「お尻が大きい」「ふくらはぎが逞しい」。かつて下半身にコンプレックスを抱えていた山下悠稀(やました・ゆうき/28)さんは、炭水化物を抜いたり、ファスティングをしたりする“食べないダイエット”を繰り返していた。しかし、筋トレとビキニフィットネスを通じて、身体との向き合い方が変化。2026年のマッスルゲート福岡大会では、ビキニフィットネス一般の部で優勝を果たした。山下さんの経験から、無理な食事制限を手放し、自分らしい身体づくりを続けるためのヒントを聞いた。
【写真】山下悠稀さんのコンプレックスだったお尻で魅せるバックポーズ

「食べない」から始めない。身体を知ることが第一歩
現在は航空会社に勤務し、福岡空港で航空機の運航を支える山下さん。大学時代にはドームでビールの売り子をしていた。
もともと下半身がしっかりしていたことから、「お尻が大きい」「ふくらはぎが逞しい」と言われることを気にしていたという。理想は細い身体で、ダイエットでは炭水化物を抜いたり、ファスティングをしたりしていた。
体重は減っても、長続きはしない。食べてしまうたびに自己嫌悪に陥ることもあった。
そんな考え方を変えたのが、筋トレとボディメイクだった。筋トレをしていた夫の影響でトレーニングを始め、2025年6月の新婚旅行で訪れた米国・ロサンゼルスのゴールドジムで、現地の女性たちの身体に衝撃を受けた。
「自然体でかっこよく引き締まった身体を見て、『私もこんな身体になりたい』と思いました」
目標は、ただ細い身体ではない。
「女性らしいラインや筋肉の立体感があり、健康的でエネルギーを感じる身体が理想です」
身体づくりでは、体重だけでなく、筋肉のつき方や全身のバランス、姿勢にも目を向ける。かつてコンプレックスだったお尻は、今では得意部位になった。
ふくらはぎに力が入りやすいという課題もあるため、トレーニングでは重量だけを追わず、フォームや可動域、「どの筋肉を使っているか」を意識している。
結果が出ない時期も、続けた先に変化がある
2026年にビキニフィットネスデビューを果たした山下さんは、JBBFの大会に4度出場し、すべて3位だった。
表彰台に立てても、優勝には届かない。マッスルゲート福岡大会では「今回も3位かもしれない」と不安を感じながらステージに立ったが、結果は優勝だった。
「続けてきたからこそ、今回ようやく優勝できたことが本当に嬉しかったです」
この経験から伝えたいのは、すぐに結果が出なくても、自分の変化を見失わないことだ。
「体重や順位だけで判断すると、うまくいかない時に苦しくなります。昨日よりフォームが安定した、少し重い重量を扱えるようになったなど、小さな変化にも目を向けてほしいです」
ステージでは、身体の仕上がりだけでなく、自分らしさの表現も大切にしている。今回はディズニー作品の『モアナ』をテーマに、ビキニやアクセサリー、ヘアメイク、ポージング、表情まで世界観を作り上げた。
「きれいな身体だけではなく、『楽しそうだな』『目で追ってしまうな』と思ってもらえるステージを目指しています」
身体づくりでも、他人の正解をそのまま追うのではなく、自分が楽しめる方法を探すことが継続につながる。
完璧を目指さず、楽しめる方法を見つける
山下さんは、筋トレだけを続けているわけではない。週4〜5回のトレーニングに加え、大好きなキックボクシングも取り入れている。
「筋トレがめちゃくちゃ好きというタイプではないので、楽しめる運動を組み合わせています」
ボディメイクを始めるきっかけとなった夫とは、現在も一緒に大会を目指している。
「減量の大変さや、大会での悔しさ、うれしさを共有できるので、良き戦友であり、最強の相棒です」
優勝後も、次の目標であるゴールドジムジャパンカップ優勝に向けて挑戦を続ける。
「完璧にできない日があっても、そこで全部やめないことが大切だと思います。自分に合う方法を見つけて、楽しみながら続けていきたいです」
“細くなりたい”という思いから始まったダイエットは、“自分がかっこいいと思える身体になりたい”という目標へ変わった。コンプレックスだった部分も、向き合い方を変えれば強みにできる。山下さんの経験は、身体を変えたいと考える人に、無理な制限ではなく、自分を知り、楽しみながら続けることの大切さを伝えている。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
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取材・文:FITNESS LOVE編集部 撮影:西山稔夏










