かつては着たい服を諦めていた女性が、今は女子フィジークの舞台に立ち、バキバキの肉体を披露している。鈴木亜希子(すずき・あきこ)さん、現在50歳。ボディコンテスト『マッスルゲート』の大会に出場しながら、本格的なボディメイク歴はまだ3年。しかしその変化は、数字以上に大きなものだった。
「きっかけは『かっこいいお母さんになりたい』という気持ちでした」
身長155cmの鈴木さん。トレーニングを始める前は体重64kg、体脂肪率34%(※)。いわゆる「普通のお母さん」だった。だが着たい服が似合わないと感じていたことがコンプレックスで、自分の可能性にもフタをしていた。
※体脂肪率は市販の体組成計によるもの。
「でも、筋トレを始めてから『やれば何でもできる』という自信がつきました」
コンテスト時の体重は46kg。大会では堂々たるフィジーク体型でステージに立つ。食事管理も徹底した。かつての偏った食生活を見直し、自分の体質とも向き合うように。家族がファミレスで食事をしている間、自身は駐車場で減量食をとっていたというエピソードからも、その覚悟の深さがうかがえる。
「トレーニングに関しては、時間がなくてもスキマ時間にスクワット。生活そのものの習慣が変わりました」
ただ身体を変えるだけではない。鈴木さんは「努力すれば必ず結果が出る」と信じ続け、その過程を楽しんできた。ルーティン化によって生活習慣も整い、「いらないものは食べない」というシンプルかつ強い意志が、今の美しい身体を作り上げている。
「本当に、少しずつでも積み重ねていけば、自分の理想に近づけると実感しています」
50歳を迎えた今、鈴木さんは年齢を理由に諦めることは一切ない。その姿はまさに「かっこいいお母さん」そのもの。女子フィジークという舞台で、これからも自分を更新し続けていく。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:FITENSS LOVE編集部 写真提供:鈴木亜希子