「特別な人でなく、ごく普通の会社員でも努力すれば輝けるということを証明したいと思い、日本一を目指しています」
そう力強く語るのは、ベストボディ・ジャパンで成績急上昇中の強力萌(ごうりき・もえ/32)さん。昨年デビューしたばかりながら大阪大会で優勝、関西大会でも4位に輝き、全国大会への切符を手に入れた。彼女の目標は、年齢を重ねても輝く女性として、自分を変える努力が誰にでもできると示すことだ。
きっかけは30歳の節目だった。強力さんはそれまで、「フードファイター並み」と自負するほどの食事を楽しんでいた。
「週の半分は家系ラーメンを食べ、替え玉や追いご飯は当たり前、ときには焼肉からラーメンにハシゴすることもありました。食べても太らない体質を自慢に思っていたけど、洋服を脱ぐとわかるメリハリのない体型でした。『痩せていることと、きれいであることは違う』と気づき、30歳からはきっと努力している人としていない人で差がついてくると思いボディメイクを決意しました」
強力さんにそう思わせたのはベストボディ・ジャパンの舞台で活躍する女性たちだった。年齢を感じさせない、逆行するような美しさを放つ選手たちを見て、「自分もそうなりたい」と生活を一変させた。
トレーニング頻度は、最低週5日。週に一度は和歌山県から大阪まで遠征してパーソナルトレーニングで学び、4日は自主トレに励む。「仕事帰りにジムに行くのが当たり前」と習慣化するのが通い続けるコツだという。特に意識したのは下半身の幅を活かし、肩の丸みとくびれで砂時計のようなボディラインを作ることだ。
「最初は肩幅って小さいほど華奢に見えて良いと思っていました。でもボディメイクはバランスを整えることだと思い、肩トレをして肩幅をつけたほうがアウトラインがきれいなメリハリボディになると気づきました」
食事管理も大きく変わった。成分表を読む習慣を始め、1食30gのたんぱく質を確保しつつ脂質を抑えるシンプルなルールを設定。血糖値対策に食前にソイプロテインを飲む工夫も取り入れた。そのなかでも、最も大きく意識していることとは。
「『ボディメイクはダメなものばかりで楽しくなさそう』というイメージを変えたくて、あれもこれも禁止じゃなく、自分が許せる範囲で食事を楽しんでます。ボディメイクって楽しいんだよって皆に知ってほしいんです」
最近はクラシックバレエも始め、体軸の引き上げや表現力向上にも挑戦中だ。
「何者でもない私が日本一になれば、ボディメイクは敷居が高いものじゃないって伝えられる。だから絶対に日本一を目指します」
強力さんの挑戦は、自分を変えたいと願うすべての人へのエールでもある。
取材:にしかわ花 撮影:強力萌
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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