「食事管理は、節制と緩和をはっきりと分けるようにしています。栄養士として食事指導を行うなかで特に多いのは、『栄養も量も常に完璧でなければならない』という過度な節制により摂食障害に陥ってしまうケースです」
及川涼花(おいかわ・すずか/26)さんは、『サマースタイルアワード』でプロ選手として活躍する。モノキニビキニでのしなやかな女性らしいボディラインを競う『ビューティーフィットネスモデル』カテゴリーで日本2位を獲得するなど、洗練された肉体美を作り上げている。その一端である食事管理は、栄養士ならではの視点と工夫が凝らされている。
「ボディコンテスト出場者というと、決められた素材のみのご飯をストイックに食べ続けていると思われがちなのですが、私はお酒も適度に飲みますし、外食時は目一杯楽しみます。普段の食事も、ビタミン・ミネラルをサプリメントではなく食材からしっかり摂れる『舌も心も満たされる食事』であることを大切にしています。調味料にはこだわりがあって、黒糖やてんさい糖などの天然糖が好きです。グルテンフリーの米粉ベーグルやスコーンなどヘルシーなお菓子を作るのが趣味です」
及川さんの食事は色彩豊かでバラエティに富むだけでなく、非常に簡易であるということも大切な要素だ。
「鶏胸肉を食べるにしても、最初に一手間だけかけて全自動のフードプロセッサーで100gずつ小分けにしておくと便利です。鶏団子にしたり、ミックスベジタブルや豆腐と混ぜてミートローフにしたりと万能に使えます。混ぜるのはタッパーの中にすれば洗い物を減らせますし、どちらも電子レンジで美味しくつくれるんですよ」
ストレスがたまる無駄な工程を省く、という点を及川さんは料理だけでなく生活全般において非常に重要視している。その工夫の発信は同じステージで戦う競技者にも参考にされ、好評を得ている。
「調理は毎日続けるものなので、基本的に電子レンジだけやフライパンひとつで完結する時短レシピを採用しています。食べることにおいても調理においても、食事以外でもトレーニングに対する姿勢においてもストレスができるだけ少ないことを第一にしています。無駄を徹底的に省くことで、やるべきことに注力できる環境を作ることが競技成績だけでなく、歳を重ねても健康的な肉体のためになると思っています」
省いた無駄を睡眠とトレーニングボリュームの増加にあてることで、昨年は筋肉量が落ちやすい減量期に1kgの筋量増加を達成し、さらにメリハリのある理想の身体に近づいたと語る。
「今年は、昨年よりも美の基準をアップデートして念願の優勝に向けて励んでいます。ムービングやフリーポーズの洗練に注力し、過去の自分を超える自分を作り上げてステージに立ちたいと思います」
【SSAアンチドーピング活動】SSA(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 写真提供:及川涼花
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