男性、女性の別なく50代、60代でも積極的にボディコンテストを目指す人が増えている一方、「ヒザ(腰、肩)が痛いから、もう運動なんてムリ!」と尻込みしてしまう同世代も少なくない。今回紹介する大倉久美子さん(62)は、そんな“フィットネス・リタイア”組の人たちの背中を押してくれる存在かもしれない。
リサーチコンサルタントの大倉さんが、仕事のかたわらダイエットを始めたのは今から10年ほど前、50代前半のことだ。
「ジムの(スタジオ)レッスンに通い始めて、すぐに10㎏ほど痩せて“ビフォー”の写真くらいの体型になりました。レッスンばかりで筋トレはほとんどしていなかったのですが、その後、時々筋トレもするようになったら、また5㎏ほど痩せたんです」
ジム通いのスタートから15㎏減。だが、大倉さんの“進化”はここで終わらなかった。転機が訪れたのは一昨年。フィットネスの大会に挑戦し始めた友人の応援に駆けつけるうち、「自分も出てみたい」との気持ちが湧き上がり、インストラクターから本格的なボディメイクの指導を受けるようになったのだ。
「初期にぐっと体重が落ちたのは糖質制限ですが、大会に出ることを決めてからは筋肉も育てたいので、制限ではなくコントロールに留めるよう気をつけて、筋トレとのバランスに注意しながら有酸素運動に取り組むことと、食事の量と回数に気を配ることで、さらに落とすことができました」
厳しいダイエットなどで「年齢的に枯れないように」という点にも気をつけながら、ボディメイクに取りくんだ結果、本格的なトレーニング開始時から、さらに10㎏のシェイプに成功。ダイエットを始めてから合計25㎏の減量に成功した。ビフォー写真が撮影された2015年の頃には28%あった体脂肪率も15~16%になり、スイムスーツとロングドレスで競う「フィットモデル」の大会出場も果たした。
トレーニングを始めてみて「ボディシェイプができて身体のラインが以前より整ったこと、大会に向けて似合うお化粧や髪型を考えることで、外見磨きができたこと、食事に対する注意や睡眠時間の確保などに気を配るようになり日常生活が"綺麗”になったこと」など、さまざまなメリットを実感できているという大倉さん。なかでも身体の不調の改善は、自分の中で最も嬉しい変化のひとつだと語る。
「私は両方の膝がかなり進んだ変形性関節症でしたが、インストラクターの先生から安全な負荷などのご指導をいただいて、安心して筋トレに取り組めたことが、身体を変えられた一番の要因だと思っています。また筋肉がついたことで、お医者さまも驚かれるほど筋トレや日常生活の動作も改善しました」
膝痛の原因や進行度合いは人それぞれで一概には言えないが、大倉さんの場合、ボディメイクとして行った筋トレが、同時に膝痛改善の運動療法にもなったというわけだ。トレーニングは今後も継続していきたいという大倉さんだが、続ける理由は健康維持やボディシェイプだけではないという。
「筋トレには王道がなく、努力あるのみで、かつその努力は成果につながることが面白く、それがトレーニングを続ける理由です。年齢はただの数字と思って、まずは昨日より今日、今日より明日、そして今年より来年、よりよい自分に向かって励んでいくことが目標です」
取材:FITNESS LOVE編集部 写真提供:大倉久美子