目指す山が高いほど、人は成長するものだ。「世界選手権が東京で開催される情報を見た瞬間、絶対に出たい! 出るしかない!と思いました」と話すのは、ボディフィットネス界のトップ選手である板谷成美(いたや・なるみ/36)選手。
世界選手権とはIFBB(国際ボディビルディング&フィットネス連盟)が主催する『世界女子選手権&男子ワールドカップ』だ。昨年の11月末、この世界選手権が東京で開催されることをJBBF(日本ボディビル&フィットネス連盟)が公式HPで発表。
世界への出場資格(クオリファイ)を手に入れるためには『JBBFオールジャパン フィットネス チャンピオンシップス』の年齢・身長別の「マスターズ」、身長別の「一般」で2位までに入らなければならない。板谷選手はこの世界選手権の出場を目標にしていた。
9月28日(土)に岡山県で『JBBFオールジャパン マスターズ フィットネス チャンピオンシップス』(以下、マスターズ)が、29日には同県で『JBBFオールジャパンフィットネス チャンピオンシップス』(以下、オールジャパン)を開催。板谷選手は両日ともに出場し、35歳以上45歳未満160cm以下級で2位、158cm以下級で2位という好成績を収めた。
オールジャパンでは昨年度より順位を上げたことに嬉しさを感じつつも、「やはり優勝したかった」と本音を漏らす。この階級に君臨していた大谷美咲選手が、今年からウェルネスに転向したためポストは空いていた。チャンスではあったものの、『ジャパンオープン』から負けなしの佐々木絢美選手の壁は厚かった。
「率直に悔しい気持ちはありますが、脚の細かな作り込みが必要だと改善ポイントも明確になってきました。昨年からは全体のバルクアップを図っていて、特に脚は種目数を増やして、気合いで乗り越えてきました。ただ、今後は細かな筋肉の部位も意識しながらトレーニングをするなど、やり方を変える必要もありそうです」
今年は優勝こそ逃したものの、板谷選手の身体は確実にバルクアップしている。その要因を板谷選手は「トレーニング環境の変化」だと分析。所属ジムである「MAX GYM」と並行して通っていたジムを24時間ジムからゴールドジムに変えたのだという。
板谷選手は「MAX GYM」で定期的にパーソナルを受けていたが、24時間ジムには教わったことを再現できるマシンや設備がなかった。ゴールドジムに変えてからは習った種目の復習ができるようになり、今まで以上に背中と脚のトレーニングをやり込むことができたという。
世界への挑戦を早い段階から意識し、筋肉にとって良い環境に身を置いたことがひとまわりサイズアップした秘密なのだろう。いよいよ10月6日に行われる『グランドチャンピオンシップス』まで秒読み。板谷選手の目線はその先まで見据えている。
「国内最後のJBBF主催大会で、かなりハイレベルだと分かってはいますが、やっぱり優勝したいです。そして目標にしていた世界選手権へ気持ちよく進みたいですね」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:小笠拡子 撮影:中島康介
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