コンディショニング コンディショニンググッズ

フォームローラー、痛すぎない?逆効果にならないための正しい使い方【前田修平のまいにちセルフケア連載】

ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル「前田のまいにちセルフケア by GronG」を運営する前田修平さん(NASM-PES、はり師・きゅう師)が科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝える本連載。
第9回のテーマは「フォームローラーの正しい使い方」です。

【動画】やってはいけない!?フォームローラーの使い方

「フォームローラーって、痛いほど効いている感じが好きなんだよね」
と思っているなら、 それは大きな誤解かもしれない。
いまや雑貨店やネットでも手軽に買えるフォームローラー。自宅で簡単にセルフケアができる人気アイテムだが、痛ければ効くと思って無理に使っていないだろうか?その方法は身体にとって逆効果なだけでなく、ケガのリスクを高めている可能性もあるかもしれないので注意が必要だ
今回はセルフケアの専門家が「よかれと思ってやっていたフォームローラーの実はNGな使い方」と「安心して取り組める正しい使い方のポイント」をわかりやすく解説する。

よくあるNGな使い方とその理由

    1.「痛みが強い=効いている」は誤解!

強くゴリゴリと押し当てて、筋肉がほぐれているように感じているかもしれない時は要注意!物事になんでも一生懸命取り組んだり、頑固な肩こりや腰痛で頻繁にマッサージに通っている方がやってしまいがち。強すぎる刺激はかえって組織を傷めたり、筋肉がこわばったりして逆効果になることもある。筋肉はリラックスした状態でなければ、回復に向かいづらいのだ。強い刺激で取り組むほど、成果となって返ってくるものではないことを知っておこう。

2. 首や腰(腰椎)に直接当てるのは危険!

「首や腰が痛いんだから直接当てるのが当然でしょ!」と考えてしまう方も要注意。あくまでもフォームローラーは筋肉やその周辺組織をほぐすためにある。首や腰は前方にカーブする形状で、ローラーを直接あてるとその前方へのカーブをさらに前に押し出すことになり、負担が増してしまう。そればかりか、他の部位に比べて筋肉の厚みや表面積が少ないため、荷重が分散しづらく、負担も大きくなりやすい。

真っ当な正論は直接伝えると相手に伝わりにくいように、痛みや違和感のある部分には直接アプローチしないという選択肢もあるのだ。太ももやおしり、背中などから少しずつ様子を見ておこなおう。

3. 長時間ほぐすのはNG

ほぐすのが心地よいからと言って、何時間もその上に寝転がっているのはNGだ。筋肉には「筋トーヌス」といって一定の緊張感を保つという機能がある。これを無視してほぐし続けると、筋肉が適切に力を入れられなくなり、姿勢の保持や関節の保護が難しくなることも考えられる。また、優しい刺激であっても長時間になると組織を傷める可能性もある。身体によいとされる食品も摂りすぎては健康を損なうように、セルフケアもまた、ほどほどでやめておき、次の日の楽しみにとっておくくらいでちょうどよいのだ。1カ所あたり30秒~90秒程度を目安に、こまめにおこなうのがおすすめ。

正しい使い方のポイント

「気持ちいい〜ちょっと痛い」くらいでOK

 深呼吸しながら、1部位あたりゆっくり3090秒を目安に

 痛みのある部位を避け、周辺から少しずつアプローチ

お風呂上がりやリラックス時にやるとよりよい

まとめ

フォームローラーは、「痛みに耐えるための拷問器具」ではない。短期間の強い刺激は、一時的な快楽にも似た報酬を得られそうに思うが、そんなことはない。「痛みなくして、成長なし」という言葉はある意味では真実なのだが、ある意味では間違っている。心地よい自分であり続けるため古い価値観をアップデートし、頑張りどころを間違えないようにしよう。フォームローラーと仲良くなれば、きっとあなたの身体を優しくケアする信頼できる味方になってくれるはず。

ぜひ、「自分の心地よさ」を基準に使い方を見直してみてほしい。

著者:前田 修平(まえだ・しゅうへい)
NASM-PES、はり師・きゅう師。ストレッチを中心とした身体のセルフケアを学べるYouTubeチャンネル『前田のまいにちセルフケア by GronG』を運営。登録者は29万人以上(※2025年2月時点)。科学的な根拠をもとに、健康的な身体づくりのためのセルフケア方法をわかりやすく伝えている。

-コンディショニング, コンディショニンググッズ
-,

次のページへ >


おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手