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「動けるマッチョ」95kgの肥満体から器械体操とパルクールで機動力抜群のシンメトリーボディに

12月10日(日)、埼玉県三郷市文化会館にて行われる『Super Body Contest(以下、SBC) 2023 FINAL』に集う、全国の予選大会を勝ち抜いた猛者たち。そのなかでも一際「キャラの立った」トレーニング法を行う辻宗志(つじ・たかし/52)さん。昨年のFINALにてSBC部門KINGクラス(50歳〜無制限)で優勝を勝ち獲り、今年も優勝が目される選手だ。

【写真】まさにシンメトリー! 辻宗志さんのスタイリッシュなボディ

「僕の身体づくりは一貫して“機能美”を重視しています。見た目のためのトレーニングよりも、動ける身体であるためのトレーニングをしてきました」

辻さんは学生時代、器械体操の選手だった。しかし、社会人となり証券会社で心身ともに過酷な日々を送るなかストレスからの暴飲暴食で95kgまで増え、落胆する妻からの冷たい目線に危機感を抱いたことで40歳を目前にボディメイクを始めることとなる。

「最初はひどいものでした。懸垂すら一回も出来ず、腕立てもままならない。体操時代を思い出して、逆立ちをまずは1分することから始めました。1日に数分でもいいから身体を動かす習慣を思い出そうと。食事もいきなり厳しいダイエットは無理だとわかっていたので、間食のポテトチップスをお煎餅に変えるなどの、些細な努力からのスタートでした」

「濁り切った水を一滴ずつ入れ替えていくような日々だった」と語るように、非常にゆっくりと、しかし確実に変化は訪れた。志してから2年が経つ頃には、逆立ち腕立て、Lシット、また、その頃に興味をもったパルクールの技を練習するまでに発展し、身体が本来の力を取り戻し、体型も選手時代を彷彿とさせるスマートさに変わっていった。そして、さらに転機が訪れる。

「自分の身体にちょっと自信がついて気が大きくなっていた頃、出会ったとあるトレーナーの方に、『ステージに立ってみないか』、『ステージの上で評価されてこそ本当のマッチョだよ』と発破をかけられたんですね(笑)。それでボディコンテストに出ることになりました」

初めて立ったステージで、辻さんは世界観に魅了された。ほんのわずかな時間のために途方もない努力をしてきた人たちが集い、競い合う世界は強烈な魅力があったという。さらに、大会初出場でグランプリを手にしたことで、ボディメイク熱は加速した。

「本格的にウェイトも取り入れたトレーニングをするようになりました。ただ、それも美的観点からではなく、自身のやりたい器械体操・水泳・短距離・パルクールに必要な筋肉をつけるためです。弱点部位は鍛えるようにしていたものの、あくまでスポーツ能力の向上が目的でした。しかし、逆に機能を追い求めれば追い求めるほど、シンメトリーでバランスのとれた身体になり、美的にも評価が高まりました。無理なバルクアップはしていないにも関わらず、50歳を超えてから毎年1kgずつ筋量が増えています」

現在の筋トレも分割法には特にこだわらず、3日連続で胸の日といったこともあるという。一般的なボディメイク法ではなく、回転力、ジャンプ力、柔軟性、吊り輪を用いた体幹トレーニングなど独自の手法を行い続けている。週3〜4日、身体の疲労や痛みを避け、怪我をせず長く続けていけることが第一の目標だと語った。

「健康美を競う大会である以上、健康習慣や生活を犠牲にしてまで行うのは本末転倒ではないかと個人的には思っています。もちろん勝ちたいという意欲はありますが、自然体の向上心で取り組んでも結果は出せるということ、逆に大会に出場することでさらに健康になるんだという体現としてありたいですね。いくつになってもかっこいい身体であるのはいいことですよ。家族仲もよくなりますしね(笑)」

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取材:にしかわ花 撮影:北岡一浩

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