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究極のビッグ3完全解説 ベンチプレスにとって大切なブリッジ 伝説のパワーリフターが解説

ベンチプレスにとって大切なブリッジ。そもそも、このブリッジは何のために作るのでしょうか? パワーリフティング界のレジェンド、三土手大介が解説するビッグ3の基本講座。第3回目となる今回は、「ブリッジ」を根底の部分から紐解きます。

<本記事の内容>
ベンチプレスのブリッジは何のために作るの?
ブリッジの意識を4パターンに分けて解説
まとめとして

■ベンチプレスのブリッジは何のために作るの?

可動範囲を狭くする、だけなのか?

みなさん、ベンチプレスのブリッジは何のために作るか分かりますか? 一般的にはブリッジを作ることによって身体とシャフトの間の可動範囲を狭くし、効率よく重たいものを挙げるという考えだと思います。もちろんそれも一つの正解であると思いますが、もっと大事な意味があります。

ベンチプレスは腕を曲げて伸ばす動作が入ってきます。なので、ブリッジを適切に作ることによって、この「腕を曲げて伸ばす」という腕の通り道ができるのです。電車で例えるとレールですね。ブリッジを正しく作ることによって、「腕の通り道」というレールがきちっとできあがるのです。ブリッジが上手くできておらず適当な形でベンチプレスをすると、「腕の通り道」ができていないので、腕でバランスを取りながら挙げなけなければいけない状態になります。初心者がベンチプレスを始めると、動作の最中でかなりグラグラすると思いますが、それは適切なブリッジができておらず「腕の通り道」がない状態なのです。

適切なブリッジができて「腕の通り道」がしっかりとできると、バランスはあまり考えなくてもレールがあり、そのレールに沿って上げ下げするのでスムーズな動作が可能になります。この考えが、ブリッジを作るための一番大事な要素だと思います。

なぜ人によって形が違うのか

正しくブリッジを作れば上半身の肩や肩甲骨、首回りや頭も安定します。それらが安定するということは、例えばスクワットでいえば足元がしっかりと安定するということです。足元がツルツル滑るような場所でスクワットはやりづらいですよね。

適切なブリッジができると上半身の土台がバシッと決まり、身体も安定し、腕を曲げたり伸ばしたりする通り道ができて、スムーズに動かせるようになります。そのような理由からブリッジ自体は単純に可動範囲を狭くするだけとは思わずに、「腕の通り道を作る」と思っていただければブリッジを作る意味が分かると思います。

そんなブリッジですが、人によって見た目の形が全然違いますよね? そして、ブリッジの作り方について言っていることも人によって違います。当然、人によってタイプが違うのでいろいろな意識があるわけですが、基本的には「自分にとって一番動きやすいブリッジ」、そして「スムーズな動作を意識しやすいブリッジ」というところを見極めてほしいです。

■ブリッジの意識を4パターンに分けて解説

そうはいっても「何が正しいの?」と思う人も多いはずです。では、それを見極めるパターンを4つに分類して詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

意識パターン①
「身体の折れ目をどこにするか?」

まずブリッジの意識で一つ目に大切なのは「身体の折れ目をどこにするか?」ということです。一見同じようにブリッジを作っているようでも、実は身体の折れ目が違うし、意識する場所が違うのです。ただ、それは意識してやっている場合もあれば、勝手にそうなっている場合もあります。
身体の折れ目の違いとしては「みぞおち」と「股関節&肩周り」に分かれます。みぞおち部分で折れるブリッジについて、そもそもみぞおちの場所は胸椎の12番と腰椎の1番の境目あたりのことです。そこを中心にして折れ目を作ってブリッジを作るタイプがあります。
これとは違うタイプとして、股関節もしくは肩周りを中心として折れ目を作るタイプもいます。股関節の前の部分である鼠径部や股関節の後ろ側、または腰の付け根という部分を折れ目にするタイプです。このタイプは股関節と同時に肩周りをあまり固めることなく、柔らかく収める感覚も同時に持つ場合があります。このような形でブリッジを作る折れ目がそれぞれ違うというのが一つ目に大切なことです。

みぞおちで折れ目

股関節と肩で折れ目

意識パターン②
「身体のどこをベンチ台に密着させるか」

次にブリッジの上半身部分における安定の要として、肩周り、首周りをどのように密着させるかの違いがあります。一般的には肩や首の付け根をベンチプレス台にググッと押し付けるようにして安定させ、そこを密着して上半身の安定を作ることが多いと思います。

首の付け根を安定

ところが、実はもう一つタイプがあるのです。首筋や頭の付け根をしっかりと密着させるようにして安定させる人もいるのです。ですから先ほど紹介したみなさんが一般的に行っているような形よりも、少し安定させる場所が上方向にずれてきます。

頭の付け根を安定

ここに意識を変えるだけでも人によってはものすごくブリッジが作りやすくなり、動作も安定するパターンがあります。もし今まで首の付け根意識でやっていた人がいたら、少し上の首筋や頭の付け根を密着させる意識に変えてみるといいかもしれません。

意識パターン③
「身体のどちら側を意識するか?」

次に「身体のどちら側を意識するか?」について解説します。単純に身体の中心でブリッジを作るのではなくて、身体の前側のお腹側、胸がせり出るような意識をする人と、逆に身体の背面側のせり出しでブリッジを作る人に分かれます。
お腹側の意識でブリッジを作るタイプの人は、実際に筋肉は自分の力では伸びていないですが、お腹側を伸展させるイメージで伸ばしてあげて、身体の前側を意識してブリッジを作るとより安定して高いブリッジを作りやすくなります。
逆に背中側の収縮や背中側をしぼり上げる感覚でブリッジを作るとより安定して高いブリッジを作りやすいタイプの人もいます。この意識の違いも非常に大切なので、試してみてください。

身体の前側意識

身体の背面を意識

意識パターン④
「足を引くのか? 引かないのか?」

最後に紹介する意識パターンとしては、足の位置です。ここではブリッジを作る際に「足を引くのか? 引かないのか?」というところにフォーカスして解説していきます。  一般的には、膝の真下くらいの位置に足やつま先がくるような感じで踏ん張る人が比較的多いかと思います。

足真っ直ぐ

ただ、人によっては少し足を前に投げ出すような形や、さらに足幅も広めにとる人もいます。

前に投げ出すタイプ

逆に足を後ろに引くタイプの人もいます。この後ろにぐっと足を引くタイプの人はどうしてもかかとが浮きやすくなってしまうので、そういう人はかかとの高いリフティングシューズを好んで履く傾向にあります。

かかと引くタイプ

これには、どこに足を持ってくるかという正解はありません。当然、人それぞれの柔軟性や身長によっても変わってきます。真下を中心として少し前に投げ出す人もいれば、少し後ろに引く人もいます。

ここで大切な意識としては、どの足の位置でも足裏全体が床に対して常に密着し続けられる場所にするということです。動作の最中にグラグラせずに、常に密着して踏み続けることのできる場所、そして、身体が固まらない位置というのも大切です。

「足を踏ん張る意識」と単純に「足で身体をロックしてしまう意識」が混同している人が多いです。身体が固まらずに少し余白がある位置にしてあげることも大切な要素です。

■まとめとして

以上、4つのパターンに分けて意識を解説してきましたが、一言にブリッジと言ってもいろいろな折れ目があったり、いろいろな密着部分があったり、身体のどちらを意識するのか? 足はどうするのか?といったことがかなり複雑に絡み合い、自分にとって最適なブリッジができてきます。

これは先ほども述べたように身長や柔軟性によっても変わってきますが、身長は成人になると変わらないかもしれませんが、柔軟性が向上していくと微妙にブリッジの形は変わってきます。

ただ、自分の自覚ではさほど柔軟性が向上していなくても、ブリッジの作り方が上手くなってくると、ブリッジはどんどん高くなっていったりします。トップベンチプレッサーで非常に高くブリッジができる人でも、身体が極端に柔らかいわけではない人もいます。そのような人は、上手く身体を使って高いブリッジを作っているのです。このパターンがあるので一概に柔軟性を無視して良いというわけではないですが、身体を固めすぎずに上手くブリッジを作るということも一つのポイントです。ただ、やはり柔軟性は大事なので向上させる努力はしてください。

そして、冒頭にも解説したようにブリッジは自分の「腕の通り道」を作るものですので、腕の通り道がうまくできていないブリッジはダメということです。ブリッジを作った時にスムーズに腕が下りて上がってくる形を目指してください。シャフトが胸まで楽に押してきて、フィニッシュではしっかりと肘が伸ばせるレールを作るのです。そのようなスムーズな動きを出せる中で、今の自分にとって一番しっくりくる高いブリッジというものを追求していけばいいのではないかと思います。

 

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みどて·だいすけ
1972年8月26日生まれ 神奈川県横浜市出身。NoLimits 代表·レッシュマスター級トレーナー。一般社団法人レッシュ·プロジェクト理事。スクワットで日本人初の400㎏オーバー、ベンチプレス日本人初の300㎏オーバー、トータル日本人初の1t オーバーなどパワーリフティングで数々の記録を樹立。世界パワーリフティング·世界ベンチプレス·ワールドゲームズ·アーノルドスポーツフェスティバルPRO BENCH と4つの世界タイトル獲得。ベスト記録はスクワット435㎏、ベンチプレス360㎏、デッドリフト320㎏、トータル1060㎏。

構成:藤本かずまさ 写真提供:三土手大介 サムネイル写真:Shutterstock




佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手

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