マッスルゲート選手 コンテスト

「一度は引退を決意した」85歳のボディビルダーが復活!妻の介護や家事の傍ら、ほぼ毎日筋トレをするのが日常【筋トレ】

午前3時ごろ、齋藤忠男(さいとう・ただお/85)さんの1日が始まる。

「妻の介護や家事があるため、早朝にトレーニングをして19時ごろには寝るようにしている」と齋藤さん。上半身と下半身をバランスよく鍛える2〜3時間のトレーニングを、ほぼ毎日しているそうだ。脚トレで必ず取り入れているのはハックスクワット。

そのハックスクワットでは、40kgの重さは固定でレップ数を徐々に減らして8セット、合計180レップ行う。補助としてゴムチューブを使いながらも、そのトレーニングは圧巻だ。

【写真】齋藤忠男選手の85歳とは思えぬ筋骨隆々の肉体!

齋藤忠男選手

何歳になっても、ボディビルを続ける理由

齋藤さんはゴールドジム新居浜愛媛店の元会長であり、日本ボディビルマスターズ75歳以上級の元チャンピオン。

「82歳のときに一度は引退を決心した」そうだが、今年6月上旬に開催された『マッスルゲート四国大会』のボディビル・マスターズでコンテストに復活。3年ぶりとなる四国大会で、堂々の4位入賞を果たした。

観客席には、目を輝かせながら応援する齋藤さんの奥さんの姿もあった。普段は30分も椅子に座っていられないそうだが、この日は5時間も観戦していたそうだ。

「約20年前、肩の大怪我で医師から『競技はしない方がいい』と告げられました。休んだ時期もありましたが、それでも今、ステージに立つのは同じ年代の選手が頑張っているから。そして、日本マスターズ選手権85歳以上の部で金澤利翼さんに挑戦したい。それがモチベーションになっているんです」

そして8月31日に開催された『日本マスターズ選手権』、85歳以上級で3位の成績を収めた。

若いころはステージで映える身体を作るため、がむしゃらにトレーニングに打ち込んでいた。しかし80歳を超えてからは健康維持と血液検査の良い結果も目標の一つとなった。

筋トレの延長線上にボディビルの大会があることで、食事の節制や有酸素運動も加わり、メリハリのあるトレーニングが継続でき、健康度が増す。実際、「血液検査の数値も、高齢ながら良好だ」とうれしそうに話してくれた。

トレーニングを続ける極意

「筋トレはしんどいものではなく、楽しんで続けることが大切です。高重量にこだわらず、軽い重量からのスタートでいい。70代から始めても筋肉は作られますし、身体は変わります。私自身、関節に負担がかかる種目は控え、負担の少ないマシンを使ったトレーニングが中心です」

年齢に応じて種目を変え、工夫を凝らしてトレーニングを行う齋藤さん。しんどさを感じたら無理をせず、少しずつ重さを増やしていく。目標を一つに絞り、小さな達成感を積み重ねることも、齋藤さんが大切にしている考え方だ。

「一度引退を決心したものの、今は考えていません。まだまだ現役で大会に出続けます。脚を中心に鍛え、これからもさらに良い成績を目指したい。そして健康で元気に過ごしたいですね」

85歳にして挑戦を続ける齋藤さんの姿は、年齢を理由に諦めかけた人々に勇気を与える。筋トレやボディビルは、人生をより豊かにするための強い味方であることを教えてくれているようだった。

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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取材・文:小笠拡子 大会写真:北岡一浩

小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。

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