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夫に「大きい」と言われた悔しさをバネにボディコンテストで9冠達成!オーダーしたビキニを着て「私はこれだ」と確信

安西真澄選手競技歴わずか7カ月にして、ウーマンズレギンス、ビキニフィットネス、ドリームモデルなどマッスルゲートの様々な競技で優勝を勝ち取り、驚異の9冠(JBBFも含める)を果たした安西真澄(あんざい・ますみ/41)選手。マッスルゲートの審査員であり、ボディビル元世界チャンピオンの鈴木雅氏にも「毎回アップデートされていて、かなりの成長を感じる」と称されるほどの安西選手だが、過去に体格に関して大きなコンプレックスを抱えていた。「劣等感の塊だった」と話す安西選手が競技と出会い、コンプレックスを「強み」に変えられるようになっていった経緯と、現在コンプレックスを抱えている人へ伝えたいこととは。

【写真】筋肉質で大きいことを強みに変えた安西真澄選手の肉体

現在、マッスルゲートのビキニフィットネス競技で、筋肉量の豊富さと完成度の高さを武器に優勝を勝ち取り続けている安西選手。実は、これまではその体格がコンプレックスだったという。

「コンプレックスは挙げたらキリがありませんが、まず、下半身のボリューム、特に脚の太さです。上半身は細いんですが、下半身が太いことがとても嫌でした。初めての劣等感の芽生えは小学生のころで、クラシックバレエを習っていましたが、高学年になると『脚が太いから向いていない』と言われました。その後、中学の制服採寸時に『腰が張っているね』と言われたこともあり、下半身がより一層気になるようになりました。思春期には、雑誌に掲載されている脚やせエクササイズに挑戦しても、逆に脚がパンパンになってしまい、どうしたら良いのかわからず嘆いていましたね」

「また、骨格の大きさと筋肉質な体質で『大きい』とよく言われることもコンプレックスでした。思春期あたりから、周囲の女の子と身体つきが異なり、ガッチリしていることに気が付きました。小学生のころから気にしていた下半身だけはなく、肩も丸く張り出しており、ノースリーブを着ると可憐というよりはカッコイイとか、強そうになってしまうんです。東京カレンダーに載ってそうな儚げな女性になってみたかったんですが……」

そしてある日、大きなショックを受ける出来事があった。

「就職してからは、いつの間にか『大きい人』というキャラクターが定着していました。さらに、ストレスや毎日のように飲み会をしていたので体脂肪が増え、いわゆるガチムチ体型になりました。出産後の授乳で痩せると期待していたのですが……サッパリでしたね。そして、ある日の夫婦喧嘩で『大きい』と言われたことは、大きな打撃でした。言われた瞬間にショックで自室の鍵をかけ丸一日閉じこもりました。自分の体型への深い不満と、変わりたいけどどうしたらいいのか分からない不安のあらわれでした」

そんな中、「ドレスを着る競技」の存在に救われた安西選手。

「競技を始めてからも、私の『大きい』身体の悩みはつきまといます。ドリームモデル初挑戦の8月20日の東京ベイ大会では、試合前日に『筋量が多すぎるからドリームモデルに合わない』という旨のDMをフォロワーさんから受け取り、精神的に大きな打撃を受けました。私は自分の体型がドレスに合わないと思い込んでいて、ウェディングドレスも諦めていたんです。ですので、『競技であれば私でもドレスを着ていいよね?』と胸を弾ませていました。オーダーしたドレスを身につけた際、ボディメイクを頑張ってきた自分への誇りと感謝の気持ちで自然と涙が溢れていました。しかし、そのDMにより精神的ドン底まで落ちてしまいましたが、ここまで頑張ってきた自分のためにも奮い立たせ、ステージでは笑顔でやり遂げ、年齢別では優勝、身長別では準優勝することができました」

「試合後、審査員からは『筋量があるため、JBBFのフィットモデルやビキニに向けた身体づくりをしてみたら?』との助言をいただきました。最初は『やっぱり私は大きいのか』と落ち込みましたが、作り上げた肉体美を評価してもらえるカテゴリーで勝負したいという気持ちが芽生え、10月28日の市川大会ではビキニフィットネスでエントリーしたんです。オーダーしたビキニを着たとき、『私はこれだ』と確信できました。急ピッチでの減量は停滞期もあったり、脚の脂肪がなかなか取れず大変でしたが、ビキニを着てのポージング練習や脚のカットを出す練習は毎日楽しかったです。その勢いもあり、一般の部、マスターズの部で優勝することができました」

安西選手はこの経験を通じて、コンプレックスを「強み」として捉えることができたという。

「筋トレと競技を通じて、私は自分の体型との向き合い方を学び、太い脚、丸い肩、大きな骨格と筋肉質な身体を自分の強みとして受け入れることができました。それは私にとって、大きな自信と成長の証ですね。まず、体型の数値的な変化です。2020年にトレーニングを始めたとき、私の体重は65kg、体脂肪率は33%だったんです。それが、今年の11月には体重が49.8kg、体脂肪率が11.8%にまで絞り切りました。今は50〜52kgを競技においての適正体重としてキープしています」

そんな安西選手が取り組んできたこととは?

「身体の変化は、二人のトレーナーとの出会いから始まりました。夫に『大きい』と言われた悔しさをバネにして、ユウトレさんのYouTubeで提供される3分エクササイズを開始し、そのオンラインサロンでの食事指導とレッスンにより、8カ月で9kgの減量に成功しました。週2〜4回の自重トレと、無理のないカロリーとPFCバランス設定で家族と同じ食事を続けながらの減量が実現できました」

「次に、みすたーだいどーさんの女性専用ジム『Desty』でのトレーニングを通じて、ヒップを103cmから87cm、太ももを63cmから46cmに減少させました。最初の2カ月はリリースとモビライゼーション(※)に集中し、その後自重以下のBIG3(スクワット35kg、ベンチプレス30kg、デッドリフト55kg)に取り組み、正しい身体の使い方を習得しました。下半身が細くなっていく過程は、まるで魔法のようでした」
(※悪い姿勢でズレた骨格を正しく整える整体)

「現在のDestyでは、正しい歩行のためのファンクショナルトレーニング、姿勢改善のための低閾値運動(※)や呼吸トレーニングに焦点を当てています。呼吸トレーニングでは1分間に2呼吸まで減らし、肩や首の緊張を解き、姿勢を整えています。これにより、競技における見栄えやパフォーマンスも向上しました。これらの体験から、体型は遺伝だけではなく、呼吸や身体の使い方の癖も要因の一つであり、その改善で見違えるほど変われることが分かりました」
(※深部頚部屈筋を活性するために使用するエクササイズ)

成長の過程では、身体的だけでなく精神的にも変化を実感するように。

「それによって、心の面でも変化がありました。以前の完璧主義から『50点でもOK、まずはやってみる』という姿勢に変わり、『出来ないことは伸びしろだ』と思えるようになりました。子供にも同じような前向きな声かけができるようになりましたね。また、『認知のゆがみ10パターン』のチェックリストを見つけ、それが心のトレーニングに役立ちました。劣等感や気分の落ち込みを感じたとき、このチェックリストを思い出し気持ちをリセットしています」

そんな安西選手に、現在コンプレックスで悩む人に伝えたいことを聞いた。

「コンプレックスや劣等感は自己成長のバネになり得ます。私は完全には消えていないものの、それらと上手く付き合っています。これは、他人と比べず、自分自身を深く理解する行動をしたからです。そして、努力で改善できる部分と受け入れる部分を区別することができるようになったのも大きいですね。身長や体質、骨そのものの長さは変えられませんが、姿勢や髪質、表情、メイク、ファッションは変えることができます。メイクレッスンを習いに行き、顔の骨格の特徴やパーソナルカラーを知り、自分の肌色と骨格を生かしたメイクを教わりました。髪質改善のサロンでは憧れのサラツヤストレートヘアを手に入れました。『いいじゃん』と思える自分にたくさん出会い、大好きになれました」

「それと、自分を理解する行動に出ることはとても大切だなと思ったことがあります。最近、整体に通い始めたのですが、上半身が細く下半身がしっかりしているのは側弯症(※)が影響していることが分かりました。整体で可動域を広げながら上半身のトレーニングを強化することで全身のバランスが整う見通しが立ったので、この点に関しては気にならなくなりました」
(※背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うこと

12月10日(日)に開催されるゴールドジムJAPAN CUPに出場する安西選手。意気込みを聞いた。

「ドリームモデル、ウーマンズレギンス、ビキニフィットネスで3冠を目指します!今シーズンの出場権利は優勝者に限られており、誰よりも多くステージに上がれるチャンスを得られたのは、家族とだいどートレーナーをはじめとした多くの方々の支援の賜物です。感謝の気持ちを結果でお返ししたいですね」

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取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介、北岡一浩

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