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44歳・婦人科医が絞れた背中で魅せコンテスト5クラスで入賞の活躍 「月経と減量の関係を確かめたい」医師として伝えたい想い

「妊娠していますか?」の一言が、すべての始まりだった。

第2子出産後に「妊娠していますか?」と言われたことで体型に悩み、自宅でのトレーニングからスタート。そこから身体づくりの楽しさに目覚め、パーソナルトレーニングを経てボディコンテストに出場。現在は婦人科医としてレディースクリニックの副院長を務めながら、子育てと仕事、そしてトレーニングに励む毎日を送っているのは小泉絵理(こいずみ・えり/44)さんだ。

【写真】小泉絵理さんの絞れた背中のメリハリボディ

7月19日(土)の『サマースタイルアワード (以下サマスタ)大阪予選&ROOKIE CHALLENGE CUP大阪予選』では、なんと5つもの部門に出場した。そして出場するだけではなく、ルーキービキニモデル部門2位、ビキニモデルマスターズ部門優勝、ビキニモデルショート部門2位、ビューティーフィットネスモデルマスターズ部門優勝、ノービスプロビューティーフィットネスモデル3位という全て入賞するという好成績だった。

「昨年は緊張して自分らしくステージに立てなかったので、今回は場数を踏むことを目的に、あえて多くのカテゴリーに出場したんです。序盤は緊張しましたが、途中からは緊張もなくなって、むしろ楽しめたと思います」

緊張を乗り越えること、そして安定したパフォーマンスを出すこと。大会で目指すものは、順位だけではない。

婦人科医だからこその挑戦「月経と減量の関係を確かめたい」

そもそも小泉さんがボディコンテスト出場を決意した理由のひとつは、「月経と減量の関係を、医師として自分の身体で確かめたい」という医学的な関心だった。

「フィットネス競技では、女性ホルモンのエストロゲンが出なくなってしまう無月経になる選手が少なくありません。放置すると骨粗しょう症や疲労骨折、さらには筋肉量の低下にもつながります。でも、それを仕方ないこととして我慢している方が多いんです」

過去のコンテストでは、食事内容や脂質の摂取量を工夫することで月経を止めずに減量できた経験もある。今回の減量では昨年より減量幅が大きく、身体が仕上がるか不安もあったが、食事の基本は変えず、有酸素運動の量を増やして調整した。加えて、今回は自身の月経困難症の治療のため、ジエノゲスト錠0.5mgという黄体ホルモン製剤を内服。これは月経を安全に止める効果があり、低用量ピルとは異なり血栓症リスクも少ないため、40代以降の女性でも使用できるものだそうだ。

「エストロゲンはきちんと分泌されるので、減量による無月経とは違います。定期的に採血しエストロゲンの数値が問題ないことを確認していました」

「一部ではホルモン剤を飲むと痩せにくくなる」という誤解もありますが、それは薬の選び方次第。私は今回『ちょっと絞りすぎ』と言われたくらいです。月経痛を我慢する方がよっぽどトレーニングに影響しますし、将来的な病気のリスクも上がってしまいます。だからこそ、月経に悩む方には婦人科に相談してほしいと伝えたいです」

身体を変えるなら、まずは知識を変えること。小泉さんの言葉には、医師としての説得力と、競技者としての実感がにじんでいた。

現在の小泉さんの目標は、11月のサマスタ日本大会でのマスターズ部門での入賞、さらにはプロ部門での決勝進出。課題として挙げるのは筋肉量の向上と、アウトラインの強化だ。

「もっと魅せられる身体を作りたいですし、どんな舞台でも堂々としたステージングができるようになりたいです」

小泉絵理さん

【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。

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取材・文:柳瀬康宏 写真撮影:岡 暁

執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBFやマッスルゲートを中心に、毎年ボディコンテストに挑戦中。

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