7月21日(月・祝)、東京・かつしかシンフォニーヒルズで『第60回東京ボディビル選手権』が開催された。この大会はボディビル、女子フィジーク、メンズフィジーク、ビキニフィットネス、フィットモデルの5カテゴリーが行われ、それぞれで東京一を決めるハイレベルな戦いである。
そんな中、ビキニフィットネス35歳以下級を制したのは吉永萌(よしなが・もえ/32)選手。予選から歓声の大きさが際立ち、華やかなステージングで会場を魅了。2位と1点差という接戦を制し、見事ビキニフィットネス東京1位を勝ち獲った。
「優勝って聞いて“嘘でしょ?”と思いました。ファーストコールではセンターに立てましたが、優勝できるとは全く思ってもいなかったので」
だがその控えめな言葉の裏には、しっかりとした努力があった。今季、吉永選手が最も大きく変えたのは「食事」だという。
「去年は食べない減量をしていて、筋量をかなり落としてしまったと感じています。今年は“食べて絞る”ことを徹底しました。お米を中心に炭水化物をしっかり取って、元気なまま筋肉を残す減量を心がけました」
吉永選手は昨年、オートミールや芋などカロリーの低い炭水化物が中心で、お米はあまり食べていなかったという。
「昨年と今年では全然違いました。やっぱりお米は力が出ます。張りも残るし、減量がつらくないんです」
近年、「米=太る」というイメージから炭水化物を極端に制限する人が多い。しかし、吉永選手はそんな風潮に警鐘を鳴らす。
「日本人はお米が合っている方が多いと思います。消化吸収もいいし、炭水化物を抜くことで代謝が落ち、太りやすい身体になってしまう。炭水化物を抜くほど“太りやすい体質”になっていく人も多いので、ぜひ正しく取ってほしいです」
今季は関東フィットネス選手権でも優勝し、2連勝。すでに今季の出場は終了し、次は来季の大会を検討中だという。
食べずに頑張る減量から、食べながら健康的に絞る減量へ。吉永さんの変化は、多くのトレーニーにとって“減量の常識”を見直すきっかけになるはずだ。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:FITNESSLOVE編集部 撮影:中原義史