「昔は細いのが正義だと思っていました」。そう話す山本栞(やまもと・しおり/32)さん。『JBBF中四国ビキニフィットネス選手権大会』ではピンク色のビキニに身を包んで愛らしいステージングを披露し、4位入賞を収めた。
栞さんは2019年に地元・徳島県で初めて24時間ジムができたことをきっかけに入会。当初はマシンを使って、脚やお腹周りを中心にトレーニングしていた。「痩せたい部位ばかりをしていて、胸や肩などは鍛える意味を見出せていなかった」と話す栞さん。通っていたジムでご主人となる颯さんと出会い、競技に挑戦する彼を側で見て「自分にも目標があった方がボディメイクをする意味がある」と思い始めたのだそう。
2022年、颯さんが初めてオールジャパン選手権へ出場したのをきっかけに栞さんも応援へ。そこで初めて見るJBBFのビキニフィットネスの選手たちに心を奪われた。「女性は細い方がいいと思っていたんですが、ダンシーあずささんや安井友梨さんを見て、身体の曲線美と華やかな雰囲気に魅了されました。私もこの身体になってみたい。そう思ってボディメイクに向き合うようになったんです」
パートナーの競技挑戦とトップ選手を間近で見た経験から本格的なボディメイクの道へ。女性選手が初心者トレーニー用に発信していたYouTubeやインスタグラムなどのSNSを参考にしたり、颯さんを通してフィジーク選手の筋トレを教わったり。肩やお尻、背中もトレーニング部位に加わり、しっかり重量を追いながら、できる種目を増やしていった。
見た目の変化が現れたのは半年ほど経ってからのこと。「運動音痴なので、なかなか感覚が掴めなくて。お尻に筋肉がついてヒップアップした!と分かるようになるまでに時間がかかりました(笑)」。それでもトレーニングを続けられたのは、種目を覚え、扱える重量が伸びていく成長を感じられたから。
初めてJBBFのステージに立った昨年から、最も育ったのはお尻と肩だそうで「自分で見てもデカくなったと嬉しく思います」と声を弾ませる。筋肉の発達には適切な刺激が必要。その刺激が入る感覚を養うためにも、効かせたい部位は特に意識を集中させながら栞さんはトレーニングに取り組むそうだ。
「例えば、お尻の発達させたい部位を触りながらアブダクションしますし、肩でサイドレイズするときは片手ずつ行います。空いている方の手で肩の筋肉を触って、ここに入っているかな?と意識を向けていくんです。今、特に課題だと思っているのは背中。週に2回、背中トレがくるように設定していて、重量を求める日と丁寧にする日に分けています」
2年前、魅了されたビキニ選手のスタイルに憧れた栞さん。彼女の身体も、自身の“なりたい身体”に一歩ずつ近づいていることだろう。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
文・撮影:小笠拡子