7月21日(月・祝)、東京・かつしかシンフォニーヒルズで『第60回東京ボディビル選手権』が開催された。この大会はボディビル、女子フィジーク、メンズフィジーク、ビキニフィットネス、フィットモデルの5カテゴリーが行われ、それぞれで東京一を決めるハイレベルな戦いである。
ビキニフィットネス35歳超級に出場した早倉フジコ(さくら・ふじこ/43)選手は、優勝した岩崎ひとみ選手に同点ながら決勝審査票で惜しくも敗れ2位に終わったが、四肢が長くしなやかなスタイルと優雅なステージングで会場を魅了した。
今シーズンはすでに群馬県オープン大会で優勝しており、着実に結果を残している。そんな中で早倉選手は、自身の身体づくりにおける“根本の視点”を変えていた。
「筋肉をどう大きくするかよりも、“身体の構造として美しいか、正しいか”を考えるようになりました。ポージングやフォームではなく、もっと内側の、軸や骨格のあり方に向き合う感覚です」
そのアプローチの中心に据えたのが、ジャイロトニック(※)やピラティスだった。特に注目したのは、背骨の動き。
※元バレエダンサーのジュリウ・ホバス氏が考案した、身体の機能改善を目的としたエクササイズ
「人間の中心ってやっぱり背骨だなと思ったんです。そこがしなやかに動くと、歩き方も滑らかになるし、ポージングの安定感もまるで変わってきました」
ジャイロトニック特有の“円軌道”を描く動きは、トレーニングにも大きな影響を与えたという。
「円を描きながら上に伸びていくような動きが多くて、縦にぞうきんを絞るような感覚なんです。そういった意識を持つことで、サイドポーズや回旋の入る種目での精度がすごく上がりました」
その変化は、鏡に映るフォームだけでなく、動画チェックでも実感できるものだった。
「動画でフォームを見返すと、“思った通りに動けてる”と感じる瞬間が増えてきました。以前は自分の感覚と動きがズレていたのですが、そのギャップがほとんどなくなりましたね」
身体操作の精度が上がったことで、狙った部位にしっかり効かせられるトレーニングも可能になった。そこには、表層だけでない“内側の美しさ”を磨いてきた証がある。
「フロントリラックスの姿勢も、バレエのポーズのとり方と本当に似ているんです。担当してくださったジャイロトニックの先生がバレエ出身の方で、動きの中に共通点を見つけられたことも面白かったですね」
このあとは、9月13日、14日のオールジャパン(&オールジャパンマスターズ)へ出場予定。だが早倉選手は、世界を目指した長期計画を立て身体作りに励んでいる。
「2026年に世界選手権で優勝するという計画は、今のところは順調にいっています。引き続き頑張っていきたいと思います!」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:FITNESSLOVE編集部 撮影:中原義史