「『ママ、頑張って』と、いつも背中を押してくれる子どもたちに応えられる結果が出せて嬉しかったです」
そう語るのは、ボディコンテスト『ベストボディ・ジャパン』で活躍するれおなさん(25)だ。キャバクラで働きながら2児を育てるシングルマザーが、過酷な過去を乗り越えて輝くステージに立つまでの軌跡を追った。
【写真】美麗!れおなさんのお仕事風景からステージショットまで
壮絶な過食嘔吐との闘い
れおなさんの人生は、決して平坦ではなかった。18歳のころから摂食障害に悩まされ、ひどいときは1日6回もトイレに駆け込む生活を送っていた。
「食べても出しきれなくて、標準よりふくよかでした。体重が増えるたびに自己嫌悪に陥りました。健康的な身体への憧れは強く、心のどこかで変わりたいと願い続けていました」
転機が訪れたのは、2人目の子どもを出産した後だ。ある日、吐いている姿を子どもに見られてしまった。
「背中をさすってくれる小さな手を感じて、泣きそうになりました。こんな弱い自分でいいわけがない、子どものために強くならなければと思いました」
その決意が、れおなさんを摂食障害から救った。れおなさんは生活を一変。スムージーやヨーグルト、おかゆなど腸に優しいものをセレクトし、まずは消化器官の安定・回復に努めた。本格的に消化機能を学ぶために腸活アドバイザーの資格も取得した。同時にトレーニングも開始。週3~4日。最初はパーソナルトレーナーに基礎を学び、今では自分でプログラムを組んで鍛えている。
「15年間続けた剣道のおかげで、姿勢の正しさや体幹には自信があります。スポーツが大好きなので、トレーニングは苦じゃありません。むしろ楽しいです」
過密スケジュール乗り越えコンテストに込める想い
キャバクラ勤務と子育て、ボディメイクの両立は容易ではない。特に睡眠時間の確保が至難だ。
「仕事が終わるのが午前2時で、7時には保育園の送りがあるため、まとまって寝られるのは4時間です。昼間にどうにか2時間くらい仮眠を取って体調を保っています」
それでも、れおなさんは諦めない。
「自分の頑張る姿を子どもたち2人に形として伝えたいからです。2人が今後の人生のなかで色んな挫折という壁に当たっても、ママがこうやって乗り越えたから大丈夫という姿を見せることで、子どもたちにも何事にも芯のある挑戦をして欲しい。だから私はステージに上がり続けます」
コンテストの舞台は、れおなさんにとって自分を証明する場であり、家族への感謝を形にする場所でもある。そして、同じ境遇に悩む人々にも伝えたいことがあるという。
「ふとしたことがきっかけで発症した6年間の摂食障害は、何もかもが敵で、自分が自分じゃなくなる病気でした。私は自分と向き合い、自分を許し、愛せるようになって克服しました。摂食障害は克服できます。今、苦しんでいる人たちも健康に戻れるって信じてほしいです」
れおなさんの次の目標は、さらに多くの人に希望を届けることだ。その一歩は、すでに踏み出されている。
次ページ:美麗!れおなさんのお仕事風景からステージショットまで
取材:にしかわ花 写真提供:れおな
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。