昨年9月に開催された『オールジャパン マスターズ フィットネスチャンピオンシップス』に出場した中村瑞穂（なかむら・みずほ／38）選手。173㎝とスタイル抜群でいて、背中、お尻の筋肉がしっかりと発達してメリハリのある身体の持ち主だ。そんな中村選手は約5年前、トレーニングを始めるきっかけとなった恩師を亡くした経験を持つ。着実に成長を重ねる中村選手が今、天国の恩師に伝えたいこととは。
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トレーニング好きな上司に勧められ、トレーニング開始
「2008年に救急救命士として働き始め、その後2017年に本格的に筋トレを始める運びになりました。始めるきっかけとなったのは消防の元上司の方の存在で、その方はいつもウエイトトレーニング雑誌のアイアンマンや月刊ボディビルディングを読んでいるような方だったのですが、『お前は身長も高くて（173㎝）骨格が大きいからコンテストに出るべきだ』と言われて（笑）。そこからトレーニングを開始しました」
それから中村選手は、半ば強引にジムに入会することになる。
「もともと3歳～18歳まで水泳をやっていて、社会人になってからも続けていました。なので肩幅が広くなっていったんだと思います。『水泳はやめてゴールドジムに入会しろ！』と言われたので、すぐに入会しました（笑）」
「最初は、急に水泳をやめて筋トレを始めたのでなかなか切り替えられなかったのですが、それまで体重83kgとめちゃくちゃ太っていた体型がみるみるうちに変わっていくのを見て、どんどんハマっていきました。やはり成果が目に見えるので、どんどん楽しくなってくるんですよね」
中村選手が考えるトレーニングを継続していくための秘訣とは？
「『自分の小さな変化に気づいてあげること』と、『自分のことを褒めて認めてあげること』だと思います。私のInstagramは、誰かのために発信しているものではなくて、自分の変化に気づくための記録にしているんです。トレーニングが続けられない要因は、自分の変化に気づいてあげられないことだと思うので、自分をよく見てあげることがトレーニングを継続していく上で重要なことだと思います」
その後、2019年に初めてコンテストに出場する。
「トレーニングを始めて2年後に、初めてコンテストに出場しました。そのときはその上司も久々にコンテストに出るということで、私は関東フィットネスオープン、上司は千葉県ボディビル選手権と別々のコンテストでしたが、色々とアドバイスをもらいながら出場した思い出があります」
恩師の突然の訃報と、最後のメッセージ
「私のデビューを見届けてからわずか2カ月後、『（上司が）亡くなった』との報告を受けました。そのときはちょうど私は静岡県のボディビル大会を観に行っていて、ゲストポーザーとして来られていた木澤大祐選手と安井友梨選手の動画を上司に送っていたんです。なかなか既読がつかないのでおかしいと思っていたのですが、脳幹梗塞で急死したと突然の訃報を受けました」
「前日までは、本当に何の予兆もなく、普通の日々を過ごしていたのでビックリしました。ただ、亡くなる前日に突然上司から長文のラインが来たんです。自分が思っていることを全て書き出したかのような長文のラインでした。その内容は、トレーニングやサプリ、食事のアドバイス、競技についてなどが熱く語られていて……。最後に、『ステージに上がるときは、楽しく笑顔で上がるように』と書いてありました。もしかして上司も何かを予期していたのかもしれません」
上司の教えを胸に、全国大会への出場切符を勝ち獲る。
「だから私は、そんなフィットネス大好きの上司の意思を継いでいるので、何があっても競技を辞めるわけにはいかないんです。亡くなった直後に福島オープンに出場したのですが、最初は『無理かな』と思いましたが上司の最後のメッセージが頭をよぎって、決意を固め出場しました。結果は2位でオールジャパンへのクオリファイを獲得することができました」
最後に、中村選手が天国の上司に伝えたいこととは。
「これからもずっと見守っていて欲しいです。トレーニングを始め、競技と出会えたのも上司のおかげですし、最初に基礎を叩き込んでくれたおかげで成長できましたし。『教え通り笑顔でステージを楽しんで、諦めずに頑張るのでずっと見守ってて』と伝えたいです」
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取材：FITNESS LOVE編集部 写真提供：中村瑞穂
