5人の子どもたちに大会結果をLINEで報告すると、祝福もあれば、そっけない反応も返ってきた。髙橋ちぐさ(たかはし・ちぐさ/53)さんは、10月18日(日)、東京・武蔵村山市民会館で開催された「APF ALL OUT CHAMPIONSHIPS 2026」のランウェイモデル・イブニングドレス エリートで優勝。夫が経営する理美容室でスタイリストとして働く、4男1女の母だ。
【写真】髙橋ちぐささんの鍛え上げたヒップで魅せるバックポーズ

子どもたち5人の反応は五者五様
長男は25歳、次男は23歳、三男は21歳、四男は大学1年生、長女は高校1年生。生活時間が違い、離れて暮らす子もいるため、今回の大会結果はLINEで報告した。
「長男はスルー。次男は『マジっ、おめでとう』。三男は『ふ〜ん』。四男は『すごいね〜、良かったじゃん』と喜んでくれて、長女は『マジっ、ヤバっ、なんで?』の反応でした」
娘は以前、一度大会を見に来てくれた。「顔が怖すぎっ! お尻が小さい!」という辛口の感想にも、髙橋さんは「しっかり厳しく評価をくれました」と、楽しげに話す。子どもたちは、ようやくできた母の一人時間に、良い趣味が見つかって良かったという様子で応援してくれているという。
次男の同級生が、競技の疑問も調べてくれた
トレーニング歴は11月で3年。近所のジムでフリーウエイトに励む姿を見て、次男の同級生のTさんがママ友を通じて大会出場を勧めてくれた。サポートの申し出もあり、「そこまで言ってくれるなら」と2025年6月15日(日)、横浜の「APF VEATM CUP 2025」でデビューした。
Tさんはメンズフィジークの選手。大会前のトレーニングメニューや、どの程度まで身体を絞るかを相談すると、髙橋さんの出場カテゴリーについても調べて助言してくれた。当日はパンプアップのための用具を持参して出番前のトレーニングを手伝い、舞台裏でポージングを確認。ステージの動画も撮影してくれたという。この初出場の大会で、髙橋さんはウィメンズフィットウェアモデル エリートで3位に入った。
「今では大人の部活のようになっているわけです(笑)」
夫は家事を、スタッフは忙しい日の理美容室を
今年は足の骨折や義父と愛犬との相次ぐ別れ、体調不良が重なり、思うようにトレーニングができなかった。そんな中でも挑戦できる背景には、周囲の具体的な支えがある。
大会の日は夫が洗濯や家族の食事を担ってくれる。日本拳法部に所属する四男と長女とは、3人でともに頑張ろうと盛り上がる。一方、理美容室にとって土日は忙しい日だ。メインスタイリストの髙橋さんが大会で休む間、スタッフが店を切り盛りしてくれる。
「人が少ない中、前日には『大会頑張ってくださいね』と皆が声をかけてくれる。感謝しかありません」
次男の同級生には競技を教わり、娘からはステージへの辛口の評価をもらう。日本拳法部の四男と長女とは、ともに頑張る仲間でもある。髙橋さんが楽しむ「大人の部活」には、子どもの世代から教わったり、同じ目線で励まし合ったりする面白さもあるように感じた。五者五様の反応を楽しげに話す姿からは、母自身の挑戦が、子どもたちと話を交わす新たな題材にもなっていることがうかがえる。
■ワンポイント用語
APF(エーピーエフ):Asia Physique Federationの略。フィジークやモデル系の部門などを設けたボディコンテストを開催する団体。
ランウェイモデル・イブニングドレス:イブニングドレスとヒールを着用し、適度に引き締まった身体のライン、ウォーキング、衣装やアクセサリーを含むステージでの表現などを総合的に評価する部門。
エリート:APFの一部の部門に設けられた年齢別クラス。ランウェイモデル・イブニングドレスでは満50歳以上、2025年のウィメンズフィットウェアモデルでは40歳以上が対象。
パンプアップ:筋力トレーニングなどによって筋肉が一時的に張り、大きく見える状態。ボディコンテストでは、ステージに立つ前にこの状態をつくるための運動を指して使うこともある。
APFのアンチ・ドーピングについて
APFは、競技の公正性と選手の健康保護を目的とするアンチ・ドーピング方針を公表している。公式案内では、競技会での検査や、違反者への出場停止等の措置について説明している。
取材・文:久米大郎 撮影:高坂裕希
数学書の編集者、フィットネスライター。都内の出版社に勤務する傍ら、自らもボディビル競技に取り組む。2024年マッスルゲート埼玉大会ボディビル65kg以下級3位、2025年東京ノービスボディビル選手権大会男子ボディビル55kg以下級2位。筋トレ情報サイト「FITNESS LOVE」では、競技者としての経験と編集者の視点を生かし、選手の挑戦や身体づくりの工夫を伝えている。徳島県徳島市出身、神奈川県大和市在住。










