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62歳と思えない元気な身体で日本大会TOP10 最愛の夫や母との別れを乗り越える

11月23日に開催された『ベストボディ・ジャパン日本大会2025』。ミス・モデル部門プラチナクラスで岡田幸恵(おかだ・ゆきえ/62)さんがTOP10入りを果たした。脊柱管狭窄症の手術で背中にボルトが入る大怪我と、最愛の夫や母との別れ。度重なる試練に見舞われながらも「泣いて過ごすより笑って生きたい」と前を向き、5年目の挑戦で初の決勝進出を成し遂げた。

【写真】岡田幸恵さんの62歳とは思えない元気な身体

岡田幸恵さん

「人生が終わった」と思った手術からの挑戦

岡田さんが身体を動かし始めたきっかけは、13年前に受けた脊柱管狭窄症の手術だった。骨と骨の間の軟骨がすり減り、神経が圧迫されることで足に激しい痺れや痛みが生じていた。手術で背中にボルトを入れることになり、「もう人生が終わった」と絶望したという。しかし医師からは「自分の腹筋で支えないと、悪化する一方だ」と告げられる。

術後は自己流でトレーニングを続けていたが、体調を崩してしまった。そこで正しい方法を学ぶべく、5年前にパーソナルジムに通い始める。通い続ける中で大会への出場を勧められ、ボディコンテストを目指すことに。本格的なトレーニングが始まった。

夫の死を経てたどり着いた週5回のトレーニング

トレーニングを始めた時期は、夫を癌で亡くした時期とも重なる。身体の自由が利かない苦しみと、最愛のパートナーを失った喪失感。「生きるとはどういうことだろう」と自問自答する日々が続いた。悲しみに暮れる選択肢もあったが、岡田さんは顔を上げることを選ぶ。

「泣いて過ごすより笑って生きたい。もっと彼ができなかったことを自分でして、これからの人生を楽しく生きたい」

夫の分まで人生を全うしようという決意が、トレーニングに向かうエネルギーとなった。60代での身体づくりは筋力強化だけでは足りないと考え、バランス感覚を養うためにピラティスやホットヨガも取り入れる。週1回のパーソナルトレーニングに加え、ピラティスとホットヨガを各週2回。さらに100kmウォークのイベントにも参加するなど、週5回以上身体を動かすハードなルーティンをこなし、低糖・低脂肪・高タンパク質の食事管理も徹底した。

母との別れを乗り越え、出場5年目で掴んだ初の日本大会TOP10

大会出場5年目を迎えた今年、岡田さんは最愛の母との別れを経験する。いつも自分を支えてくれた母がいなくなり、さらに仕事の繁忙期も重なり、一時は心が折れそうになったという。そんな自分を奮い立たせたのは、亡き母への感謝と有言実行の精神だった。「母に心配をかけたくない、決めたことはやり遂げたい」という一心でトレーニングを継続。過去4年間は予選通過も叶わなかったが、ついに決勝進出を果たしTOP10入りと結果を残した。

「4年間一度も予選通過しなかったので、決勝に残れてすごくうれしい。夫と母には『頑張ってるよ、ありがとう』と伝えたい」

岡田さんは、苦難を乗り越えた笑顔で喜びを噛み締めた。62歳で掴んだ栄光はゴールではない。「65歳までに、次にどう生きていくかを探したい」と語る岡田さん。年齢やハンディキャップを言い訳にせず、人生を楽しみ尽くす挑戦はこれからも続いていく。

執筆者:高木みなこ
フリーランスライター。管理栄養士の経験を活かし、医療・美容・ヘルスケア分野を中心に、インタビュー記事・セールスライティングを執筆している。滋賀県出身、東京都在住。

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取材・文:高木みなこ 撮影:高坂裕希

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