「見た目から『ソフトボールやってた?』と聞かれることが多かったんです。足腰やお尻、腕や肩ががっちりしていて、スポーツ経験を話さなくても『スポーツやってたでしょ』と言われるのが嫌でした」
そう語るのは林叶乃(はやし・かの/27)さん。産後の体型変化やストレスからの暴飲暴食で、さらに体重が増えてしまったことも悩みの種だったという。
そんな林さんがボディメイクに挑戦するきっかけとなったのは、娘の存在だった。
「産後ダイエットのためにジムに通い始めたとき、大会に出てみないかと声をかけられました。『ベストボディ・ジャパン』を調べてみると、輝いている人がたくさんいて、その姿に憧れ、挑戦したいと思うように。何より、シングルマザーとして娘にとって“かっこいいママ、可愛いママ”でいたいという気持ちが、大会への本気度を高めました」
そこから本格的にボディメイクをスタート。トレーニングでは“丁寧さ”を重視していたという。
「自分のコンプレックスや弱点に合わせてパーソナルトレーニングを受けました。特にお尻や内ももには重い負荷をかけず、自重トレーニングをメインに。重さよりも正しいフォームを意識しました。身体のケアも欠かさず、前ももの張りを筋膜ローラーでしっかりほぐしていました」
トレーニングを続けることで、日常生活にも良い影響が生まれたという。
「美容業界で働いているので、美意識の高いお客様とボディメイクの話で盛り上がることが多くなりました。また、いろいろな洋服を楽しめるようになり、娘にも『ママ可愛い!』と言ってもらえることが増えて、とてもうれしいです」
同じように「骨格がしっかりしているから」「筋肉質だから」と悩んでいる人たちへ、林さんは前向きな考え方を伝えている。
「私も『骨格がしっかりしているから』と諦めたことがありました。でも、もともとある筋肉を完全になくすことはできなくても、それをどう魅力に変えるかを考えました。例えば、下半身がしっかりしているなら、ストレッチやトレーニングでバランスを整えたり、上半身を少し鍛えたらウエストが細く見えるんじゃないかと工夫してみたり。お尻を“プリケツ”にしたいなら、一度太る必要があるって言うけど、私は元々あるからラッキー! くらいに考えていました(笑)」
家事・育児・仕事をこなしながらボディメイクを続けることは簡単ではない。しかし、林さんは「楽しむこと」を意識することで両立してきた。
「シングルマザーとして、家事・育児・仕事に90%のエネルギーを注いで、趣味やボディメイクに10%くらい注げればいいかなと思っていました。でも、バランスを見直して、すべてを20%ずつ意識するようにしました。娘との時間は100%、仕事のときも100%、趣味を楽しむときも100%。そうすることで、すべてが楽しくなり、無理に両立しようとするのではなく、総合的に充実した生活が送れるようになりました。もちろん、時には嫌になることもありますが、そんなときは周りに頼ったり、趣味を120%楽しんだりして気持ちをリセットしています」
現在、大会出場の予定はないものの、林さんはボディメイクを続けている。
「夏は毎年、娘と海やプールに行くので、水着の似合う身体でいたいというのが一つのモチベーション。あと、私はアニメオタクなので、コスプレをしてみたいというのも理由の一つです(笑)」
楽しみながらトレーニングを続けること、そして目標を持つこと。それが、林叶乃さん流の“継続の秘訣”なのだ。
取材:佐藤佑樹 写真提供:林叶乃