道のその先に、ボディフィットネスの国内ナンバーワンを決する一戦、オールジャパン選手権のステージが見える。
取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介
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