「1年の半分弱が出張です」
保坂奈穂(ほさか・なほ/49)さんはメーカー勤務の会社員。仕事で、1年を通して海外と国内の拠点を飛び回る生活をしている。
「出張先では出されたものをそのまま食べます。これでは太っちゃう、減量できないという苦しい思いをたくさんしました。おいしいので好んで食べてしまうこともありますし、お断りすることはできないので仕方ない、と思いながらいただくこともあります」
保坂さんは筋トレを始めて4、5年になる。入会したジムにエアロビクスのレッスンがなかったため、代わりに筋トレをしたのがはじまりだ。3年ほど前から、正しく筋肉が働くことを意識した指導のできるトレーナーを見つけて、週1回パーソナルトレーニングも受けている。普段は仕事の合間をぬって、週2~3回、1時間~1時間半のトレーニングを続けているという。
「出張が多く、大会に出ることは諦めていたけれど、ちょうど仕事の閑散期が見つかって、ここで絞ろうと決めたのが昨年の10月半ばごろでした。そこから7.5kg落としました」
実は保坂さんは2023年秋にもマッスルゲートに出場している。
「その年はウーマンズレギンスで大会に出て、3カ月後にビキニで出場したのですが、身体のスペックとかポージングの大切さ、細かいところが十分ではありませんでした。そこから1年かけてビキニの身体を作り、ポージングもしっかり習得して、もう一度チャレンジしようとした次第です」
2月11日、高槻城公園芸術文化劇場で行われたマッスルゲート大阪高槻大会では、ビキニ一般の部、ビキニマスターズの部で2冠を達成することができた。
「ステージがあっという間で、気持ちも焦ってしまいました。ポージングも、もうちょっと丁寧にできたなぁと思いました」
「筋トレって歯磨きみたいですよね」、保坂さんは面白いたとえをする。
「歯を1本1本磨くときと一緒で、やりだしたらここが足りない、ここが足りない、と止まらなくなってしまいます。肩回りもっとあってもいいかな、背中もっと強くてもいいかな、いろんなところが足りないな、と思いました。今までは丁寧に、を根底にトレーニングをやってきましたが、扱う重量も体重も増やして、強い身体を作りたいと思います。ゴールドジムジャパンカップの出場権をいただいたので、次はそこをめざして頑張りたいと思います」
「昨年母を亡くして、母を思いながらトレーニングに励み、大会にも臨みました。応援してもらっていたので感謝も気持ちも改めて感じています」と保坂さん。
「パーソナルトレーナー、ヘアメイクさん、ネイリストさん、筋膜リリース。大会にはいろんなエッセンスが必要で、いろんな方にテコ入れしていただいたことによって『こうしたら勝てるよ、プラスになるよ』と、魔法をかけていただきました。トレーニング仲間や友人、ゴールドジムのスタッフさんなど、周りの援助がなかったらここまで来ることはできなかったので、みなさんに心からありがとうと伝えたいです」
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:あまのともこ 撮影:岡 暁