「ボディビルダーになりたい。自分もステージに立ってみたい」
そんな想いを胸に抱き、10年かけて身体を磨いてきたのが、4月6日(日)の『マッスルゲート大阪』でボディビル一般70kg以下級優勝、さらにクラシックフィジーク一般168cm以下級優勝の2冠を達成した森河諒(もりかわ・りょう/28)さんだ。
普段はキタムラ機械株式会社に勤務。会社は余暇活動への理解があり、ほぼ毎日定時退社できる環境だという。さらに同僚もトレーニングを応援してくれており、日々の練習にも集中できる環境が整っている。
「妻には『酒、タバコ、パチンコは絶対しないからトレーニングはさせてください』って約束してます(笑)」と、家庭でも信頼を得ている森河さん。生活全体で競技を支えている様子が伝わってくる。
森河さんが筋トレに目覚めたのは幼少期。きっかけは欧米の80〜90年代映画だった。
「幼少期から筋肉とマシンガンばかりの映画をよく観ていて、自分もあんな風になりたいってずっと憧れていました。お気に入りはランボーとターミネーターです!もちろんアーノルド・シュワルツェネッガーとシルベスター・スタローンが大好きです(笑)。ボディビルダーなら80年代に活躍していたボブ・パリスが一番です。美的で古典的な芸術作品のようなポージングに強く引かれます」
森河さんのクラシックなポージングスタイルやプロポーション、雰囲気からも80年代の影響を強く感じられた。
憧れから始めた筋トレは10年になり、今でもその気持ちを忘れることなく鍛え続けている。2022年の『富山県新人男子ボディビル選手権』を皮切りに、地方大会での優勝を重ね、そして今年は初参戦となるマッスルゲートの大阪大会で、初出場にして2冠を達成した。
「初参加で少し緊張していたんですが、参加者の雰囲気が良く、リラックスして出場できました」
減量飯は「白米と鶏むね肉と野菜」。脂質をカットした無駄のない食事を心がけているという森河さん。
「食事面では、常にタンパク質を中心とした食生活を意識していて、特に減量期には、白米・鶏むね肉・野菜というシンプルなメニューを軸にしています。あとは、オートミール、大豆、卵もよく食べます。低脂肪で低GIなので減量には最適です」
10年のトレーニング歴の中での失敗は、関節を守るギアを軽視していたことだという。
「トレーニングを始めて間もないころに、デッドリフトで腰を痛めてしまいました。数日間は屈むことができないほどでかなり辛かったです。そのときに怪我をしてからでは遅いと気づきました。ギアを早めに準備して使いこなすことで、運動の質を格段に上げてくれると身をもって学びました」
「筋肉は思い通りに成長しない。でも、それすら楽しい」と森河さんは話す。
「身体の変化は必ず起きています。良くても悪くても、その変化と向き合うのが楽しくて続けられるんです。自分も競技に出てみたい、憧れの人のようになりたい、と思ったら、まずは行動してみるべきだと思います。ジムへ入会したり、大会にエントリーしたり。一歩踏み出せば、きっとうまくいきます!」
現在の目標はJBBF北陸甲信越ブロック選手権で優勝すること。10年かけて作り上げた肉体と、憧れを持ち続けて挑戦し続ける気持ちがあれば、次のステージでもきっと輝けるはずだ。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
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取材:柳瀬康宏 撮影:上村倫代
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。NSCA認定パーソナルトレーナー,ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、NASM認定コレクティブエクササイズスペシャリスト。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年より毎年ボディコンテストに出場中。