「40歳を過ぎてもビキニを着たことがなかったので、一度は着てみたいと思っていた」
そう語るのは小澤綾子(おざわ・あやこ/49)さん。
「もともとは市民ランナーとして活動しており、ランニングのパフォーマンスを上げたくてトレーニングを始めました。でも気づけば、走ること以上に筋トレが楽しくなっていたんです。その成果を披露する場が欲しくなって、コンテスト出場を意識し始めました」
現在は、ボディコンテスト団体「サマースタイルアワード」のウィメンズスポーツモデル部門で活躍している小澤綾子さんだが、当時はこんな思いもあったという。
「ビキニを着たいという気持ちはあったものの、海で着るのは恥ずかしい。じゃあ、どこで着られる? そう思ってたどり着いたのが大会でした」
そこから本格的なボディメイク生活がスタートしたのだ。
「それまでの私は、ストレスが溜まると甘いものを好きなだけ食べ、アルコールも気持ち悪くなるまで飲んでしまう。翌日は自己嫌悪に陥る、そんな生活を繰り返していました。良くないとは分かっていても、特に目標がなかったのでやめられなかったんです」
目指すものができてから、食生活は大きく変わったという。
「食事はどんどんシンプルになり、外食はしなくなりました。加工食品も避けるようになり、味付けもかなり薄味に。お酒も、今ではほとんど飲んでいません」
トレーニングは、体重を減らさずに体脂肪を落とす工夫を取り入れた。
「HIITトレーニングや傾斜をつけたスピードウォーキングなど、有酸素運動を中心に行いました。食事管理と組み合わせたことで、体脂肪はどんどん落ちていきました」
そして、日常生活にも大きな変化があった。
「朝は早起き、夜は早寝。トレーニングの時間が取れない日は、短くてもいいから必ず取り入れる。短時間でも集中して行うようにしました。生活全体を“トレーニング”と捉えるようになったんです」
やることを増やすのではなく、やらないことを明確にする。その選択が、限られた時間を有効に使う鍵だったという。
元々は体重43kg・体脂肪率16%。ボディメイクを始めたことで、体重はほぼそのままに、体脂肪率を8%まで落とすことに成功したのだ。
※体脂肪率は市販の体組成計によるものです。
「精神的にも大きな変化がありました。最後までやり遂げられたこと、自分の弱さと向き合えるようになったこと、目指す自分を具体的にイメージできるようになったこと。時間の使い方も上手になりましたし、“何を足すか”より“何を引くか”を考えられるようになってきました」
小澤さんはボディメイクを通して“見た目”だけでなく“人生の軸”そのものがアップデートされたという。
「大切なのは、小さくても継続すること。誰かと比べるより、過去の自分を越えていくことです。何かのきっかけで、生き方はいつからでも変えられる。私の場合は、それがボディメイクであり、フィットネスでした」
そして最後に、小澤さんはこんなチャーミングな一言を添えてくれた。
「ちなみに、まだ海ではビキニを着ていないんですけどね(笑)」
“どんな自分にも胸を張れる生き方”ができている今、その日が訪れるのは、もう遠くないのかもしれない。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:佐藤佑樹 写真提供:小澤綾子