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バキバキの腹筋やサラブレッドのような下半身で活躍するダンシーあずさ 「ビキニを続ける情熱が湧かなかった」2023年の苦悩と葛藤

ダンシ―あずさ選手2023 年のオールジャパンで階級5連覇という華々しい結果を残したダンシーあずさ選手(だんしー・あずさ/34)。だがその裏では、とてつもないプレッシャーやメンタルの不調を抱えていた。その結果、2023年の世界選手権後には「ビキニに情熱を感じられない」と思うまで燃え尽きてしまった。その状態のダンシー選手を突き動かしたものとは一体? 昨年の苦悩と、悩み抜いた先に見えた身体作りとの“ 向き合い方” に迫った。

【写真】ダンシーあずさ選手の「球体のような」ヒップ

[初出:月刊ボディビルディング2024年9月号]

コンディショニングに苦戦 葛藤の狭間にいた昨シーズン

――まずは、昨シーズンの振り返りをしていきたいと思います。

ダンシー 初戦のオールジャパンは、絶対に勝たなければいけない大会である一方で、シーズンのはじめの一歩。ベストを尽くして楽しめばOKと立ち続けてきたのですが、昨シーズンは減量に苦戦してメンタルも含めたコンディショニングがかなりキツかったです。毎日3時間の有酸素運動をプラスしてギリギリどうにか仕上げた感じでした。結果は優勝できましたが、100%の仕上がりではなかったので、不甲斐ない気持ちが残りました。いち選手としての未熟さを痛感した大会でしたね。

――その後、グランドチャンピオンシップスに出場しました。

ダンシー いつも通りのコンディションにもっていけたので、オールジャパンでの不甲斐なさを解消できたように思います。グラチャンは、過去大会すべて2位に終わっています。悔しいですけど、自分のなかでは、もうそこまでの引っかかりはないというか。自分に対する評価には満足しているし、収穫もありましたし、選手としての経験がしっかりと積めた大会になりました。

――そして、アーノルドクラシック出場と続きました。

ダンシー 大会が続き、身体がだいぶ疲れていました(苦笑)。そして私のカテゴリにヨーロッパの各国チャンピオンが集結していたこともあり、目標の決勝進出は叶いませんでした。でも、逆に今の世界標準を身をもって知ることができましたし、自分が改善しなければならない箇所も明確になったので、いいステップになった大会だと感じています。

――最後に、世界選手権です。

ダンシー 今の自分では世界と闘えないというのがよくわかりましたし、アーノルドと同国開催でメンバーもほぼ同じ。帰国10日後にまた出発、というスケジュールだったので、実は出場自体を悩みました。でも、勝てないのはわかっていても出場してこそわかることがあるはずですし、世界の逆風にさらされることがきっといい経験になるだろうと。はじめに掲げた目標として世界選手権まで出場するというのもあったので、やっぱり出ることにした感じです。結果は自分のなかでは最も低い13位でしたが、まあ、うん、出てよかったと思っています。

――お話をうかがうと、全体的に少々苦しさを感じながらのシーズンだった、という印象があります。

ダンシー ビキニフィットネスという競技を楽しめていなかったなと感じます。義務感というか、みんなが期待をしてくれているから応えなければいけない、と。そう感じるのは競技を始めてから初めてでした。なので、世界選手権が終わったときは解放されてホッとしたと思う気持ちが大きかったんですよね。

――ユーチューブの発信では、世界選手権後に燃え尽き症候群のようになったと。

ダンシー 昨年は離婚をはじめ私生活における環境の変化がいろいろありました。そのなかで今まで通りの競技生活を送ることが大変な部分があったり、精神的にくるものもあったり。世界選手権を終えたタイミングで、これからの自分の人生について改めて考えたとき、ビキニ競技を続けることにそこまでの情熱が湧いてこなかったんですよね。

――その後、お気持ちの部分はどのように変化したのでしょうか。

ダンシー 「大会に出なければ」「結果を出さないと」という気持ちを一旦捨てないと、もう一度競技を楽しむことはできないと感じました。同時に、SNSを通じて応援してくださる方が増えているのが本当にありがたく、私としても皆さんにフィットネスやボディメイクの魅力をお伝えする時間がどんどん大切になっているんです。そこから、私自身が心からフィットネスを楽しむことで豊かな人生を歩んでいる姿をお見せしたいと考えるようになりました。 理想の身体になるためのトレーニングや食生活、ボディメイクはこれからも続けますが、発信の方向として「競技力」とか「勝利に向けて」よりも、応援してくださる皆さんにモチベーションや勇気、いい影響を与えられるようなものをお届けしたいなと。

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取材:鈴木彩乃 撮影:中島康介

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佐藤奈々子選手
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