「私は2200kcalが体重が増えも減りもしないカロリーなんです。なので痩せたければこれより少し下げ、増量したければこれより上げればいいんです」。2022年、2023年のオールジャパンビキニフィットネス163㎝超級で女王・安井友梨選手に次ぐ2位を獲得するなど、日本のビキニフィットネスのトップ選手として活躍を続ける廣中れな(ひろなか・れな/33)選手。現在は全国レベルの大会でも上位常連の廣中選手だが、過去には誤った減量法を繰り返したことも。減量失敗の経験から成功までの体験談、そこから導き出すダイエット成功の秘訣を聞いた。
【写真】廣中れな選手が作り上げた丸いヒップと締まったウエスト
何も分からなかった初心者時代
「トレーニングを始めた当初は何も分かっておらず、好きな物ばかり食べていました。月に何回焼肉行っていたかな……(笑)。『痩せるときは痩せるだろう!』と楽観的に考えていました」
「仕事の合間にトレーニングをしていたのですが、重量をどんどん更新していくことがおもしろかったので、とにかく重い重量を扱っていました。そのときは腕がどんどん大きくなっていったので、身体全体が大きくなっていると勘違いして続けていましたね(笑)」
次第に「このままではだめだ」と思うように。
「コンテスト出場を目指し始めて、『これ以上、自己流でやってもだめだな』と思うようになっていったんです。追い込み方も分からなかったですし。そのとき、知り合いのボディビルダーの方が追い込み方やトレーニングフォーム、トレーニングに対する姿勢などを教えて下さり、そこから意識やトレーニングの質が変わっていきました」
減量中は「生理が止まるのは当たり前」という勘違い!?
「コンテスト1年目の減量食は、鶏胸肉やブロッコリー、エビなどカロリーの低いものを中心に、炭水化物も普通に摂って進めていました。とにかく高たんぱくを意識していて、『体重を落とす=食べる量を減らす』と安直に考えていました」
知識も経験もない中での減量。1年目は失敗に終わったという。
「1日1200kcalほどまで落としていました。とにかく食べなければいいと思い込んでいたので、元気も次第になくなるし、ホルモンバランスが崩れて生理も止まっていました。そんな状態で減量していたので、体重は減っていったのですが脂肪ではなく筋肉が落ちていき、きれいな痩せ方はできなかったんですよ」
2年目は「すぐに(体重が)落ちるだろう」とタカをくくり、またもや失敗。
「2年目は1日1400kcalと、少しカロリーを増やして減量しました。ただ大会2カ月前から始めたので焦ってしまい、毎日有酸素を1時間、カロリーもさらに減らして……といった形で、2カ月で7,8㎏落としました。ただ1年目と同じで減量中は元気がなく、生理も止まっていました。もはや『減量したら生理は止まる』とさえ思っていました(笑)」
知り合いからの一言で、疲労が溜まりすぎていたと分かった。
「途中で体重が落ちなくなったときに知り合いに相談すると、『一度有酸素を止めて睡眠をしっかり取って!』と言われ、寝るようにすると体重が落ちていきました。疲労が溜まりすぎていたんですよね」
実験を繰り返し、メンテナンスカロリーを把握
「2年目までの失敗を経て、2年目のシーズン終了後からのオフシーズンは『自分の身体を知る』という作業を始めました。具体的には、1カ月おきに一日の摂取カロリーを変化させ、『このカロリーでは体重が落ち、トレーニングのパフォーマンスも落ちる』『このカロリーでは体重が変わらず、トレーニングパフォーマンスも落ちない』といったデータを集めていきました。その結果、生理も止まることなくしっかり絞ることができました」
「結果、私は2200kcalが体重が増えも減りもしない、いわばメンテナンスカロリーだと分かりました。それさえ分かってしまえば、減量中はそのカロリーより少し低く設定し、増量期はそれより高く設定したらいいだけなので」
自分に合った食材のデータも取っていった。
「また食べる食材もいろいろと実験し、自分に合う食材のデータを取っていきました。合う、合わないの基準は人それぞれだと思いますが、私はトレーニングパフォーマンスが上がるか、下がるかで判断していました」
自分を知ることがダイエット成功のカギ
廣中選手は減量失敗を経験しながら、現在は自分の身体を把握し、減量をスムーズに進めることができている。そんな廣中選手に、ダイエットを成功させる秘訣を教えてもらった。
「自分に合ったカロリーや食材をしっかり把握することがダイエット成功に重要だと思います。今は一日の運動量や基礎代謝量をすぐに調べることができますし、自分がどのくらいのカロリーを取れば体重が増えも減りもしないか、どの食材を食べると調子がいいかを知るといいと思います」
「また、ストレスを溜めないことも同じくらい重要です。私の場合は食事に飽きがこないようにして、たまに馬肉を食べたり、鶏肉ばかりではなく魚を食べたりと、ストレスを溜めない工夫もしています」
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取材:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介 写真提供:廣中れな