喜びのあまりか、発表直後は半ば放心状態で立ち尽くすような場面も見られた。
「去年は2位だったので、念願の優勝ができてうれしいです。お母さんありがとう!」
優勝インタビューで家族への感謝を叫んだのは現役学生(専門学校一年生)の門脇玄汰(かどわき・げんた/19)さん。まだ19歳とは思えないバルクと絞り込みに、会場からは驚きの声が上がった。
10月19日(土)、新興ボディビル大会ジュラシックカップ2024が東京都・ひの煉瓦ホールで開催された。『ジュラシックカップ』はトップボディビルダー木澤大祐選手と合戸孝二選手の共同主催、エンターテイメント性と競技性の両立を特徴とする。
また、JBBF(ジャパンボディビル・フィットネス連盟)のアンチドーピング規約に基づく公平で健全な運営、賞金による競技者の生活向上を掲げ、開催に向けてのクラウドファンディングで1300万円を獲得するなどボディビルの人気を底上げする大会として注目を浴びている。
門脇さんは本大会のルーキークラス(20歳以下、生年月日2004年4月2日以降)で1位を獲得、賞金30万円を手にした。
「中学校の陸上部の長距離をしていて、それがキツくて、さらに強くなりたいこともあって総合格闘技のジムに通い始めました。そこで会員の人に『腕立てをやったら強くなるよ』と言われ、そこでトレーニングの楽しさを知り、それから総合格闘技のジムはすぐ辞めてトレーニングにのめり込んでいきました」
トレーニング歴4年半、ジュラシックカップの他にも大会の出場をすでに2度経験し、30万円の使い途のインタビューに対して、「まずはたくさんご飯を食べてもっと大きくなりたい」と答えるボディビルの優等生ぶりを見せた。また、優勝の特典として大会最高位のカテゴリー、グランドクラスに出場。最高峰の舞台で活躍するボディビルダー陣と肩を並べた。
「隣にトップ選手がいたりして、とても貴重な体験ができてとてもうれしかった反面、自分の足りないところが浮き彫りになりこれからの成長につながりそうです!今後も理想の身体を目指し楽しくボディビルディングしていきます」
若手の台頭による世代交代の風が吹き、ボディビル界は今、新しく生まれ変わろうとしている。そこに加わった門脇選手の、今後の躍進が期待される。
取材:にしかわ花 撮影:中島康介
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。